「栄枯盛衰」という言葉をご存知でしょうか。「栄枯盛衰は世の習い」「栄枯盛衰をものがたっている」などと何となく聞いたことがあると思います。日常会話ではめったに使うことがないので、知らないという方もいるはずです。難しそうな感じもしますが、意味は単純なので、ポイントを押さえておけばすぐに使えるようになります。使用するからにはしっかりと使いこなしたいですよね。そこで今回は「栄枯盛衰」の意味や使い方、類語、「諸行無常」との違いについて解説していきます。「栄枯盛衰」を正しく知って、言葉の知識を深めていきましょう!
「栄枯盛衰」は<えいこせいすい>と読みます。 「栄古盛衰」と書いてしまわないように注意しましょう。 「栄枯盛衰」の意味は「人の一生や世の中は、盛んなときもあれば衰えるときもあるということ」です。 人・家・組織・国家などの勢いは、盛んなときと衰えるときを繰り返していくことを表します。 「人の世というものは良いことや悪いことの繰り返しであって、確かなものではない」というニュアンスが含まれます。 「栄枯」は「(草木の繁ることと枯れることの意から)栄えることと衰えること」を意味します。 「盛衰」は「盛んになることと衰えること。隆替」を意味します。 このように、「栄枯」と「盛衰」と似た2つの熟語が組み合わさって四字熟語を形成しました。 元々は「草木が芽生えて、後に枯れていくこと」を表していましたが、転じて「人や組織の繁栄と衰退」を表すようになりました。同じ意味合いの言葉を重ねることによって、意味を強調しています。
「栄枯盛衰」は上記で説明したように、「繁栄が続けばいつかは勢いが衰える。栄えれば必ず滅びること」を意味するので、栄えていたものが一気に勢いを失ったという場合に使うことが多いです。 「栄枯盛衰」を使うことによって、様々な浮き沈みを経験して良いときも悪いときも過ごしたということがわかりますよね。 よく使う表現として「栄枯盛衰は世の習い」があります。 これは「物事が盛んなときもあれば衰えることもあるのは、世の常であり決まったことである。永遠の繁栄などない」ということを表しています。 また、「国民的人気を誇っていたアイドルがこんなに落ちぶれるなんて、栄枯盛衰である」といった場合は「国民的人気を誇っていたアイドルがこんなに落ちぶれるなんて、人の世には盛んなときと衰えるときがあるのだな」という意味になります。 「栄枯盛衰」は堅い表現ではないので、どちらかと言うと、日常会話で使うことが多いです。 それでは例文を見ていきましょう。
例文
「諸行無常」は<しょぎょうむじょう>と読みます。 「諸行無常」の意味は「この世の中のあらゆるものは変化・生滅してとどまらないこと。万物は常に変化して少しの間もとどまらないこと」です。 仏教の根本思想で三法印の一つになります。 「諸行」は「因縁によって作られた現象世界の一切の存在」、「無常」は「一切の物は生滅・変化して常住でないこと」を表します。この世に存在してるものは常に変化するため、永久不滅なものは全くないことを表します。 存在している全てのものが、いつかは変わったり壊れたり無くなったりするものであるということです。 「栄枯盛衰」は「物事は盛んなときと衰えるときを繰り返すこと」 「諸行無常」は「世の中の全てのものは常に変化・生滅して、永久不変なものはないこと」 「栄枯盛衰」は盛んになることや衰えることを繰り返すことですが、「諸行無常」は盛んになったり衰えたりすることだけでなく、もう少し広い意味、壊れたり、無くなったりと様々なものに変化することを表します。 「栄枯盛衰」と「諸行無常」では意味が少々異なるので間違えないように注意しましょう。
例文
「盛者必衰」は<じょうしゃひっすい>と読みます。 「せいじゃひっすい」とは読まないので注意しましょう。 「盛者必衰」の意味は「世は無常であるから、ときめく者も必ず衰えることがあること」です。 「盛者」は「勢いのあるもの。勢いが盛んであるもの」、「必衰」は「必ず衰えること」を表します。 よく「栄枯盛衰の理」とされていますがこれは間違いで、正しくは「盛者必衰の理」です。 『平家物語』の冒頭には、
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
