「幸多からんことを」は、相手の幸せを願う言葉でお祝いのメッセージなどで使用されます。今回は「幸多からんことを」の意味と使い方を例文付きで解説します。また、「幸多からんことを」の類似表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「幸多からんことを」の読み方は「さちおおからんことを」です。 「幸」は訓読みで「さち」と読み、「多」は訓読みで「おおい」と読みます。
「幸多からんことを」の意味は「幸せが多いことを」です。 「む(ん)」は「わかりません」のように否定の意味で使用されることが多いですが、「多からん」の「ん」は推量の意味です。 「そうであることを」という意味で、これから先のことに対して使用します。 助動詞「む」を推量で使うのは古語の使い方であり、日常的に使用される表現ではありません。 現代で使う場合も古めかしい響きがあります。 キリスト教で使われる「神の御加護があらんことを(God bless you.)」や、スター・ウォーズで登場する「理力(フォース)と共にあらんことを(May the force be with you.)」なども、「〜んことを」が使われています。 「一日も早からんことを願うばかりだ」などともよく使われます。
「幸多からんことを」は、そのままでは目上の人には使えません。 まず、「幸多からんことを」は敬語ではありません。 したがって、目上の人に使用する場合は後ろに続く言葉を敬語表現にするなどして相手に敬意を示す必要があります。 また、「幸多からんことを」は「幸多からんことを祈る」「幸多からぬことを願う」の省略表現です。 「祈る」「願う」が省略されていて、そのまま目上の人に対して使うのは失礼にあたります。 「祈る」を敬語(謙譲語)にして、「お祈りいたします」「お祈り申し上げます」「祈念いたします」「お祈りします」などに変換すると上司や取引先など目上の者にも使用することができます。
「幸多からんことを」という文章が入ったメールや手紙をもらったら、相手は自分の幸せを祈ってくれていることになるので、お礼を伝えましょう。 「感謝いたします」「お礼申し上げます」などと感謝の気持ちを述べた後に、自分から相手に対しても幸福や健康を願う文章を書くのが望ましいです。
「幸あらんことを」は、「さちあらんことを」と読みます。 「幸あらんことを」は「幸せがあることを」という意味です。 この場合の「あらん」の「ん」も推量の意味で使用されています。 相手の幸せを願うことを伝えるときに使用される言葉で、「幸多からんことを」と言い換えることが可能です。
「幸多かれ」は「さちおおかれ」と読みます。 「幸多かれ」は「幸せが多くおとずれるように」と祈る意味で使用される言葉です。 「幸多かれ」は個人に対して使用するよりも、「卒業生の皆」「新入生の方々」というように全体の人にお祝いの言葉を述べるときに使用されることが多いです。
「幸あれ」は「さちあれ」とよみます。 「幸あれ」は「幸せがありますように」という意味です。 「幸せがありますように」を略した表現が「幸あれ」です。 結婚など相手の幸せを願うような場面で使用されます。 友人間など親しい間柄であれば「幸あれ」でも問題ありませんが、目上の人に使用する場合やかしこまった場面で使用する場合には「幸あれ」でけではぶっきら棒に感じられてしまうことがあります。 目上の人に対してやかしこまった場面では「幸福をお祈りします」「お幸せに」などと言い換えられることが多いです。
「幸多き」は「さちおおき」と読みます。 「幸多き」の意味は「幸せの多い」という意味です。 「幸多き○○」という使い方で「幸せの多い○○」という意味になります。 例えば、「幸多き人生を」で「幸せの多い人生」という意味になり、相手の幸せを願う気持ちを伝えることができます。
「幸多からんことを」は、結婚式の招待状の返信に添えるメッセージや、結婚式の祝電や、結婚祝いに添えるメッセージなどで、新郎新婦に向けてお祝いの言葉を伝るのに使用されます。 「幸多からんことを」で、結婚をしてこれから2人で歩んでいく将来に幸せが沢山あるようにと心から願う気持ちを伝えることができます。
例文
「卒業式」は別れのときでもありますが、それぞれが新たな旅立ちの日を迎えるおめでたい日です。 卒業をして新しい世界に旅立っていく人の未来が明るく幸せであるように願うと共に、これからも頑張ってほしいという気持ちを「幸多からんことを」という言葉を使用して相手に伝えることができます。
例文
入社式では、先輩社員などからこれから働く新入社員に向けてお祝いの言葉として使われます。 新入社員の人生が満たされたものになるようになることを祈るだけではなく、これからの活躍を期待する意味で「幸多からんことを...」というフレーズが使用されます。
例文
出産をしたときのお祝いの言葉でも「幸多からんことを」が使用されます。 出産をしたときのお祝いでは「幸多からんことを」で、新しい家族を迎えさらに家族が幸せに暮らせるようにという願いや、新しく誕生した子供自身の人生に幸せが多く訪れるようにという気持ちを伝えることができます。
例文
「幸多からんことを」は、誕生日のお祝いのメッセージでも使用することができます。 誕生日を迎え、これからさらに幸せが多くおとずれますようにと願う気持ちを伝えることができます。
例文
年賀状で新年の挨拶で「幸多からんことを」を使用することもできます。 新しい一年のはじまりに、相手にとって幸せな一年になることを願う気持ちを伝えます。 ビジネスで関わりのある人など、目上の人に送る年賀状に添えるメッセージに適しています。
「幸多からんことを」の英語は「 I wish you all the best.」です。 これは定型句であり、誕生日や年明けなどにネイティブがよく使います。