「ネガキャン」とは「ネガティブキャンペーン」の略で、もとは対立候補の欠点を攻撃・中傷する選挙戦術の意。転じて、ビジネスやネットにおいて特定の団体や人を批判することで他者が優位になる行為全般を指す。
「ネガキャン」とは「ネガティブキャンペーン」の略です。 「ネガティブキャンペーン」は英語「nagative campaign」が語源です。 「negative campaign」を分かりやすく和訳すると「中傷戦術」です。 「negative」は日本語で「ネガティブ」と使うように「否定的。消極的」の意味です。 「campaign」は日本語の「キャンペーン」とは意味が違うので注意です。 英語の「campaign」は「大衆に対する、一定の目的をもった政治的・社会的な働きかけ・運動」を意味します。 日本語の「キャンペーン」は「宣伝広告」を意味し、この意味の英語は「promotion」です。 よって、直訳すると「否定的な働きかけ」です。
「ネガキャン」つまり「ネガティブキャンペーン」はもともと政治用語です。 主に米国大統領選挙において、対立候補の欠点・弱点を攻撃・中傷することに重点を置く戦術のことを指します。 米国の「ネガティブキャンペーン」は日本のそれよりもかなり大規模で、対立候補を非難するためだけにテレビCMを製作したりします。 日本でも選挙で有利に働くように、野党が与党を一定期間非難することを「ネガティブキャンペーン」といいます。
政治用語から転じて、「ネガティブキャンペーン」という言葉はマーケティング用語としてビジネスの世界でも使用されています。 ビジネスシーンにおける「ネガティブキャンペーン」とは、「自社製品の優位性を訴えるために、他社製品の欠点や短所を強調する宣伝方法」を意味します。 ビジネスの「ネガキャンキャンペーン」も米国では一般的な宣伝方法です。 例えば、Microsoft社がSurfaceを売り出す際に、Apple社のiPadと比較して、自社タブレットのユーザビリティの優位性を訴えたことがありました。 欧米では「ネガティブキャンペーン」はブラックユーモアの一種になっており、露骨に批判するわりにはそこまで悪意のあるものではありません。 一方、日本では「ネガティブキャンペーン」はあまり一般的でなく、消費者側もあまり好まない傾向にあります。
「ネガキャン」という略称が使われるのは主にSNSや掲示板などのインターネットです。 ネット用語の「ネガキャン」は単に「非難する」「誹謗中傷する」という意味で使われることが多いです。 「ネガティブキャンペーン」は本来「自分の優位性を示すために他者を批判する」という意味ですが、ネット用語の「ネガキャン」は「ただ文句を言う」といったニュアンスで、必ずしもネガキャンしている側の優位性が示されているわけではありません。 語源と同じく政治的な文脈でも使われますが、政治と全く関係ないことに対しても使われます。 マスメディアや政党など発言力がある組織だけではなく、SNSなどである程度の影響力がある個人に対しても使われます。
「ネガキャン」の例文
「ネガキャン」は自分のことを非難する場合でも使うことがあります。 「ネガキャンする」の形で「卑下する」つまり「 自分を劣ったものとしていやしめること」という意味で使います。 「ネガキャン」に本来この意味はありませんが、ネット用語の「非難する」という意味がそのまま使われていると思われます。
「ネガキャン」の例文
「ネガキャン」という言葉はオンラインゲームでも使われます。 オンラインゲームでは、自分のチーム(自勢力)に対するネガキャンを自ら行います。 自勢力が弱いことを開発者側に伝えることで、自分たちに有利なように仕様を変更させるのが狙いです。 過去にはネガキャンによって、ゲーム設計が大きく変更された例もあります。
自動車用語の「ネガキャン」は「ネガティブキャンバー」の略で、全く意味が違います。 「キャンバー」とは、自動車を正面から見たときにタイヤの傾き角度のことを指します。 「ネガティブキャンバー」とは、タイヤの上側が内側へ傾いて、正面から見て左右のタイヤがハの字になっている状態をいいます。 「極端なネガティブキャンバー」のことを略して「鬼キャン」ということがあります。 本来はドリフト走法をしやすくするために行いますが、やんちゃな若者などが見た目のためだけにやっている場合もあります。 直進安定性が悪化したり、タイヤが摩耗したりするので注意が必要です。
「ネガキャン・キャンペーン」の言い換えには、
ネットで使われている「ネガキャン」は「ディスる」の意味に近いです。 「ディスる」は「相手を否定する・侮辱する」という意味で使用される若者言葉です。 「ディスる」は「無礼なことを言う・軽蔑をする」という意味のある動詞である「ディスリスペクト」を略したものです。
「ネガキャン」の日本語の類語には、
「ネガキャン」の反対語には「ポジキャン」があります。 「ポジキャン」は「ポジティブキャンペーン」の略です。 「ポジティブキャンペーン」という言葉は政治やビジネスの世界では使用されません。 なぜなら「ポジティブキャンペーン」は、普通のキャンペーンのことだからです。あえて「ポジティブ」という言葉を付けません。 「ネガキャン」「ネガティブキャンペーン」の対義語は「キャンペーン」ということになります。 「ポジキャン」はネット用語で、ただの「キャンペーン」のことを、「ネガキャン」と対比させてあえて使います。 また「誉め殺し」という意味合いで使われることもあります。「誉め殺し」とは「相手をダメにしてしまうほど褒めまくること」を指します。 「ポジキャン」は自動車用語で「ネガキャン」の反対語として使われもします。
「ネガキャン」の英語はもちろん「nagative campaign」ですが、その他の英語表現をご紹介します。 「fearmongering」という表現があります。 「fearmongering」とは「必要以上に恐怖心を植え付けること」を指します。 「fear」は「恐怖」という意味の名詞で、「monger」は「無価値のものを広げる」という意味の動詞です。
「ネガティブ・キャンペーン」は英語「Negative campaigning」が語源です。 対立候補者を誹謗中傷し自身の優位性を示す選挙戦術です。 日本語での略称はネガキャンです。 転じて、ビジネスでは特定の人物・団体を貶めて別の人物・団体に利益をもたらす行為を指す。 ネットでは単に「非難する」という意味合いで使う。