「落とし込む」には「落として、中に入れる」「人を好ましくない状態に追いやる」などの意味がありますが、ビジネスシーンでは「出された意見を文書などに取り入れる」「抽象的な概念を具体的な形にして表す」という意味で使います。「ブレイクダウンする」「プログラムする」といったカタカナ語に言い換えることも可能です。
「落とし込む」の一つ目の意味は「落として、中に入れる」です。 物を落下させて、あるもの中に入れることを「落とし込む」といいます。 高いところから物を落下させるという意味ではありません。 例えば、食事をするときに「食べ物を胃に落とし込む」などと言い表します。 ポッケやかばんに荷物を入れるのも「落とし込む」と言い表すことができます。
例文
二つ目の意味は「人を好ましくない状態に追いやること」です。 悪意をもって、相手がよくない状況になるように仕向けることを「落とし込む」と言い表すことができます。 例えば、同僚の悪口やよくない噂を言い広めて社内での評判を落としたり、退職をせざるを得ない状態にするといった行為を「落とし込む」といいます。
例文
三つ目の意味は「出された意見を文書などに取り入れる」です。 この意味では、主にビジネスシーンで使われます。 ビジネスシーンでは、会議で出た意見を文章にしてまとめることを「落とし込む」といいます。 この場合、ただ記録として書き残すというよりは「意見や考えを反映させて、わかりやすくまとめる」ということです。 また、「プロジェクトを計画表に落とし込む」というように、決まったことを計画表に反映させるなど視覚的にわかるようにするという意味になります。 ビジネスシーン以外でも、例えば自己啓発本を読んで得た情報を「自分に応用するにはどうすれば良いのか」を考えて実際に活かせるようにすることを「落とし込む」と表現することも多いです。
例文
四つ目の意味は「抽象的な概念を具体的な形にして表す」です。 ビジネスシーンでは、目標やアイディア、発想をより具体的にしていき実際の行動に移していきます。 アイディアや目標を出したときに、そのアイディアや目標を具体的にしていかなければ実際に行動に反映させることはできません。 なので、例えば「売上前年比100%超えを目指す」という目標を立てたときに、実際にどうすれば売上が上がるのかを分析して、具体的にどう行動していけばいいのか可視化していきます。これが「落とし込む」ということです。 また、何かを見て感じた気持ちを自分の中で整理してわかりやすく言葉に表すなど、具現化する場合や、自分の中で理解できていることを行動に移すといった場合も「落とし込む」といい表すことができます。
例文
①の意味では「投げ込む」「投げ入れる」「放り込む」などが類語にあたります。 「投げ込む」は、「投げて中に入れること」です。 また、野球で投手が投球練習することをも「投げ込む」といいます。 「投げ入れる」も「投げて中へ入れること」です。 例えば神社やお寺でお参りをするときに、お賽銭を入れるように投げて内部に入れることを「投げ入れる」といいます。 「放り込む」も「投げて入れること」です。 投げるようにして物をいれたり、乱暴に入れることを「放り込む」といいます。 また、「若者の輪の中に放り込まれる」というように、乱暴に人をある状況に入られることを意味して使われることもあります。
②の類語では「陥れる」「誘惑する」「唆す」などがあります。 「陥れる」は「中に落ち込ませる」「だまして苦しい立場に追いやる」という意味です。 無実の人を犯罪者になるように仕向けたりすることを「陥れる」といいます。 「誘惑する」は、「誘って心を惑わすこと」です。 良くないことをするように誘導したり、良くない道に誘い込むことを「誘惑する」といいます。 「唆す」は「その気になるようにおだててある行動をするように誘い込むこと」です。 特に悪いことをするように仕向けることを「唆す」といいます。
③の意味での類語には、「反映させる」「当てはめる」「適応させる」などがあります。 「反映」の意味は「光が反射して象ができること」です。 そこから転じて、日常会話やビジネスシーンでは「影響が及んで表れること」という意味で使用されています。 例えばビジネスシーンでは「今日会議で出た意見を資料に反映させる」と「今日会議で出た意見を資料に落とし込む」は同じ意味です。 「当てはめる」の意味は「ある物事が基準とする別の物事にうまく合うようにする・適用する」です。 あるものを他のものの中にうまくおさめいれることを「当てはめる」といいます。 「適応させる」意味は「周囲の状況・条件などによくあうこと」また、「よく合うように行動や考え方を変えること」です。
