「やむを得(え)ない」の意味は「そうするより他に方法がない」です。「やむを得ない事情/用事」という言い回しでビジネスシーンで欠席するときや遅刻をするときの事情を説明するときに使用します。
「やむを得ない」の読み方は「やむをえない」です。 「得」は訓読みで「える」と読みます。 「やむを得ない」の漢字は「已むを得ない」または「止むを得ない」と書きます。 ただし、「已む」は常用外漢字であるため、漢字で表記するのであれば「止む」を使用するのが一般的です。 常用外漢字とは「常用漢字表」に記載されていない漢字のことで、新聞や公的文章では使用されない漢字のことをいいます。 「やむおえない」「やむ終えない」「やむ負えない」「やもう得ない」は全て誤りです。 誤用のパターンが多いので注意しましょう。
「やむを得ない」の意味は「そうするより他に方法がない」です。 やりたくても他にどうすることもできないという意味合いです。 「やむ」は長く続いている現象や状態が止まり消え失せるという意味です。 「得ない」は「できない」という意味です。 「やむを得ない」で「長く続いている現象や状態が止めることがない」=「他にどうすることもできない」ことを表します。 「やむなし」としても同義ですが、これらはより口語的です。
「やむを得ない」は、ビジネスシーンで欠席するときや遅刻をするときの事情を説明するときに使用します。 例えば、電車が止まってしまって予定通りの時間に到着できないなど、自分ではどうすることもできない事情や用事で遅刻をしたり、欠席をするときに「やむを得ない事情/用事」といいます。
「やむを得ない」の例文
「やむを得ない判断」は「そうするより他ない判断」です。 例えば、赤字が続き、仕方なくお店を閉店するというような苦渋の決断をした場合に「やむを得ない判断」ということができます。
「やむを得ない」の例文
「やむを得ない理由」は法令用語です。 本来は認められないが、本人を責めるのが難しいような特別の事情によって例外的な実態や取り扱いを認めることをしても致し方のない理由を「やむを得ない理由」といいます。 「やむを得ない理由」のなかには、そのようなことになるのは仕方がないと誰もが納得できるという「正当な理由」も含み、広い概念で使用されます。
「やむを得ない」は堅い表現なのでプライベートで使うことは少ないですが、「○○もやむを得ない」という形で使うことは可能です。 「〜もやむを得ない」で「そうするのも仕方がない」という意味になります。 例えば「この天気では中止もやむを得ない」などと使います。 この「も」は係助で、ある事態がそれに及ぶことを示しています。
「やむを得ません」は、「やむを得ない」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの助動詞「ぬ(ん)」をつけた敬語表現です。 ただし、丁寧語は「です」「ます」のように文末につけることで文章全体を丁寧にする敬語表現です。 尊敬語や謙譲語のように相手に敬意を示すことはできないので、目上の人に対して使用するのであれば、より丁寧な敬語表現を使用するのが望ましいです。
「やむを得ないと思います/存じます」は、「仕方がないと思う」という気持ちを丁寧に伝える表現です。 「やむを得ない思います」は「やむを得ないと思う」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「やむを得ないと存じます」は、「やむを得ない」に「思う」の丁重語「存じる」と丁寧語の「ます」を付けた敬語表現です。 丁重語とは、、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示す敬語表現です。 丁重語は、自分をへりくだり相手に敬意を示す謙譲語と同じ種類の敬語で「謙譲語Ⅱ」ともいわれますが、厳密には種類の異なる敬語です。 「やむを得ないと思います」と「やむを得ないと存じます」はどちらも目上の人に使用できる敬語表現ですが、「やむを得ないと存じます」のほうが丁寧です。
ビジネスでは、「不本意ながら」「心ならずも」「残念ながら」と言い換えても丁寧です。 「不本意ながら」は「ふほんいながら」と読みます。 「不本意」の意味は「自分の本当の気持ちとは異なること」です。 「不本意ながら」で「本意ではないけれど」「望むところではないけれど」という意味になります。 「自分の望むところではないけれど、そうするより他ならない」ということを言い表します。 「心ならずも」は「こころならずも」と読みます。 「心ならずも」の意味は「したいと思ってでなく」です。 自分の気持ちとは裏腹に、そうするより他ならないということを言い表します。 「残念ながら」は「ざんねんながら」と読みます。 「残念ながら」は、相手が望むような結果にならないことなどを見越して相手を思いやる気持ちを言い表す言葉です。 「本当はあなたの望むようにしたいのだけれど、致し方なく」という意味で使用されます。
「仕方ない」は「しかたない」と読みます。 「仕方ない」の意味は、
