「切に願う」の意味は「心より強くこうなってほしいと思うこと」です。「切に願ってやみません」「切に願うばかり」という言い回しで使用されます。敬語表現は「切に願います」「切に願っております」などです。
「切に願う」の意味は「心より強くこうなってほしいと思うこと」です。 「切に」は「強く思うさま。心から。ひたすら」という意味です。 「願う」には、
などの意味があります。 「切に願う」は、非常に強い願望を言い表す言葉です。
「切に願う」を「説に願う」と書くのは誤りです。 「説」の音読みは「セツ」「ゼイ」で読み方は「切」と同じですが、「説」は「とく。ときあかす」という別の意味の漢字です。 「説に願う」という表現は存在しません。書き間違いには注意しましょう。
「切に願う」と似た表現に「切にお願いする」があります。 「切に願う」は祈っているだけですが、「切にお願いする」は依頼表現です。 「切にお願いする」の言い回しには、
などがあります。 「心の底から願う」という意味なので、「一生のお願い」が何度も使えないのと同じように頻繁に使用すると真剣味が薄れます。 ここぞというときに使用する依頼の言葉であるということを覚えておきましょう。 「切に」はビジネスシーンでも一般的に使用されません。 「何卒」「どうか」などが一般的です。
「切に願う」は「切に願います」「切に願っています」の形で丁寧語になります。 「切に願います」と「切に願っています」はどちらも、「切に願う」に丁寧語「ます」を使用していて、目上の人にも使用することができます。 ただし、丁寧語は文末につける「です」「ます」のように文章全体を丁寧にする敬語表現で、尊敬語や謙譲語のように相手に敬意を示すことができません。 目上の動作に対して使う時は、より丁寧な敬語表現を使用する必要があります。
「切に願っております」は、「いる」の丁重語「おる」に丁寧語「ます」を付けた敬語表現です。 「丁重語」とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用される敬語です。 丁重語は自分をへりくだることで相手に敬意を示す「謙譲語」の一種で、「謙譲語Ⅱ」ともいわれます。 「切に願っております」のほうが、「切に願います」「切に願っています」よりも敬意の度合いが高いので、目上の人と話す時にはこちらがベターです。
「切に願われる」は「切に願う」に助動詞の「れる」をつけています。 助動詞「れる」は「自発」「受け身」「可能」「尊敬」の4つの意味があります。 目上の人が「切に願う」ということを言い表すときに使用する「れる」は「尊敬」です。 「切に願っていらっしゃる」は「切に願う」に尊敬語「いらっしゃる」をつけることで、「願っている」ということについて相手を高めています。 「切に願われる」と「切に願っていらっしゃる」は共に尊敬語ですが、「れる」には「自発」や「受け身」「可能」の意味もあるので、誤解を防ぐためにも「切に願っていらっしゃる」を使用するほうが好ましいです。
「切に願うばかり」の、「ばかり」は「それ以外にない状態である」という意味です。 「切に願うばかり」は単に「切に願う」の強調表現として使用される場合と、物理的に「願うことしかできない」という2つの意味があります。 「危機的な状態からどうにか脱したい」「どうにかよい方向にいってほしい」という意味合いで、現在は悪い状態であることを示唆します。 「願う」<「切に願う」<「切に願うばかり」<「切に願ってやまない」 の順で意味が強くなります。
「次第」は「〜という状況だ」という意味です。 「切に願う次第」は、「強く願っている状況で」という意味になります。 こちらは強調表現ではありません。 「次第」は、物事の経過や、成り行きを説明するときのかしこまった言い方で、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用するのに適している言葉です。 丁寧語「です」と併用して、「切に願う次第です」の形でも使います。 「次第です」の詳しい使い方は下記の記事を参考にしてみてください。
ビジネスメールや年賀状では、締めの挨拶として相手の健康や活躍を願う言葉を述べることが多いです。 「切に願う」も、ビジネスメールや年賀状の締めの挨拶の定型句として使用されます。 例えば、年賀状では「貴社の益々の発展を切に願っております」というような使い方です。 また、文末で「今後も末永くお付き合いをしていけることを願うと伝えるとき」も「切に願う」を使用します。
例文
ビジネスシーンでは、「切に願う」を使用して間接的な依頼をすることもあります。 願っているだけなので本来は依頼ではありませんが、自分が希望する対処や対応を願うことで間接的な依頼表現になります。 しかし、「切に願う」を使った依頼表現はビジネスシーンでは分かりづらいこともあり、あまり使用しない方がよいでしょう。
例文
「切に願う」で自分の願望を伝えることもできます。 心からの強い願望を「切に願う」という言葉を使用して言い表します。 「切に願う」の本来の意味である「願望」を伝える時にも使えます。 例えば「社長に認められたいと切に願う」「今年こそ契約件数が増えることを切に願う」などの使い方です。
例文
ビジネスシーン以外では、結婚式・受験・手術・プロポーズなど一生にそう何度もないチャンスや機会が訪れたときの「成功してほしい」「うまくいってほしい」という神にも祈るような気持ちを言い表すときに使用されます。
例文
「祈る」の意味は、
です。 「祈る」はすでに「心から」=「切に」という意味を含むため、「切に祈る」は重言(二重表現)ともいえます。 「切に祈る」とは使わずに「祈る」単体で使うようにしましょう。 2つ目の意味の「祈る」と「願う」は同じ意味ですが、「祈る」は自分の願望ではなく他人の幸せを思う時に使います。 「祈る」はもともと神や仏に対して使うため、少し堅い語でもあります。 「祈る」を堅い語に言い換えると「祈念する」となります。 フォーマルな場面で「これからの二人に幸多からんことを切にお祈り申し上げます」というように使用することができます。
熟語では「切望」が類語になります。 「切望」は「せつぼう」と読みます。 「切望」の意味は「ひたすら望むこと」という意味です。 「しきりに。ひたすら。」という意味の「切」と、「のぞむ」という意味の「望」を組み合わせた言葉で、「心からそのように望むこと」を「切望する」といます。 その他にも、「強く望むこと」を言い表す熟語には「渇望」「待望」「熱望」「翹望(ぎょうぼう)」などがあります。
和英辞典などを見ると「切に願う」の英語を直訳的に「sincerely wish」と紹介していることがありますが、この組み合わせではあまり使用しません。 単に「wish」だけでよいでしょう。 「wish」の類語には「hope」もあります。 「wish」と「hope」の違いと使い分けに関しては下記の記事を参考にしてください。
「切に願う」は「こうなりたい」「そうあってほしい」と強く願望することを意味します。 年賀状や手紙の定型句として使われたり、ビジネスシーンでは間接的に何かを依頼する時に使ったりします。 「切に願ってやみません」「切に願うばかりです」などといいます。