よく「感慨深いなぁ〜」などと、使いますよね。 しかし「考え深い」と混同して使ってはいませんか? 今回はそんな「感慨深い」という言葉について詳しく解説します! 「考え深い」との違い、「感動」との違いは何があるでしょうか。 「感慨深い」の、正しい意味・使い方と類語や英語表現まで例文付きで分かりやすく説明します。 一般的にもよく使われている日本語のひとつですので、しっかりと覚えましょう!
「感慨深い」は<かんがいぶかい>と読みます。 意味は、「感慨の度合いが強いこと」「過去のことや、今までのことに対してしみじみと深く感じられること」です。 主に、以前の経験や過去があっての今のことに対して使われます。 「感慨」は元々「物事に深く感じてため息をもらすこと、その時の気持ち」といった意味がありました。 「感」には「感じる」「心を動かす」「感覚」などといった意味があります。 「慨」には「いきどおる」「嘆く」「悲しむ」などといった意味があり「心がつまる様子を表しています。 それが組み合わさり、「以前に経験したことや今までのことなどを思い出したときに起こるしみじみとする、自分の内側から湧き起こる気持ちのこと」を指します。 また、「慨」の字は「概念の概」とは異なりますので書く際は気をつけましょう!
結論から言うと、「感慨深い」は悪い意味では使いません! ただ、「慨」の字に「憤る」や「悲しむ」などといった意味があるためにそう感じたり、しんみりすることが「さみしさ」を感じたりすると捉えられることから、「悪い意味」と感じる人がいるのかもしれませんね。 「感慨深い」は、「思いを巡らせてしみじみとする気持ち」のことを指します。 良いや悪い、というよりは「過去を思い出して懐かしい気持ちになること」を指す言葉です。 その過去に「良いこと」や「悪いこと」が含まれている場合はありますが、「感慨深い」という言葉自体は悪い意味を表す言葉ではありません。 「良いこと」も「悪いこと」も含めて、「感慨深い」ということです。
「感慨深い」とは「感慨」にも「しみじみと深く感じる」といった意味が含まれているから二重表現なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、「感慨深い」は二重表現ではありません。 なぜなら、「感慨」には直接的に「深さ」を示す意味はないからです。 「感慨」には「深く感じる」といった意味はありますが、「強く感じる」などとも言い換えられます。 言葉のニュアンスとして、「感慨」は「しみじみとした気持ちが深く感じる様子」と表現されているだけです。 あまり違和感を感じている人などはいないと思いますが、「深い」といった言葉が重なったので説明しておきます。 それでは「感慨深い」の使い方を見ていきましょう。
「感慨深い」とは、過去のことを思い出して使う言葉です。 例えば、プレゼントをもらった時や良い景色を観た時などに「感慨深いです」というのは間違いです。 「感動」や「感激」などと間違えないように注意しましょう。 また、ちょっとした過去に対してや何事もなかった日などに使うのも不自然であったり大袈裟に感じられることがあります。 卒業式のときなどに「3年前の入学式のことを思い出すと感慨深い」などと使いましょう。 ただ、そこに大きな変化や成長やさまざまな苦労や努力などの思い出がある場合に「感慨深い」は使われます。 なぜ、「感慨深い」という言葉が「以前の経験や今までのこと」を指すかというと、自分の内側から湧き起こる気持ち=自分のことに対して使う言葉だからです。 例えば子供の成長に対して使う場合でも、自分が子供を育て世話をしてきた過程があるからこそ「感慨深い」のです。 「感慨深い」ときには、必ずそこに「自分との関係」があります。 また、文脈では「感慨深い」の他に「感慨深く」「感慨深げ」「感慨深そう」などと使われます。 正しい使い方は例文を参考にしてみてください。
「娘も明日で成人になるとは、とても感慨深いものがある」 「友達の結婚式で中学時代の私達の写真が流れ、中学で出会った友人が結婚したのかと改めて実感し、感慨深く思った」 「生前、父と訪れていた場所に母と来たが、とても感慨深そうだった」 「部屋の片付けをしたら、新人の頃のメモや書類が出てきてとても感慨深かった」 「彼について感慨深げに話していたのが不思議だったが、どうやら彼女は以前その彼と何かあったようだ」 「お店で懐かしい曲が流れてきて、なんだか感慨深かった」 「入りたての頃はずっと緊張していた後輩の笑顔を見られるようになるとはとても感慨深い」
○懐古(かいこ) 意味:昔のことを懐かしく思うこと ○回顧 意味:過去のことを思い返すこと、昔のことに考えを向けること ○郷愁(きょうしゅう) 意味:昔のことを懐かしく思ったり、惹かれたりする気持ち ○ノスタルジア 意味:遠い過去の時を懐かしむ気持ち、郷愁 ○感動 意味:物事に深く感じて、心を動かすこと ○感激 意味:強く心を動かすこと ○しんみり 意味:心に深く感じるさま、しみじみとする様子
「考え深い」は「深く考えを巡らせる様子」「考え方が慎重であること」「思慮深い」といった意味があります。 そもそも、「感慨」は「(以前の経験を)深く感じること」「(以前の経験に)しみじみとした気分になること」であり、「考え」は「思考」や「思慮」のことです。 意味も異なるものであり、「言葉の響き」が似ていることから混同しやすくなっています。 「過去のことに対して心が動いたこと」が「感慨深い」であり、「現在や過去も関係なく、ただ深く考えを巡らせる様子」が「考え深い」です。 そのため、「考え深い」は感情が動くことなどには使われず、人の性格や表情などに対して使われています。 例えば、久しぶりに母校などに訪れた際に「考え深い」と使うのは間違っています。 この場合は「感慨深い」を使うのが適切です。 「考え深い」の正しい使い方は例文を参考にしてください。
