「あります」は、「ある」の連用形に丁寧を表す助動詞「ます」が付いたものです。「有る。存在する」と、補助動詞として使う丁寧な断定の2つの意味があります。
「あります」は、ラ変動詞「ある」の連用形「あり」に、丁寧(敬語の一種)を表す助動詞「ます」が付いたものです。 「ある」の意味が2つあるため、「あります」の意味も2つになります。
1つ目は「有る」「在る、存在する」の丁寧語となります。 この場合、漢字は「有ります」もしくは「在ります」となります。 物や計画などが存在する場合は「有ります」、人が存在する場合は「在ります」です。 「ここにあります」「以前に一度あります」などと言い回します。
もう一つ目の意味は補助動詞となり、丁寧な断定となります。 「であります調」とも言われており、昨今ではあまり使われていません。 ドラマにおける古めかしい口調のセリフや警察用語として用いられています。 「それは○○であります」「私が○○であります」などと使います。
「あります」は枡記号を使い「あり〼」と表現することもあります。 〼は、お米やお酒の量を測る枡を表す記号です。 それを語尾の「ます」とかけて使われるようになりました。 江戸時代からある遊び言葉であり、お店の看板などで「お酒あり〼」などと用いられていました。
「あります」はすでに敬語です。 ビジネスシーンや日常生活、ニュースなどでもよく使われています。 ただ丁寧語なので、目上の人に対して使うには丁寧さに欠けます。 より敬意の高い表現を紹介していきます。
「在ります」の尊敬語は「いらっしゃる」となります。 そのため人に対して使う場合は「いらっしゃる」を使いましょう。 尊敬語となるため、相手のことに対して使います。
物に対して使う場合は、そのまま「あります」で問題ありません。 「いらっしゃる」を使うのは不適切ですので注意しましょう。 あくまで物であるため、尊敬の気持ちを表す必要はありません。
「あります」の尊敬語は「おありになる」「おありだ」の2つです。 例えば、「Aさんにはお子さんが2人おありだ」などと使います。 そうすることでAさんに対して敬意を表すことがあります。 またこの話をしている話し相手にも敬語を使う場合は、丁寧語「です」を加えて「Aさんにはお子さんが2人おありです」と表現します。
「あります」よりもさらにカジュアルな敬語に「です」があります。 「これは○○であります」を「これは○○です」と言い換えることが出来ます。 昨今では「であります調」だと古めかしい印象を与えるため、一般的に「です」がよく使われています。
「ございます」とした場合は、より丁寧な敬語となります。 漢字だと「御座います」と書き、「ござる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 高級レストランなどに行くと「こちら○○でございます」などと店員さんが使いますよね。 お客様に対する敬意を表しています。 ただ「〜であります」は「〜でございます」より丁寧さは劣りますが、「ございます」にはない荘重感を伴います。
「おります」と言うべきところを「ございます」と言ってしまわないように注意しましょう。 「ございます」は「ある」の丁寧な表現に対して、「おります」は「いる」の丁寧な表現です。 例を挙げてみると、
(誤)書類に関してはあちらの机の中に入ってございます。 (正)書類に関してはあちらの机の中に入っております。 =>「入って“いる”」のため「おります」が正しい (誤)◯◯はただいま外に出てございます。 (正)◯◯はただいま外に出ております。 =>「外に出て“いる”」のため「おります」が正しい (誤)その商品は当店で取り扱ってございます。 (正)その商品は当店で取り扱っております。 =>「取り扱って“いる”」のため「おります」が正しい
となります。
「あります」で物の存在を表します。 この場合、「あります」の前に来る助詞で意味合いが変わってきます。 「〜に〜があります」とした場合は、物がどこにあるのかその場所を含めて存在を表します。 「公園にボールがあります」なら、公園という場所とボールが存在するということを同時に表現できます。 「〜に〜はあります」とした場合は、AとBのどちらかだけ存在することを強調します。 「公園にボールはあります」なら「ボールならばある」と強調をしています。 ボールとバットを探しているようなシチュエーションで「ボールだけ公園に存在する」ことを表します。 「〜は〜にあります」とした場合、物が存在する場所を表しています。 「ボールは公園にあります」なら、ボールは「公園に存在する」と場所を強調して表すことが出来ます。 これらの「あります」はビジネスメールでも使います。 例えば「先日の資料はこちらのフォルダにあります」などと送ります。
