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「しておりません」の意味と敬語、言い換え、「していません」との違いを解説

「しておりません」の意味は「していない」で、継続を否定している敬語表現です。「しておりません」は「丁重語+丁寧語」で成り立っています。ビジネスシーンなどでもよく使用される敬語表現ですが、「しておりません」を正しく使用することができているでしょうか。今回は「しておりません」の意味や使い方を詳しく解説します。また、「しておりません」の言い換え表現も合わせて紹介しますので是非参考にしてください。

「しておりません」の意味

「しておりません」の敬語は丁重語+丁寧語

少し難しいですが、「しておりません」を品詞分解すると、

  • 動詞「する」の連用形「し」
  • 接続助詞「て」
  • 補助動詞「おる」の連用形「おり」
  • 丁寧の助動詞「ます」の未然形「ませ」
  • 打消しの助動詞「ぬ(ん)」

となります。 「しておりません」の意味は「していない」で、継続を否定した表現です。 敬語の種類を理解する上でポイントとなる語は「おる」です。 「おる」は「いる」の丁重語(謙譲語の一種)です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 また、自分以外の動作にも丁重語を使用することもできます。 例えば「寒い日が続いております」など、主語が「寒い日」でも「おります」と丁重語を使用することによって、聞いている相手に敬意を示すことができます。 ただし、「斎藤様がお越しになりました」のように主語が目上の人だった場合、主語に対して敬意を示さなければならないため、丁重語は使用できません。

「しております」「しています」の意味の違いと使い分け

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「しておりません」の漢字は「して居りません」

「しておりません」の漢字は、「して居りません」となります。 ただし補助動詞は平仮名表記というルールがあるため、手紙やメールで使用する場合は平仮名で表記しましょう。

「しておりません」の使い方と例文

「しておりませんでした」で過去形

「しておりません」は「です」の過去形である「でした」を使用することで、「しておりませんでした」という過去形で使用することができます。 「昨夜まで、現状を把握しておりませんでした」というように、「〜していなかった」という自分の動作をへりくだった表現にすることで目上の人に丁寧に伝えるために使用されます。

「しておりませんでした」の例文

  • SNSを使用した宣伝は今まで一切しておりませんでした。
  • 変更があったようなのですが、確認がとれておりませんでした。

「しておりませんので」より「しておりませんでして」が丁寧

「しておりませんので」は、「〜していないので」を敬語表現にしています。 「ので」は原因理由を表す接続助詞です。 「まだ○○は出勤しておりませんので、確認をすることができません」というように、「○○していないから、○○」といった現状を伝える場面で使用されます。 「しておりませんので」より「しておりませんでして」がより丁寧な敬語表現となります。 「でして」は「でし」と「て」で成り立っています。 「でし」は、丁寧な断定を表す助動詞「です」の連用形で、「て」は接続助詞で原因理由を表します。 ビジネスシーンなどかしこまった場面では「しておりませんでして」を使用するのが望ましいです。

「しておりませんでしょうか」ではなく「しておりませんか」

「しておりませんでしょうか」は二重敬語で誤用となります。 「二重敬語」とは、すでに敬語になっているものに同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使用してしまうことです。 「しておりませんでしょうか?」は、丁重語の「おる」に丁寧語の「ます」の未然形「ません」に、さらに丁寧語の「でしょう」疑問を表す終助詞「か」をつけて疑問形にしているため、二重敬語となります。 「しておりませんか」が正しい敬語表現となります。 「しておりませんか」には「おる」と「ます」の2つの敬語が使用されていますが、丁重語と丁寧語という種類の違う敬語を組み合わせているため二重敬語にはなりません。

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「しておりません」の言い換え(敬語変換)

「していません」はただの丁寧語

「していません」は、「していない」の丁寧語です。 「しておりません」も「していません」も敬語ではありますが、敬意の度合いは丁重語のほうが強いです。 「おる」という表現は正しい敬語ですが、古風な響きのある言葉です。 また、関西地方では「いる」を「おる」という場合があります。これは方言であり、敬語変換しているわけではありません。 よって、「おる」を敬語として使うのに違和感を覚える人もいます。 話者本人も違和感を覚える場合は、無理矢理「しておりません」を使わず「していません」を使っても問題ありません。 例えば親戚同士の会話など、かしこまった場面以外では「していません」を使用するのが自然です。

「いたしておりません」は二重敬語で誤用

「いたしておりません」は、 「いたす」は、「する」の丁重語 「おる」は「いる」の丁重語 「ません」は「ます」の未然形の丁寧語 で、丁重語+丁重語+丁寧語で二重敬語であるため誤用です。 「いたしていません」が正しい敬語表現となります。 「いたしていません」は、「する」の丁重語である「いたす」と「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ん」をつけた丁寧語であるため、二重敬語になりません。

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「なさっておりません」は尊敬語+丁重語+丁寧語

「なさっておりません」または「されておりません」とすると、尊敬表現になり、目上の人の動作に対して使うことができます。 「なさる」「される」は「する」の尊敬語であり、目上の人の動作を表現する時に使います。 さらに「いる」の丁重語である「おる」に、「ます」の未然形の「ませ」と丁寧語をつけているので、かなり敬意の度合いが高い表現です。 「〜しておりません」は自分の動作をへりくだって表現する言葉なので、目上の動作を表現する場合は「なさっておりません」を使用しましょう。

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「しておりません」の英語

「しておる」は現在進行形なので、「be doing」の形で表すことができます。 「しておる」の否定形が「しておりません」なので、「not be doing」が「しておりません」の英語です。 さっそく例文です。

The weather is not changing for the better.

天気は回復しておりません。

My son is not studying for the exam.

息子は試験勉強をしておりません。

まとめ

「しておりません」をまとめると、

  • 「しておりません」の敬語は丁重語+丁寧語
  • 「しておりません」の漢字は「して居りません」
  • 「しておりません」の過去形は「しておりませんでした」
  • 「しておりませんので」より「しておりませんでして」が丁寧
  • 「しておりませんでしょうか」ではなく「しておりませんか」

など。

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