④の意味での類語には「詳細化」「具体化」「具象化」があります。 「詳細化」の意味は「細かいところまで詳しくすること」です。 細かな部分までもらすことなく取り上げることを「詳細化する」といいます。 「具体化」の意味は「抽象的なことを実際に形として表すこと」です。 「具象化」の意味は「はっきりした形をもってあらわすこと」です。 ビジネスシーンなどで目標やプロジェクトの構想・計画を実際に実現できるように実行に移すことを「詳細化する」「具体化する」「具象化する」と言い換えることができます。
「ブレイクダウン」の原義は「分解」です。 そこから転じて、ビジネスシーンでは 「上位組織で決まったことを、下部組織に指示する」 「アイディアや構想を細分化する」 という意味で使用されます。 例えば上位組織で大きな目標を設定したときに、目標を達成するために具体的にどうしていけば良いのかを明確にしていく必要があります。 どうしていくべきかを明確にしたら、具体的な作業項目にわけて人員を割り当てを行います。 この目標を細分化するなど、目標を達成するために動き出せるようにすることを「ブレイクダウンする」といいます。 「ブレイクダウン」は「アイディアや構想を細分化する」という意味では「落とし込む」と同義ですが、「落とし込む」には「上位組織で決まったことを、下部組織に指示する」という意味はありません。
「プログラム」の意味は、「予定・計画」です。 また、演劇や音楽・音楽会などの内容を解説した小冊子のような目録や計画表を「プログラム」といいます。 ビジネスシーンでは、例えばプロジェクトを実行したり、目標達成するための手順を具体的にすることを「プログラムする」といいます。 「プロジェクトを落とし込む」は、実際に行動に移すために詳細化して動けるようにしていくことなので「プログラムする」と言い換えることが可能です。
「スケジュール」の意味は「予定・日程」です。 ビジネスシーンでは、プロジェクトなどを実際に行動に移す際に「○月○日までに○○をする」というように実際に計画を細かく立てていくことを「スケジュール化する」といいます。 仕事を効率化するために、やるべきことをリスト化して優先順位をつけるなどスケジュール化することで作業をより効率化させます。 「落とし込む」という言葉自体に「計画を立てる」という意味はありませんが、するべきことを明確にして実際に動けるようにすることを意味する言葉なので「スケジュール化する」と言い換えることもできます。
「プロセス」は「仕事を進める方法・手順」です。 ビジネスシーンでは、プロジェクトなど事が進む経過や過程・道筋を明確にすることを「プロセス化する」といいます。 ビジネスシーンで使用される「落とし込む」には、「どのように動いて目的を達成させるかを明確にさせていくこと」という意味があるので、「プロセス化させる」の類語であるといえます。 ただ、「落とし込む」は、作業に移すためにもっと具体的に何をしていけばいいのか詳細化していくという意味で使用される言葉です。 「プロセス化する」はどちらかというと「細かく計画を立てる」という意味合いが強く「スケジュール化」に近いです。 行動に移せるぐらいに落とし込んだものを、さらにどういった手順で動いていけばいいのか過程を明確化するのが「プロセス化」です。
「マニュアル化する」は、「行動や作業の手順をまとめること」です。 作業や手順を決めることで、作業を効率化することを意味します。 ビジネスシーンでは「業務をマニュアル化する」というように使用されることが多いです。 「落とし込む」は、「具体的にする」という意味なので「すべき作業や手順を明確にする」という点では、マニュアル化することも、落とし込むことであるといえます。 「落とし込む」は、マニュアル化することだけを意味するわけではありません。
「put...into practice」で「...を実践に落とし込む」という意味合いです。 「put...into words」ならば「言葉にする」つまり「...を言語に落とし込む」というニュアンスになります。 「put...into use」は「使えるようにする」で「...を実用に落とし込む」といった感じです。 カタカナ語の類語で「ブレイクダウン」を紹介しましたが、英語の「break down」は「崩壊する」という意味なので、「落とし込む」という意味で使うことはできません。
You need to put theories into practice.
理論を実務に落とし込む必要がある。
よりシンプルな表現では「make it happen」があります。 「現実化させる」という意味です。 直訳すると「それを起こさせる」です。
いかがでしたか? 「落とし込む」について理解を深めていただけましたか? 「落とし込み」について簡単にまとめます。
など