です。 「仕方」は、物事を行う方法や手順・やり方を意味しているので、「仕方ない」で、「方法がない・どうしようもない」といった意味になり、「しぶしぶ〜をする」というような意味としても使用されます。 「やむを得ない」と「仕方ない」は同義です。 「仕方ない」は日常会話で使用するのに適し、「やむを得ない」はビジネスシーンなどかしこまった場面で使用するのに適しています。
「致し方ない」は「いたしかたない」と読みます。 「致し方ない」の意味は「仕方がない」です。 避けることや逃れる事ができずに、もはや受け入れることしかできないというような状態や、どうあがいても改善の見込みがないという状況を言い表します。 よって「致し方ない」も「せざるを得ない」と同義です。 「致し方ない」の「致す」は、「する」の謙譲語で、「仕方ない」を敬語表現にした言葉であるといえます。 ただし、「致し方ない」単体で目上に使うのは丁寧さが足りないため、「致し方ありません」「致し方ございません」などと使用するのが妥当です。
「是非もなし」は、「ぜひもなし」と読みます。 「是非もなし」の意味は「仕方がない」です。 「是非」は「良いこと・悪いこと」「良し悪しを判断すること」という意味です。 「なし」は否定の意味で使用されています。 よって、「是非もなし」は、「良いこと悪いことを言っている場合ではない」「良し悪しを判断している場合ではない」ということを言い表しています。 「是非もなし」も「やむを得ない」と同義です。
「否応なし」は、「いやおうなし」と読みます。 「否応なし」の意味は「良い」か「悪い」かの選択権を与えないです。 例えば、「否応なしに結婚をさせられる」は「良いか悪いか判断することなく無理矢理に結婚させられる」ということです。 「やむを得ない」は「仕方がない」という意味ですが、「否応無し」は「良いとも悪いとも言わせない」という状況を表現した言葉です。
「よんどころない」の意味は「そうする他にどうしようもない、仕方がない」です。 それ以外に取るべき方法がない・やむを得ないということを言い表わします。 例えば、何か理由があるため仕方なくそのことをする、そうする他にやりようがないことを相手に伝えるときに使用される言葉です。 「よんどころない」も「やむを得ない」と同義です。
「詮方無い」は、「せんかたない」と読みます。 「詮方無い」の意味は、
です。 「為ん方無い」と表記されることもあります。 「詮方無い」も「やむを得ない」と同じく「〜するより方法がない」「仕方がない」という意味で使用する言葉ですが、「詮方無い」はやや古めかしくあまり使用されません。
「余儀ない」は「よぎない」と読みます。 「余儀」の意味は「他の事。他の方法」です。 「余儀ない」で「ほかにどうしようもない」という意味になります。 「余儀ない」も「やむを得ない」と同義です。
「のっぴきならない」の意味は「退くことも避けることもできない」です。 自分の力ではどうにもならないということを言い表す言葉です。 「のっぴきならない」も「やむを得ない」と同義で、ビジネスシーンなどで、欠席や遅刻の説明をするときに使用します。 ただし、「のっぴきならない用事」「のっぴきならない事情」は理由を説明する時に使いますが、「のっぴきならない理由」という言い回しでは使用しないので注意しましょう。
「不可避」の読み方は「ふかひ」です。 「不可避」の本来の意味は「避けられないこと」「必ず起こること」です。 ネットスラングでも意味は「避けることができない」となります。 主に「草不可避」「大草原不可避」と使われ、意味は「笑わざるを得ない」となります。 この「草」や「大草原」というのは「(笑)」の意味を持つ「w」が草に見えることから来ています。 なので「笑いを避けられない」となり「笑わざるを得ない」という意味になります。 「不可避」はネットスラングで、ビジネスシーンで使用するには適しません。
「できることはなにもない」というニュアンスならば「nothing you can do」を使います。
That's how it is in society, so there is nothing you can do about it.
社会ではそうなんだから、やむを得ない。
「避けることはできない」というニュアンスは「help」を使います。 「It can't be helped.」の形で「仕方ない」という意味でよく使います。 「There is no help for...」の形で「...は仕方ない」という意味にもなります。
It can't be helped.
それはやむを得ない。
「やむを得ない」の意味は「そうするより他に方法がない」です。 「やむ」は長く続いている現象や状態が止まり消え失せるという意味です。 「得ない」は「できない」という意味です。 「やむを得ない」で、「長く続いている現象や状態が止めることがない」という意味になり「他にどうすることもできない」ということを言い表す言葉になります。 「やむを得ない」を口語的にしたものが「やむなし」です。