「感心」という言葉をご存知でしょうか。相手の行動や何か物事に心を動かされたときに、「感心する」「感心した!」などと言いますよね。他にも、「感動した」「感激した」「すごい」などという言葉がありますが、「感心」もよく使われます。使うことが多い「感心」ですが、目上の人に対して使うことができるのでしょうか。実は「感心する」を使用する際は、注意しなければならない点があります。間違えて使ってしまうと、相手に失礼な印象を与えてしまいます。そこで今回は「感心する」の意味や使い方、「関心」「歓心」との違いについて解説していきます。「感心する」を正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「感心」には3つの意味があります。 1. 感動する。深く心に感じること。優れた技量に心を動かされること 2.「感心な」で、行動や態度などが褒められるべきであるさま。 3. ひどさにあきれること。びっくりすること となります。 「感」は「外部の物に触れて心が動く。心の動き」、「心」は「こころ。精神」を意味します。 ある事に触れて、心を深く揺り動かされることを「感心する」と言います。 感情や知性から物事に触れて優れていると判断し、心が動かされることを表します。 何か素晴らしいものを見て、『すごいな〜』『偉いな〜』と思うことを「感心する」と表します。
結論から言うと、「感心する」「感心しました」は目上の人に使わない方が無難です。 上記で説明した1や2の意味で使ったとしても、上から目線な響きがあります。通常「感心する」は「ものすごく良かったと評価する」という意味で、目上の者が目下の者に使います。 「感心」という言葉自体は失礼な言葉ではありませんが、「思っていたよりも...」「評価する」というニュアンスが含まれます。「素晴らしいと評価して褒める」と言うことなので、目上の相手に使うと上から目線に聞こえます。 また、3の意味で使うのは論外ですよね。ビジネスシーンの目上の人である上司や顧客に対して、皮肉や嫌味を言うなんてありえないですよね。褒めるつもりで「感心する」を使っても、馬鹿にしていると勘違いされてしまう可能性もあります。 したがって、「感心する」「感心しました」は目上の人には使いません。 目上の人には、下記で紹介する表現を使うのが良いでしょう。
目上の人には使用を避けるべきである「感心」は、どのように使うのが正しいのでしょうか? 基本的には「感心」は、「感動する。深く心に感じること」という意味なので、人の行動や物事が優れていると思った場合に「褒め言葉」として使います。 「感心する」「感心しました」は目上から目下の者、あるいは同等の相手に対して使うのが適切です。 言い回しとしては、
などがあります。 例えば、「君の礼儀正しさには感心するよ」「彼女の演奏はとてもしなやかで感心させられる」などと言います。 「感心な◯◯」という形で、「非常に優しくて感心な少年」「本当に友達思いで感心な人」と使うこともできます。
「感心」は否定文で使うこともあります。 相手の言動を良くないと思った場合に、遠回しに相手を批判・非難するニュアンスで使います。 否定文でももちろん目上の人には使えません。 言い回しとしては、
などとなります。 例えば、「陰口を言うのは感心しない」「そんな汚いやり方は感心できない」などと言います。 これは、「良いとは思わない」「賛成はできない」という意味になります。
「感心」を3つ目の「ひどさにあきれる」という意味で使うと、皮肉で否定的なニュアンスになります。 実際には優れていない事・物に対して、「感心」という言葉を使うことで、反語的な役割をします。 「暗に馬鹿にする、軽んじる」という意味合いで、ものすごく嫌味っぽく聞こえます。 例えば、「図々しさに感心する」「馬鹿さに感心する」といったように使います。 「図々しい」「馬鹿さ」などは本来褒めるべきことではありませんが、これを「感心する」と言うことで、相手を嘲笑するような意味合いとなります。 皮肉でももちろん目上の人には使えません。
上記でも説明したように、「感心しました」は目上の人には使えません。 それでは目上の人に感心した旨を伝える場合は、どのように表現すればよいのでしょうか? 「感心」に近い熟語を使った言い回しは、
などとなります。 これらの言葉は「評価する」という意味合いは含まれず、尊敬する気持ちや憧れの気持ちを表す表現です。 何か目上の人の行動に心を動かされた時は、「感動しました」「感服いたしました」を使います。 こういった敬語がすぐに出てこない場合は、「私も部長のようになれるよう、精進します!」などと、自分の思いをそのまま伝えてみるのも良いでしょう。 熟語ではなく通常の言い回しは、
などとなります。 相手によって「感服」や「敬服」だと堅苦しいなと感じる場合は、「素晴らしいね」などと身近な表現を使いましょう。
例文
「感心」・・・ある事に触れて、心を深く揺り動かされること。優れた技量に心を動かされること 「関心」・・・ある事に興味を持つこと。心が惹かれて注意を向けること 「歓心」・・・心から喜ぶこと。人の心を喜ばせること 「寒心」・・・恐怖や心配に思う気持ちでゾッとすること。肝を冷やすこと
「関心」の意味は、
