「感無量」の意味と使い方を解説していきます。感無量をネガティブな意味で使うことはできるのでしょうか?ビジネスでの敬語表現はどのような形になるのでしょうか?類語は?そんな疑問にお答えしていきます。
「感無量」の読み方は「かんむりょう」です。 「感無料」と表記するのは間違いですので、注意しましょう。 「観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)」という仏教経典がありますが、これとは全く関係ありません。
「感無量」は四字熟語「感慨無量(かんがいむりょう)」を略した言葉です。 「感無量」の意味は「感慨無量」と完全に同じです。 「慨」を「概」と書くのは誤りなので注意です。 「感慨無量」は「感慨(かんがい)」と「無量」の2つの二字熟語が組み合わさって成り立っています。 「無量」は「量が無いこと」ではなく「はかることが出来なほど量が多いこと」を示しています。 よって、「感慨無量」とは「感慨がはかりきれないほど深い」という意味です。 「感慨」には2つの意味があります。
「感無量」は「感慨無量」の略であるとお伝えしました。 「感慨」は「感じて慨(なげ)く」なので、もとは「悲しみいきどおる」という意味です。 しかし現代ではこのようにネガティブな意味では使えません。 例えば「事故に巻き込まれ感無量だ」など表現するのは誤用です。 悲しい感情でどうしようもない場合は「胸が張り裂ける思い」「息が詰まる思い」「身を切る思い」などを使います。
「感無量の思いでいっぱい」という表現は、”二重”に二重表現です。 「感無量」自体に「思いがいっぱい」という意味があるので、「感無量の思い」でも「感無量でいっぱい」でも二重表現となります。 「感無量の気持ちでいっぱいです」も同様に二重表現となります。
結婚式のスピーチでもよく用いられています。 例えば「幼い頃から親友である○○さんの晴れの日をこうして迎えることができ、感無量です」などと使います。
「感無量」の例文
「感無量」はビジネスシーンで上司や取引先などの目上の人に対しても使うことができます。 この場合、「しみじみする」という意味の場合もありますが、「感動する」という意味の場合もあります。 その場合は敬語表現を併用して
などと使います。 ちなみに「感心しました」は上から目線になってしまい、目上の人に使うべきではない日本語もあるので注意してください。 「脱帽しました」も目上の人には使えません。「相手を自分よりも上だと認める」という、上から物を言うニュアンスが込められます。
「感無量」のビジネス例文
「感無量」であることをより強調したい場合は「感無量の極み」と使います。 「極み」は、「きわまるところ」「物事の行きつくところ」を意味しています。 そのため「感無量の極み」は「この上なく感無量であること」を表します。 胸がいっぱいで言葉にならないほど感動している様子を伝えることができます。
「感無量の極み」の例文
「感慨深い」は「かんがいぶかい」と読みます。 意味は、「感慨の度合いが強いこと」「過去のことや、今までのことに対してしみじみと深く感じられること」です。 主に、以前の経験や過去があっての今のことに対して使われます。 ちなみに「感慨深い」も悪い意味では使いません。 良いや悪い、というよりは「過去を思い出して懐かしい気持ちになること」を指す言葉です。
「感慨深い」の例文
「感慨多端」は「かんがいたたん」と読みます。 意味は「身に沁みて、心に深く感じることが多いこと」です。 「多端」には複雑で多岐にわたることといった意味があります。 「お話を聞けて、感慨多端です」と使い「感動することがたくさんあった」と伝えることができます。 感慨多端もポジティブな意味で使われます。
「感慨多端」の例文
「万感の思い」は「ばんかんのおもい」と読みます。 「一瞬で心にわき起こる様々な感情」を表現する言葉です。 嬉しい気持ちや悲しい気持ち、安心する気持ちや大変だった気持ちなど、いろんな感情が入り混じってわき起こる時に使われます。 嬉しい気持ちだけ、悲しい気持ちだけ、の時には使われません。 主に、何かを成し遂げた時や長い道のりを振り返った時などに使われます。
「万感の思い」の例文
「しみじみ」の意味は、
などがあります。 「しみじとした表情」「しみじみとした気持ち」などと使います。
「しみじみ」の例文
「感極まる」は「かんきわまる」と読みます。 意味は「感動の極みに達すること」です。 感動で胸がいっぱいになり、思わず涙が溢れたり言葉が詰まったりすることを表します。 「感極まる」は良い意味で使い、悪い意味でも使いません。
「感極まる」の例文
「感無量」の「感情で胸がいっぱいになる」というニュアンスから「full of emotion」と英訳する辞書等がありますが、不適切です。 「full of emotion」だと「感性が豊か」という意味で、あまり日常的に使う表現ではありません。
「感無量」を「とても嬉しい」と解釈すると「delighted」が適切です。 「be delighted with...」の形で使います。
Peter was delighted with the news.
ピーターはその知らせを聞いて、感無量になった。
「overwhelmed」で「突然強い感情を抱く」という意味になります。 「be overwhelmed with/by...」となります。 「深く感動する」を意味する「deeply moved by」を使うことも可能です。
I was overwhelmed with the letters of support I received.
応援の手紙を受け取って、感無量になった。
「感無量(かんむりょう)」は「感慨無量(かんがいむりょう)」の略です。 「思いが胸に深くしみて、何も言えない状態になること」を指します。 過去の経験を思い出した時や嬉しさや感謝の気持ちから感動した時に使います。