「やむなし」の意味は「どうしようもない」で、「ほかにどうすることもできない」「そうするより他に方法がない」ということを言い表します。やむなし」の漢字は「止む無し」または「已む無し」ですが平仮名で表記されることが一般的です。「〜もやむなし」「やむなく〜する」という使い方をし、ビジネスでは「致し方ない」などと言い換えられます。
「やむなし」とは「どうしようもない」という意味です。 「ほかにどうすることもできない」「そうするより他に方法がない」という意味合いです。 「やむなし」は「やむを得ない」「やむを得ぬ」という言い方もできます。 「やむを得ない」「やむを得ぬ」は、「やむなし」と同様に「ほかにどうすることもできない」という意味がある慣用句です。 「やむおえない」「やむ終えない」「やもう得ない」は誤りなので注意しましょう。
「やむなし」の漢字は「止む無し」または「已む無し」です。 「止む」は、長く続いている現象や状態が止まり消え失せるという意味です。 「止む無し」で、「長く続いている現象や状態が止まることがない」という意味になり「他にどうすることもできない」という意味になります。 「已む」は、「そうしないで済む」という意味です。 「已む無し」で「そうしないで済むことがない」ということを表し、「他にどうすることもできない」という意味になります。 よって、「止む無し」でも「已む無し」でも意味は同じになります。 ただし、「已む」は常用外漢字であるため、漢字で表記するのであれば「止む」を使用するのが一般的です。 常用外漢字とは「常用漢字表」に記載されていない漢字のことで、新聞など公的文章では使用されない漢字のことをいいます。
「やむなし」という古語は存在しません。 「やむなし」と関連した古語に「やんごとなし(やむごとなし)」があります。 「やんごとなし」は皆さんも中学高校の古文の授業で習ったことがあるはずです。 「やむ」は上記でも解説した「止む」「已む」です。 「絶える」という意味です。 「やむごとなし」は「絶えることができない」つまり「大切だ」という意味です。 そこから転じて「並々ではない。格別だ」「尊い。高貴だ」という意味が生まれました。
「やむなし」は、「〜もやむなし」という形で使用されます。 「〜もやむなし」の「も」は強調を意味する副助詞で、「そうするより他どうしようもない」という状況を言い表すことができます。 否定文で使うと、全面的な否定を意味します。 そうするより他ならない状態で、残念な結果になることを伝える場面で使用されます。
例文
「やむなし」は、「やむなく〜する」と副詞的に使うこともできます。 「やむなく〜する」で、「しかたなく〜する」「そうするより他なく〜する」という意味です。
例文
「やむなしですね」は、「仕方ありませんね」と同調で使う敬語表現です。 「ですね」は「だね」の丁寧語で、相手の発言に同意を示す相づちとして用いる敬語表現です。 ただし「やむなしですね」は、丁寧語なので目上の人に使用することができますが、丁寧語は文章全体を丁寧にする敬語表現であり、相手に敬意を示すことができません。 ビジネスシーンで使用するにはカジュアルな印象があるため、使用する相手や場面には注意が必要です。
「致し方ない」はビジネスで使える敬語の言い換えです。 「致し方がない」は、「いたしかたがない」と読みます。 「致し方がない」は、「しかたがない」を丁寧にした言葉です。 ビジネスシーンにおいて、同じで避けることや逃れる事ができずにもはや受け入れることしかできないというような状態や、どうあがいても改善の見込みがないという状況を言い表すときに使用する言葉です。 「致し方ない」は「しかたがない」を丁寧にした言葉ですが、敬語ではありません。 目上の人に使用する場合は敬語表現にする必要があります。 「致し方ない」は、「致し方ありません」「致し方ございません」で敬語表現になります。 「致し方ありません」は、「ある」の連用形「あり」+丁寧語「ます」の未然形「ませ」+打ち消し「ぬ(ん)」なので、丁寧語です。 「致し方ございません」は、丁重語「ござる」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」+打ち消し「ぬ(ん)」です。 「丁重語」とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示す敬語表現です。 丁重語は、自分をへりくだり相手に敬意を示す謙譲語と同じ種類の敬語で「謙譲語Ⅱ」ともいわれます。