です。 「関心」は簡単に言ってしまうと、「興味」ということです。 主に、「関心が高まる」「関心を持つ」「関心の的」などと使います。 例えば、「最近、政治に関心がある」といった場合は「最近、政治に対しての興味を持っている」という意味になります。 「関心」の反対語は「無関心」です。「無関心」は「心にかけないこと。興味を持たないこと」を表します。 「感心」はよく「関心」と間違えられやすいです。 「関心を持つ」を「感心を持つ」と誤用している人がいますので注意してください。
例文
「歓心」の意味は「心に喜ぶこと。喜んで嬉しいと思う心」です。 何かを喜ぶ気持ち・うれしいと思う心を表します。 「歓心を買う」という表現をよく使います。 「部長の歓心を買う」「上司の歓心を買う」といったように、「気に入られるように頑張る」という意味になります。 「歓心を得る」といった場合は、「人に気に入られる」ということを表します。 例えば、「プレゼントで彼女の歓心を買う」は「プレゼントを贈ることで気に入られようとする」ということです。
例文
「寒心」の意味は「心配などで肝をひやすこと。心に恐れを抱いて、ぞっとすること」です。 恐れや不安を抱いていてゾッとしてしまうこと・よくよく考えてみて恐怖に陥ることを表します。 「寒」には「身震いする。ぞっとする」という意味が含まれます。 「寒心に堪えない」という表現をよく使います。これは、「恐怖に思う気持ちを抑えることができない」という意味になります。 「身の毛もよだつ」「血の気が引く」「おっかない」などと言い換えることができます。
例文
舌を巻く (意味:驚き恐れ、あるいは感嘆して言葉も出ないこと) 「素晴らしい演奏に舌を巻く」 思わずうなる (意味:うっかり感心する。芝居で見物人が声を立てて褒めること) 「名演技に思わずうなってしまう」 感服する (意味:深く感じて服従または敬服すること) 「あなたの優しさに感服しました」 脱帽する<だつぼうする> (意味:その相手にはとてもかなわないとして敬意を表すこと) 「君の律儀さには脱帽するよ」 瞠目する<どうもくする> (意味:驚いたり感心したりして目を見張ること) 「彼の完璧なスピーチに瞠目する」 目を見張る (意味:驚いて目を大きく見開くこと) 「甥っ子の成長ぶりに目を見張った」 言葉を呑む (意味:強い感動や驚きのため、言葉が出なくなること) 「圧巻のパフォーマンスに言葉を呑んだ」 感嘆する (意味:感心して褒めること) 「舞台の出来栄えに感嘆する」 膝を打つ (意味:手のひらで膝をポンと叩くこと。急に思いついたり感心したりしたときの動作) 「閃いたアイデアに膝を打つ」 合点が行く (意味:納得すること。得心すること) 「彼の説明に合点が行く」 呻く<うめく> (意味:感嘆にたえず声を出すこと。嘆息して声を出すこと) 「あまりの美しさに呻く」
嘲笑する<ちょうしょうする> (意味:あざけって笑いものにすること) 「失言で世間の嘲笑を買ってしまう」 揶揄する<やゆする> (意味:からかうこと) 「馬鹿みたいだと揶揄された」 冷笑する (意味:あざわらうこと。さげすみ笑うこと) 「アホなことをして冷笑された」 愚弄する<ぐろうする> (意味:人を侮り、からかうこと) 「あいつは人を愚弄する最低な奴だ」 罵倒する<ばとうする> (意味:はげしくののしること。酷く悪く言うこと) 「人を笑いながら罵倒するなんて悪趣味だね」 反発する (意味:反抗して受け付けないこと) 「意見が合わない相手に反発する」 嘲罵する<ちょうばする> (意味:あざけりののしること) 「ひたすら嘲罵されてストレスが溜まる」 反抗する (意味:手向かうこと。そむきさからうこと) 「あの人に反抗することなんてできないよ」
同等や目上の人から、「いや〜本当に感心したよ!」「すごいね。感心させられたよ」などと言われることがありますよね。 このように褒められた場合は、何て返すのが適切なのでしょうか?
褒められた場合は、素直に「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えられる一言を返すのが無難です。 他にも、「そう言っていただけると、自信になります」「本当に嬉しいです」「今後も頑張ります」などと褒めてくれた相手を立てるような言葉を返すのも良いでしょう。 仲の良い相手であったら、「君に鍛えられたからね」「そんなに褒めても何も出てこないよ」などと言うのが適します。
感謝の気持ちを伝える以外にも、褒められたときは謙遜する場合もあります。 謙遜する場合は、
などと言います。 ただ、謙遜するつもりで「そんなことありません」「私なんか...」「全然です」と言ってしまうと、逆に相手の発言を否定していることになってしまうため、目上の人にはなるべく使わないほうが良いでしょう。 「私なんかより◯◯さんの方が...」「◯◯さんの方が素晴らしいですよ」と相手のことを褒め返してしまうのも、何だか嘘っぽく聞こえてしまうためNGです。
「感心しました」「感動しました」の英語表現は、
などがあります。
I got really impressed with your words.
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「感心する」について理解できたでしょうか? ✔︎「感心する」は「相手の行動や物事に触れて、心を深く揺り動かされること」を意味 ✔︎「感心する」は目下の人から目上の人、同等の立場の人に使う ✔︎ 目上の人に使う場合は「感服する」「敬服する」「感銘を受ける」などを使う ✔︎「感心する」の類語には、「舌を巻く」「目を見張る」「言葉を呑む」などがある