という一文があります。 これは「この世は無常であり、勢いの盛んなものであってもいつかは衰え滅びること」を表します。 「栄枯盛衰」と「盛者必衰」の違いは、 「栄枯盛衰」は「物事は盛んなときと衰えるときを繰り返すこと」 「盛者必衰」は「どんなに勢いのある物事でもいつかは必ず衰えること」 「盛者必衰」が「勢いのあるものは必ず滅びる」という意味合いに対して、「栄枯盛衰」は「衰えてしまったらそこで終わりという訳ではなく、悪いことがあったら必ず良いこともある」という意味合いになります。 「栄枯盛衰」と「盛者必衰」は意味が少々異なるので間違えないようにしましょう。
例文
栄枯浮沈<えいこふちん> (意味:物事の勢いが盛んになったり、衰えたりすること) 「この世は栄枯浮沈だからね」 栄枯転変<えいこてんぺん> (意味:人の境遇が盛んになったり、衰えたりすること) 「栄枯転変を見守り続ける」 栄枯休咎<えいこきゅうきゅう> (意味:物事の繁栄と衰退、不幸と幸福のこと) 「この世の栄枯休咎に想いを馳せる」 興亡盛衰 (意味:物事が興ることと衰えること) 「興亡盛衰が激しいからしっかり対応しなくてはならない」 七転八起 (意味:幾たび失敗しても屈せずに、立ち上がって奮闘すること) 「七転八起をモットーにする」 消長遷移 (意味:盛んになったり衰えたりして移り変わること) 「物事は消長遷移だからね」 一栄一落 (意味:人が盛んになったり衰えたりすること) 「一栄一落と言うし、何事にも慎重にならないと」
有為転変は世の習い (意味:この世で起きる全ての出来事は、固定したものではなく、常に移り変わっていくこと) 「町の風景が年々変わっていく、有為転変は世の習いと言うが少し寂しいね」 驕(おご)れる者は久しからず (意味:自分の地位や権利を良いことに威張る人は、そう遠くない将来に凋落すること) 「驕れる者は久しからずって言うし気をつけなくては」 生ある者は必ず死あり (意味:生命のある者はいつかは必ず死ぬこと) 「生ある者は必ず死ありだしね、死を怖がってはいけないね」 月満つれば則ち虧く<つきみつればすなわちかく> (意味:物事が盛りに達した後は、必ず衰え始めることのたとえ) 「月満つれば則ち虧くというように、A社はあんなに利益を上げていたのに、今では赤字だ」 物盛んなれば則ち衰う (意味:物事はすべて盛んになったら、その後は衰えること) 「物盛んなれば則ち衰うって言うし今は頑張らないと」 羅紈(らがん)有る者は必ず麻蒯(まかい)有り (意味:栄枯盛衰は免れることは出来ないこと) 「羅紈有る者は必ず麻蒯有りという言葉通りである」 桑畑変じて滄海となる<そうでんへんじてそうかいとなる> (意味:世の中の移り変わりの激しいことのたとえ) 「桑畑変じて滄海となるという言葉通りに、物事の変化は著しい」
平々凡々 (意味:極めて平凡なさま) 「平々凡々な生活を送る」 何の変哲も無い (意味:何らの変わったところもない) 「何の変哲も無い毎日を過ごす」 凡庸<ぼんよう> (意味:優れたところのないこと。平凡) 「彼は凡庸であって、特に面白くない」 紋切り型 (意味:決まりきった形式。型どおりのやり方や見方) 「紋切り型の作業を進めていく」 通り一遍の (意味:ただ義理・形式・表面だけで、実委のこもっていないこと) 「通り一遍の挨拶を済ませる」 有象無象<うぞうむぞう> (意味:世にいくらでもある種々雑多なつまらない人々) 「有象無象の集まりができている」
「栄枯盛衰」の英語表現を考えてみましょう。
prosperity and decline
Life has its ups and downs.
Everything that rises will fall.
Everything is in flux.
万物流転
などと表現すればよいでしょう。
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「栄枯盛衰」について理解できたでしょうか? ✔︎「栄枯盛衰」は「人の一生や世の中は、盛んなときもあれば衰えるときもあるということ」を意味 ✔︎「栄枯盛衰は世の常」「栄枯盛衰をものがたっている」などと使う ✔︎「栄枯盛衰」の類語には、「栄枯転変」「七転八起」「物盛んなれば則ち衰う」などがある ✔︎「栄枯盛衰」の反対語には、「平々凡々」「凡庸」「紋切り型」などがある