「有象無象(うぞうむぞう)」は「世のどこにでもいる平凡で種々雑多な人々」という意味の言葉です。「有象無象の集まり」「有象無象のやから」という使い方をします。今回は「有象無象」の意味や語源、使い方を例文付きで詳しく解説します。また、有象無象の類語や英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「有象無象」の読み方は「うぞうむぞう」です。 「有」は音読みで「ユウ・ウ」、「象」は音読みで「ショウ・ゾウ」、「無」は音読みで「ム」と読みます。 「ゆうぞうむぞう」「ゆうしょうむしょう」などと読み間違える人が多いので注意しましょう。
「有象無象」の意味は、
です。 「象」は「形のある存在」という意味があり、「有象無象」で1つ目の「形があるもの・形のないもの全て」という意味になります。 また、どこにでもいるような取るに足らない人達の集まりを差して「有象無象」といいます。
「有象無象」の語源は「有相無相(うそうむそう)」という仏教用語です。 「相」は姿や形を意味します。 「有相」は「形があるもの」、「無相」は「形のないもの」と意味する言葉です。 「有相無相」で「姿や形のもつもの・もたないもの全て」という意味になり、現象や心理など、この世の全てを意味する言葉として使用されていました。 「相」が「形」を意味する言葉として一般的に理解しがたいということから、「相」の代わりに「象」という漢字が使用されるようになり「有象無象」になりました。 「この世のどこにでもいる平凡で種々雑多な人々」という意味で使用されるようになったのは、「有相無相」から「有象無象」になった後です。 「有象無象」の語感が「うじゃうじゃ」「うじょうじょ」に似ていることから「平凡で種々雑多な人々の集まり」という意味で使用されるようになったと言われています。
「有象無象」は「有象無象の集まり」「有象無象のやから」など人を差して使います。 複数人が集まっている場合に、「有象無象」という言葉を使用することができます。 「有象無象の集まり」「有象無象のやから」は、何の目的もなくただ群れているだけの人達や、特にこれといった能力ももたない平凡な人達の集まりを言い表すときに使用する言葉です。
例文
「有象無象」には「つまらない人達の集まり」というように、皮肉・嫌味になる可能性があります。 特にビジネスシーンや目上の人相手に「有象無象」という言葉を使用するのは避けましょう。 「有象無象にならないように、、、」というように、自分のことを謙遜する意味で「有象無象」を使用することは可能です。
「烏合の衆」は「うごうのしゅう」と読みます。 「烏合の衆」の意味は「規律も統制もない群衆。または、軍勢」です。 「烏合」は「鳥の集まるように規律もなく統一もなく集まること」 「衆」は「多くの人。人数の多いこと。大勢。所衆の略」を意味します。 鳥の群れのように規律も統制もなくただ集まっている集団・秩序のない、役に立たない人の集まりを表します。 ”目的やルールなどがなくただ集められた”というマイナスな意味合いが含まれます。
「獣聚鳥散」は「じゅうしょうちょうさん」と読みます。 「獣聚鳥散」の意味は「規則や統一性が全くないものの集まり」という意味です。 ただ集まっているだけで、無秩序に集まったかと思うとただ散らばるような集まりを「獣聚鳥散」といいます。 グループやチームなど集団を卑下する言葉であるという点で「有象無象」と同義語であるといえます。
「魑魅魍魎」は「ちみもうりょう」と読みます。 「魑魅」は「山の怪」、「魍魎」は「川の怪」という意味です。 本来「魑魅魍魎」は、この世のものではないとされる「妖怪」や「怪物」といった意味です。 その意味が転じて「私欲のために悪巧みをする人」の例えとして使用されるようになりました。 一般的に理解し難いような奇怪な行動や発言をする人を「魑魅魍魎」と言い表すことができます。
「悪鬼羅刹」は「あっきらせつ」と読みます。 「悪鬼」は、「人に悪いことをする化け物」という意味です。 「羅刹」は、「仏教で足が速く力強く人をだまし、人を食う魔物」のことです。 「悪鬼羅刹」は「恐ろしい魔物のたとえ」として使用されます。
1つ目の「宇宙にある有形無形のすべて」という意味の類語には、「森羅万象」「友情非常」があります。 「森羅万象」は「しんらばんしょう」と読みます。 「森羅万象」の意味は「宇宙に存在するすべてのもの」という意味の四字熟語です。 「森羅」には「無数に並び連れる」という意味があります。 「万象」は「様々な形」という意味です。 限りなく存在する有形物を「森羅万象」といいます。 「有情非情」は「うじょうひじょう」と読みます。 「有情非情」は、仏教用語で「感情など心の働きをもつものと、もたないもの」という意味です。
「多士済々」は「たしせいせい」と読みます。 「たしさいさい」と読むこともできますが、「たしせいせい」が正しい読み方です。 「多士済々」の意味は、「優れた人物が多い様子」です。 「多士」は「多くの人材」、「済々」は「数が多い様子」という意味の熟語です。 本来は、優秀な人材が多くいることを言い表す四字熟語ですが、「多種多様な人物が集まっている」という意味で使用されることもあります。 「有象無象」が「取るに足らない人物の集まり」なので、優秀な人達が集まっていることを意味する「多士済々」は反対語であるといえます。
「少数精鋭」は「しょうすうせいえい」と読みます。 「少数精鋭」の意味は「よく訓練された人をよりすぐって、事にあたること」です。 「少数」は「数が少ないこと」、「精鋭」は「よく訓練された兵士や軍隊」という意味の熟語です。 数は少ないが「優れた者だけ集めている」という点で、「少数精鋭」は、「取るに足らない人物のあつまり」を言い表す「有象無象」の反対語であるといえます。
「有象無象」をグーグル翻訳に入れると、象さんが登場します...! 機械学習を通して、一定の時間が過ぎれば改善されると思われますが、この「有象無象」の英訳はネット界隈ではネタになっております。
「rabble」は「うるさくコントロールの効かない大勢の人たち」という意味で、「有象無象の集まり」に近いニュアンスを持ちます。 また、シンプルに「unimportant fellows(重要ではない人たち)」ということもできます。
You don't need to pay attention to what the rabble say.
有象無象のやからの言うことにかまう必要なし。