「あります」の例文
存在するかどうか聞きたい場合は「ありますか」とすることで疑問形になります。
といった言い回しが多くなります。 また
といったように、場所や日時を質問することもできます。
「ありますか」の例文
その他にも
などと使います。 特にビジネスシーンでは説明をする際に用いています。 「ので」はあとに続く叙述の原因・理由・動機・根拠などを表す時に使います。 「ため」はあとに続く叙述の目的であることを表す時に使います。 「通り」は同じ状態や方法であることを表す時に使います。
「ありますので」等の例文
「ありますように」とした場合は、希望や願望を表します。 例えば「今年は良いことがありますように」などと使います。 より敬意を高めて、ビジネスシーンで使う場合の言い換え表現は
などと使います。
「ありますように」の例文
「ありますれば」の形にすると仮定となります。 目上の相手にも使うことができます。 例えば「何か用件がありますれば」「機会がありますれば」とした場合「もし用件があるなら」「もし機会があったなら」といった意味になります。 その内容を相手に敬意を持って話すことが出来るのが「ありますれば」です。
「ありますれば」の例文
「まい」は打ち消しの推量の助動詞です。 そのため「ありますまい」は打ち消しの推量となります。 例えば「違いありますまい」とした場合、「違いないだろう」となります。 さらに係助詞の「か」を付けた「ありますまいか」は「打ち消しの推量」の疑問形となります。 そのため「違いありますまいか」とした場合、「違いないだろうか」となります。
「ありますまい」の例文
「あります」は「事物が存在する」「その場所に存在する」「持っている」などと、様々な意味を持ちます。 「でしょう」は”推量”の意を表します。 「ます」「でしょう」は両方とも丁寧語です。 「ありますでしょうか」は丁寧語が二つ含まれているので、”二重敬語”になります。 よく使われている表現ではありますが、間違った敬語なのでなるべく使わないようにしましょう。
「〜でありますもんね」は敬語表現としては微妙です。 「もんね」は「ものね」を言いやすくした口語です。 「もんね」の意味は「当然」を表します。 「男の子だもんね」と使った場合「男の子だから当然だ」といった意味になります。 ですのね「〜でありますものね」なら許容となりますが「〜でありますもんね」は目上の人に使うのは避けましょう。
「あるんです」も敬語として使うには不十分です。 「です」がついているため丁寧語にはなりますが「あるのです」を言いやすくした口語となるため、目上の相手には失礼となります。 言いやすいので「ん」としてしまいがちですが、しっかり「の」と言うようにしましょう。 他にも「〜なんです」「ないんです」「そうなんです」「したんです」など、全て丁寧さに欠ける言葉です。 文面ではもちろんのこと、話す際にも「ん」としないように気を付けましょう。
「あります」の英語一つ目は「I have」です。 「〜を持っている」という意味ですが、「あります」という和訳があてられることも多くあります。
I have some questions.
質問がいくつかあります。
Do you have a fever?
熱はありますか?
「〜がある」を意味する英語表現は「There is」です。 自分自身の中に何かがある、所有しているというニュアンスではなく、客観的に何かが存在していることを示します。
There is a car I've never seen on the street.
通りに見たことない車があります。
「〜の中にあります」というときは「it is in...」が使えます。
My keys are in the drawer.
鍵は引き出しにあります。
いかがでしょうか? 「あります」について解説していきました。 当たり前に使っている日本語でしたが、しっかりと意味を理解しておくことが大事ですね。 「あります」は2つの意味を持ちます。 1つ目は「有る」「存在する」の丁寧語 2つ目は「〜であります」の形(補助動詞)で、丁寧な断定 となります。 「あります」はすでに丁寧語のため敬語表現ですが、目上の人に使うにはさらに高い敬意を表す言葉を使いましょう。 「存在する」の意味の「あります」の場合の尊敬語は「いらっしゃる」です。