○「考え深い」を使った例文 「会議中彼はずっと考え深い顔をしていた」 「思いもよらぬ事態に課長は考え深い様子で一日中過ごしていた」 「彼女は昔から考え深い人だ」 「一度失敗をしてから、随分と考え深くなってしまった」
例文から分かるように、「感慨深い」とは意味も使い方も異なります。 それでは、「考え深い」の類語をいくつか紹介します。 ○「考え深い」の類語 ○慎重 意味:注意深く、軽々しく行動しないこと ○思慮深い 意味:物事を注意深く、十分に考えるさま ○熟考 意味:念を入れてよく考えること、十分に思い巡らすこと ○注意深い 意味:物事を注意する度合いが強いさま 「感慨深い」と「考え深い」の違いについて理解できたでしょうか? しっかりと覚えておきましょう。
「感動」の意味は、「物事に対して深く感じて心を強く動かすこと」です。 主に、その時その瞬間に見聞きしたことや起きたことに対して使う言葉です。 「感慨深い」が「以前の経験や今までのことなどに対して心が動くこと」に対して、「感動」は「美しいものや素晴らしいものに接して心を奪われること」です。 例えば、きれいな夜景を見に行った際は「感動」を使います。 しかし、その夜景に思い出があったり、自分が手がけたものであれば「感慨深い」と使うこともあります。 自分自身と直接の関係がなければ「感動」を使うのが適切です。 「感動」の正しい使い方は例文も参考にしてください。
○「感動」を使った例文 「長い間意識不明だった婚約者が目をさますという実話の映画を観て感動した」 「誕生日に友達から盛大にサプライズパーティーをしてもらい感動する」 「ドラマを観てもあまり感動などしない」 「山頂から見た景色があまりにも美しく、感動して涙が溢れ出た」
例文から分かるように、「感慨深い」とは意味も使い方も異なります。 それでは、「感動」の類語をいくつか紹介します。 「感動」の類語 ○感激 言い:強く心を動かすこと、ものに深く感じて奮い立つこと ○感銘 意味:しっかりと心に刻み込んで忘れないこと ○感心 意味:心に深く感じること、ほめるべきこと ○感極まる 意味:感動の極みに達すること ○琴線(きんせん)に触れる 意味:深く心情を刺激すること …良い物事を見聞きして感動するさまを、琴の糸が触れられて鳴るさまに喩えた表現 「感慨深い」と「感動」の違いについて理解できたでしょうか? 混同しやすいですが、しっかりと覚えておきましょう。
「感慨深い人」とは、果たしてどんな人なのでしょうか? 最初からこの記事を読んでくれている人は気づいているかもしれませんが、、、「感慨深い人」という言葉はありません。 「感慨深い」は人の様子や性格を表すものではありません。 「感慨深い人」と使っている人もいますが、その場合は「考え深い人」と混同していると思われます。
「感慨深い」の他にも、「感慨」を使った言葉があります。 それらを紹介していきます。 ○感慨を受ける …あまり使われる言葉ではありませんが、何かを見聞きして「懐かしい気持ち」が自分に及んでくる様子を表します。 ○感慨にふける …「物思いにふける」などと同じで、他のことを忘れてそれだけに没頭したりする様子を表します。要するに、過去を思い出してしみじみとした気持ちだけに没頭している様子です。 ○感慨がある …「以前の経験に対してしみじみとした気持ちや思い」がある様子を指します。「ひさびさの再会には感慨がある」などと使います。 ○感慨に浸る …「感慨にふける」と同じ意味で使われます。「しみじみとした気持ち」に深く感じ入りその境地に入り込む様子を表します。 ○感慨を込める …「しみじみとした気持ち」を込めることです。「感慨を込めた手紙」「感慨を込めた声」など、行動や物事に対して「感慨=以前の経験へのしみじみとした思い」を馳せることです。 ○感慨ひとしお …より一層しみじみと深く感じ入ることです。 ○感慨無量 …一般的に使われている「感無量」と同じ意味です。 実際には「感慨無量」が正しく、それが省略されて「感無量」となりました。 以前の経験や今までのことに対して、これ以上の気持ちはないということを表します。
「感慨深い」の英語表現を考えていきましょう。 「感慨深い」の「色々としみじみと感じられる」というニュアンスを強調したければ、
などと使えばよいです。直訳すると「それは私にとって大きな意味を持ちます」という感じです。感謝の気持ちを連想させる言い回しです。 「感動的だ」というニュアンスを強調する場合は、
などのがよいでしょう。
I finally got accepted into Stanford. It really means a lot to me.
とうとうスタンフォードに合格した。本当に感慨深いものがある。
It is so moving to see my daughter turn 20.
娘が成人するを見るのは、とても感慨深い。
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「感慨深い」について理解できたでしょうか? ✔「かんがいぶかい」と読む ✔以前の経験、または過去があっての今のことに対して、しみじみと感じる気持ちが深いことを表す ✔「考え深い」とは読み方が似ているだけで、意味や使い方は異なる ✔「感動」は「感慨」と似た意味を持つが今この瞬間のことにも使える点など異なる 一般的によく使われる言葉のひとつです。 正しい意味と使い方をしっかりと覚えておきましょう!