「ご了承ください」は目上の人に対してのビジネスメールなどでも使われています。今回は「ご了承ください」の意味とビジネスシーンにおける正しい使い方を例文付き紹介します。また類語「ご容赦ください」「ご承知おきください」の使い方や英語表現も紹介します。
「了承」の意味は「承諾する」なので「ご了承ください」は「承諾してください」の敬語表現になります。 「了承」という漢字を一つずつ見ると、「理解する」という意味の「了」と「相手の意向を受け入れる」という意味の「承」から成り立っていることがわかります。 「ご了承ください」は「どうかご理解いただき、受け入れてください」といったように、相手に了解・納得を得るために用いられる丁寧な言い回しです。 「前もってこちらの主張を受け入れてもらいたい、何かあっても悪く思わないでほしい」という意味が含まれています。
「ご了承ください」は、尊敬語の「ご」+「承諾する」を意味する「了承」+丁寧語の補助動詞「ください」が組み合わさった表現です。 「ご了承ください」は自分や企業の言動に対して、相手に「納得してください」「受け入れてください」という気持ちが含まれた表現です。 「ご了承ください」はまだ始まっていないことや、これから始める段階のことに対して許しをもらうときに使う言葉です。 口語だけではなく、メールやビジネス文書などでもよく使われる表現です。 また「ご了承ください」を単体で使うと一方的に相手に承諾することを強要するようなニュアンスになる可能性があるため、目上の相手や取引先などに対して使う場合は、「ご了承願います」「ご了承くださいますようお願い申し上げます」といった丁寧な表現が適しています。 それぞれの使い方を例文付きで紹介していきます。
「予めご了承ください」は、「前もって」「先だって」を意味する「予め」+「ご了承ください」で成り立っています。 「ご了承ください」はまだ始まっていないことに理解や納得を求める言葉です。 「まだ始まっていない」という部分を強調したいときは、「予め」をつけて表現するのが良いでしょう。
「誠に勝手ながら12月31日から1月2日を年末年始休業とさせていただきます。予めご了承ください」 「お返事にお時間をいただく場合がございます、予めご了承ください」
「ご了承願います」は、尊敬語「ご」+「了承」+「願う」+丁寧語「ます」で成り立っています。 相手に対して、了承してもらうことをお願いする形になります。 そのため「ご了承ください」よりもへりくだった印象を与える言葉です。 「ご了承願います」をより丁寧にした言い方が「ご了承のほどお願い申し上げます」になります。
「応募者が多い場合は抽選とさせていただきます。ご了承願います」 「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。お問い合わせいただいた件は現在確認中となっております。ご了承のほどお願い申し上げます」
「ご了承いただきますよう」は尊敬語「ご」+「了承」+「もらう」の謙譲語「いただく」+「〜するように」の丁寧な表現「ますよう」で成り立っています。 「ご了承いただき」をより丁寧にした表現になります。 「ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします」などの表現でよく使用されます。
「ご依頼の件につきましては貴意に添いかねることになりました。ご了承くださいますようお願います」 「参加希望者が殺到しているため、応募を締め切りさせていただくことがあります。ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただけますか」は、尊敬語「ご」+「了承」+「もらう」の謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「ご了承いただけますでしょうか」は丁寧語「ます」と「です」と、二重敬語になっているため正しくない表現とされます。 そのため「ご了承いただけますか」といった方が適切な言い方になります。 また「ください」「願います」などのように一方的ではなく、「いただけますか」と相手に聞いていることから、より丁寧で相手に寄り添った表現となります。 ただ承諾してもらわなければならない内容の場合は、「願います」などを使いましょう。 「いただけますか」というと「了承できません」と言われてしまう可能性があります。
「先日相談させていただいた件、ご了承いただけますか」 「弊社で話し合った結果は添付した資料の通りです。ご了承いただけますか」
「ご了承いただき」は、尊敬語「ご」+「了承」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っています。 「ご了承いただき」は「目上の人から承諾してもらった」という意味です。 「ご了承いただきありがとうございます」は目上の相手や顧客から承諾を得た際によく使用されます。
「新商品の件、ご了承いただきありがとうございます」 「こちらの勝手な都合にも関わらず、ご了承いただきありがとうございます」
