ビジネスシーンでは様々な敬語表現があります。ついつい使ってしまう表現の一つに、「ありますでしょうか」という言い回しが挙げられます。何気なく使っていますが「ありますでしょうか」は正しい敬語なのでしょうか。また、正しい敬語はどのようになるのでしょうか。そこで今回は「ありますでしょうか」が正しい敬語なのかどうか、他の言い換えには何があるのかということを解説していきます。ビジネスシーンでは正しい敬語を使うのが必須になります。しっかりと適切な敬語を使えるようにしましょう。
「あります」は「事物が存在する」「その場所に存在する」「持っている」などと、様々な意味を持ちます。 「でしょう」は”推量”の意を表します。 「ます」「でしょう」は両方とも丁寧語です。 「ありますでしょうか」は丁寧語が二つ含まれているので、”二重敬語”になります。 よく使われている表現ではありますが、間違った敬語なのでなるべく使わないようにしましょう。
【おさらい】二重敬語とは?? 同じ種類の敬語を1つの文章に2つ以上使うこと。 ▶︎尊敬語 ▶︎謙譲語 ▶︎丁寧語 例)おっしゃられる、ご覧になられる、おいでになられる、ご拝見する など 二重敬語でも、慣習的に許されている例もある。 例)お伺いする、お召し上がりになる、ご案内いたす など
「〜ありますでしょうか」は、人に何かを呼びかけるときに使います。 例えば、電話でセールストークや他に用件がある場合に「今、お時間はありますでしょうか」と言います。 こういったように、何かを勧めたり、何か伝えたいことがあって、相手の都合がつくかどうかを尋ねたい場合に「ありますでしょうか」を用います。
また、都合以外にも、アルバイトの応募の際、「◯◯で就業経験はありますでしょうか」と言います。 商品の在庫確認の際にも「◯◯ありますでしょうか」と使われることがよくあります。 ビジネスシーンでは、プレゼンの最後の質疑応答の際、「ご質問はありますでしょうか」と聞くことが定番です。資料があるかどうかを尋ねたい場合は「お手元にありますでしょうか」と聞きます。
「ありますでしょうか」をより丁寧に表現しようと、「ございますでしょうか」を使うことがあります。 どちらも用法が同じため、「ありますでしょうか」と「ございますでしょうか」は言い換えが可能です。 違いとしては、「ございます」の方が丁寧さの度合いが高いです。 取引先やお客様に対しては、「ございます」を使うことでより丁寧な印象を与えることができます。 「ございます」は「ある」の丁寧語で、「でしょう」も丁寧語なので”二重敬語”になります。 よく使われている表現ではありますが、間違った敬語なのでなるべく使わないようにしましょう。
「ございますでしょうか」と同じく、「ございませんでしょうか」も二重敬語にあたります。 「ございませんでしょうか」も「ません」と「しょうか」がどちらも丁寧語です。 同じ種類の敬語が二度使われていますから、明らかな二重敬語となっています。
「あるのでございますでしょうか」は論外ですね。”重言”かつ”二重敬語”になっています。 「ある」と「ございます」は意味が重複しているので重複にあたります。「ございます」と「でしょうか」はともに丁寧語なので二重敬語です。 ちなみに「ので」は、「あとの叙述の原因・理由・根拠・動機」などを表します。 人に何か呼びかけるときに、いちいち「〜あるのでございますでしょうか」と聞いていたら、くどくて、しつこい印象を与えてしまいますよね。 「あるのでございますでしょうか」は使ってしまわないように、注意しましょう。
「ございますでしょうか」も「ありますか/あるでしょうか」と同じように、「ます」か「です」のどちらかを消します。 「です」を消すと「ございますか」、「ます」を消すと「ございですか」となりますが、「ございですが」という表現は使いません。 ・「ございますか」=「ある」の丁寧語「ござる」+丁寧語「ます」+”疑問”を表す助詞の「か」 「ありますか」「あるでしょうか」よりも「ございますか」の方が丁寧さの度合いが高くなります。 例えば、企業のイメージとして高級感や丁寧さを出したいときは「ございますか」を使います。 一方で、お客様との近さを表現したい場合は「ありますか」「あるでしょうか」を使います。 ビジネスシーンで、お客様や取引先に使う場合は、「ありますか / あるでしょうか」よりも「ございますか」の方が適切であると言えます。
例文