例文
「仕方がない」は、
という意味です。 「仕方」の意味は「物事を行う方法や手順・やり方」で、「仕方がない」で「方法がない・どうしようもない」という意味になります。
例文
「是非もなし」は「ぜひもなし」と読みます。 「是非」は「良い事。悪い事」で、「良し悪しを判断すること」という意味です。 「なし」は、打ち消しの意味で使用されています。 よって、「是非もなし」は良し悪しを判断している場合ではない」ということを広く解釈して「仕方がない」という意味になります。
例文
「余儀なくされる」は、「よぎなくされる」と読みます。 「余儀」は「他のこと。それ以外の仕方。」という意味です。 「余儀なくされる」は、「それ以外の仕方をなくされる」となり「〜するより他ない」という意味になります。 「選択の余地がない」は、「せんたくのよちがない」と読みます。 「選択」の意味は、「選ぶこと」です。 「余地がない」は「その事をなしうる機会。余裕がない。」という意味です。 「選択の余地がない」で、「選ぶ機会や余裕がない」となり、「〜するより他ない」という意味になります。 「余儀なくされる」「選択の余地がない」もビジネスシーンでよく使用されます。
例文
その他にも「どうしようもない」という意味で使用される言葉には、
などがあります。 古めかしい響きがあるため使用頻度は低いですが、「よんどころない事情で〜」などと使用されることもあるので覚えておくと良いでしょう。
「不可避」の読み方は「ふかひ」です。 「不可避」の本来の意味は「避けられないこと」「必ず起こること」です。 ネットスラングでも意味は「避けることができない」となります。 主に「草不可避」「大草原不可避」と使われ、意味は「笑わざるを得ない」となります。 この「草」や「大草原」というのは「(笑)」の意味を持つ「w」が草に見えることから来ています。 なので「笑いを避けられない」となり「笑わざるを得ない」という意味になります。
「不本意ながら」は「ふほんいながら」と読みます。 「不本意」の意味は「自分の本当の気持ちとは異なること」です。 「不本意ながら」で「本意ではないけれど」「望むところではないけれど」という意味になります。 「自分の望むところではないけれど、そうするより他ならない」ということを言い表し、ビジネスシーンなどかしこまった場面でもよく使用されます。 「渋々」は「しぶしぶ」と読みます。 「渋々」の意味は「気が進まず、いやいやながら物事をするさま」です。 周囲からの求めをことわりきれなかったりして、心ならずもその事をすることを「渋々〜する」といいます。 「渋々」は「いやいや」というネガティブな意味が強いのでビジネスシーンの使用は避けたほうが無難です。
「やむなし」はこれといった対義語を挙げるのが難しいです。 「やむなし」を「他の選択肢がない」と解釈すれば「選択の余地がある」が反対語にあたります。 「いくつかの方法がある」「方法を選択する余裕がある」という意味です。 「余地」はもともと「使わずに空いてある土地」という意味です。
「やむなし」の英語表現について解説していきます。 「できることはなにもない」というニュアンスならば「nothing you can do」を使います。
That's how it is in society, so there is nothing you can do about it.
社会ではそうなんだから、やむなし。
「避けることはできない」というニュアンスは「help」を使います。 「It can't be helped.」の形で「仕方ない」という意味でよく使います。 「There is no help for...」の形で「...は仕方ない」という意味にもなります。
It can't be helped.
それはやむなし。
「やむなし」の意味は「どうしようもない」で、「ほかにどうすることもできない」「そうするより他に方法がない」という意味合いで使用される言葉です。 「やむなし」は「やむを得ない」「やむを得ぬ」という言い方もできます。 「やむなし」の語源は古語ではありません。 「やむなし」は、「〜もやむなし」という形で使用されます。 「〜もやむなし」の「も」は強調を意味する副助詞で、「そうするより他どうしようもない」という状況を言い表すことができます。