「了承しました」は「相手の申し出や事情を納得し、承諾する」という意味になります。 「了承しました」は「それでいいですよ」といった意味合いになるので、 目下の者や同等に使うのが適切で、顧客や上司など目上の者に使うのは不適切になります。
「了承しました」の類似表現に「了解しました」「承知しました」があります。詳しくは下記の記事で書いたので、興味のある人はぜひご覧ください。
「承知」は「旨をうけたまわって知ること」「聞き入れること」です。 ビジネスシーンで何か依頼を受けたり、相手の話を理解したことを伝えたいときは「承知しました」という言葉を使うのが良いでしょう。
「ご注文の件、承知しました。準備出来次第、お届けいたします」 「面接日程の件について、承知いたしました」
「拝承」は「聞くこと」「承知すること」の謙譲語で、自分の動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「つつしんでうけたまわること」という意味で、 「承知しました」よりも堅い表現になります。 また「拝承いたしました」は二重敬語ですが、ビジネスシーンでは頻繁に使用されています。
「打ち合わせの日程変更の件について、拝承しました」 「お申し込みの件、拝承いたしました。これから準備に取りかからせていただきます」
「かしこまる(畏る)」は「つつしんで目上の人の言葉を承る」という意味です。 「相手の言ったことを理解し、その言葉に従う」というニュアンスになります。 「かしこまりました」は「ただ理解する」ではなく、「目上の人の命令を承る」という意味合いが強いので、前向きな姿勢を相手に示したいときに用いるのが適切です。 「かしこまりました」は、『承知』を表す言葉のなかで最も丁寧な言葉に当たります。 相手に敬意を示したいときは「かしこまりました」を使うのが良いでしょう。
「かしこまりました。明日の午前10時に、御社へお伺いします」 「来週の食事会のお店を予約しておいて」 ー「かしこまりました。すぐに予約いたします」
「わかりました」は正しい敬語ですが、丁寧語です。尊敬の気持ちを表すにはやや敬意が足りない表現になります。 そのため、上司や先輩などに対して使用しても失礼ではありませんが、やはり「わかりました」だと少々馴れ馴れしい印象を与えてしまいます。 「了解」は「物事の内容や事情を知り、納得すること」「理解すること」といった意味になります。 ただ「了解」は日常会話で親しい友人に対して使うため、目上の相手に対して使うと軽い印象を与えてしまいます。 「了解」「了解です」は当然のことながら目上の人には使えませんが、「了解しました」も丁寧な言い方といえども敬意は示されません。
「容赦(ようしゃ)」は「許すこと、許容する」という意味になります。 「ご容赦ください」といった場合は「過失に対して大目に見て欲しい」という意味が込められます。 「ご了承」とよく似た言葉ですが、意味は大きく違います。 「ご了承」は「こちらの言い分について理解して受け入れてください」という意味に対して、 「ご容赦」は「こちらの過失について強く反省しているので許してください」という意味になります。 また「ご容赦」には、相手の理解を求めると共に謝罪のニュアンスも含まれます。
「ご承知おきください」は文法的に正しい表現です。 しかし「承知」に謙譲語「承る」の「承」が含まれているため、「承知」は謙譲のイメージが強い言葉になってしまいます。謙譲語は自分を謙って相手に敬意を示す敬語なので、目上の人にはなるべく使わない方がよいと考えられています。 また「知っておいてください」は上から一方的に物を決めるような響きがあり、上から目線な印象を与えてしまう可能性があります。
「理解」は「他人の立場や気持ちを察すること」という意味です。 「ご理解ください」といった場合は、「わかってください」「察してください」という意味が込められます。 「ご了承」は「相手にこちらの事情について理解して受け入れて欲しい」という意味に対して 「ご理解」は「相手にこちらの事情を汲み取って欲しい」という意味になります。 「ご理解」という言葉は、「ご了承」という言葉に内包されます。
ビジネスメールなどで「ご了承ください」と英語でいうときは、
のように「前もってご理解感謝します」と表現するのが一般的です。 もっと丁寧な表現をするには、
などと表現します。 また、英語のビジネスメールでは「結びの言葉」を入れるのが一般常識です。「sincerely」がその代表例ですが、その他にも色々な結びの言葉があるので、下記の記事で紹介しました。よかったらぜひ読んでみてください。
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「ご了承ください」について、ご理解いただけたでしょうか? ✔「ご了承ください」は「こちらの主張を受け入れて欲しい」という懇願を意味している ✔ まだ始まっていないことを強調した「予めご了承ください」や、より丁寧な言い方の「ご了承願いします」「ご了承のほどお願い申し上げます」という表現がある ✔ 似た言葉の「ご容赦」は「謝罪を含めて相手に許しをもらう」という意味で、「ご理解」は「単純に理解してもらう」という意味