「ありますでしょうか」は二重敬語なので、間違いであることが分かりました。 二重敬語にしないためには、「ます」か「です」のどちらかを消せば解決します。 「ます」を消せば「あるでしょうか」、「です」を消せば「ありますか」となります。 一番シンプルな言い方で、「ありますでしょうか」よりもくどさがなく、柔らかい印象になりますよね。
「ありますか」は正しい敬語表現ですか、ややカジュアルな言い回しのため、相手によっては失礼な印象を与えてしまう恐れがあります。ですので、ビジネスシーンでは状況や相手に気をつけて使うようにしましょう。
例文
「おありになる/おありだ」は「ある」の尊敬語です。 ”尊敬語”は敬意を示すべき相手の動作に適用して、その動作を行なう人物を高めることができます。 「〜おありですか」などと相手に聞くことで、丁寧な印象を与えられます。 「おありですか」も「ありますか」と同じように、ものや何かの存在、所有などを尋ねる時に使います。 例えば、「◯◯さんにはお子さんがおありですか」とした場合は、”◯◯さん”に敬意を表していることになります。また、この場合、聞き手にのみ敬意を払うのであったら、「◯◯さんにはお子さんがございますか」とします。 このように「ありますか」や「ございますか」よりも、丁寧さが高まります。
例文
※「質問はございますか」と「質問はおありですか」はどちらも正しい敬語です。丁寧語か尊敬語かの違いしかありません。この文章の場合、質問があるのは聞き手なので、丁寧語より尊敬語の方が聞き手に立てているニュアンスが強く、より丁寧な度合いが高いと言えるでしょう。
「おありになる/おあり」は「ある」の尊敬語で、「でしょう」は丁寧語です。 尊敬語と丁寧語は種類が違う敬語なので、二重敬語には当たりませんが、尊敬語を使っている文章ではわざわざ丁寧語も使う必要はありません。丁寧すぎると語感がむしろ不自然で、不自然な印象を相手に与えてしまう可能性があるので注意しましょう。 「おありになりますか」も同様です。文法的には正しいですが、かなり丁寧な言い回しなので、ビジネスシーン使用する場合もとても堅い印象になります。 ちなみに、丁寧すぎてむしろ不自然で相手に失礼にあたる言葉のことを四字熟語で「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」と言います。「慇懃」は”非常に礼儀正しいさま”、「無礼」は”礼儀を欠くさま”を表します。
「いらっしゃいますでしょうか」はビジネスシーンで電話をかける時にしばしば使われる表現です。「◯◯様は、いらっしゃいますでしょうか」などと使います。 かなり一般的に使われている表現ではありますが、「ます」と「でしょうか」がどちらも丁寧語なので、「いらっしゃいますでしょうか」も二重敬語です。 「いらっしゃいますか」と言い換えのがベストです。
「おりますでしょうか」も電話をかけたときに使われたり、出席確認をするときに使われたりします。「◯◯様は出席しておりますでしょうか」などと使います。 「おりますでしょうか」も「ます」と「でしょう」が使われているので二重敬語です。 「いらっしゃいますか」とするのがよいでしょう。
「お願いできますでしょうか」は依頼する場面でしばしば見受けられますが誤用です。 正しくは「お願いできますか」になります。 「お願いできますか」は正しい敬語ですが、直接的な表現なので、ビジネスシーンで依頼・お願いする場合はあまり使用されません。 代わりに、「〜していただいてもよろしいでしょうか」「〜していただくことは可能でしょうか」などがよく使われます。
「いただけますでしょうか」も依頼するシーンで使われる表現ですが、二重敬語です。 正しくは「いただけますか」です。 「いただけますか」も直接的な依頼表現なので、ビジネスメール等で依頼するときは上記で紹介した表現が一般的に使われます。
「ありますでしょうか」の英語表現は、
となります。
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「ありますでしょうか」について理解できたでしょうか? ✔︎「ありますでしょうか」は丁寧語が二つ含まれているため、二重敬語 ✔︎「ございますでしょうか」も丁寧な表現だが、二重敬語 ✔︎ 正しくは「ありますか」「あるでしょうか」「ございますか」になる ✔︎「おありですか」は尊敬語のため、丁寧の度合いが高くなる