「雲外蒼天(うんがいそうてん)」とは試練を乗り越えていけば、素晴らしい結果が待っている、という意味の四字熟語。「雲外」は、雲の上・はるかかなたの空の意。「蒼天」は、青々とした空・大空の意。「雲」は様々な困難や障害を表しており、雲を抜ければ、その上には青空が見えるというニュアンス。
「雲外蒼天」は「うんがいそうてん」と読みます。 意味は「困難や障害を乗り越えた先は明るい」です。 辛いことや試練などを努力して乗り越えれば、明るく素晴らしい世界が待っているということを表した四字熟語です。
「雲外蒼天」の由来やイメージは、漢字の通りです。 「雲外」とは「雲の上」「はるかかなたの空」という意味です。 「蒼天」は「青々とした空」「大空」という意味です。 風雪を耐えて雲の上へと抜ければ、美しい青空が広がっている、というニュアンスです。 どんよりとした雲の中にいる時は周りに雲しか見えませんが、その雲の外に出れば蒼い天があるということになります。 どんな辛い時でもそれに耐えれば、素晴らしい結果がまっているという意味になります。
四字熟語の多くは、故事成語であり中国の古典に記載されているのですが「雲外蒼天」はありませんでした。 ただ「雲外蒼天」と似た意味を持つ言葉は記載されています。 例えば謝枋得(しゃほうとく)の詩に「鶴は雲外を穿ち青天に上る」という句が出てきます。 これは鶴が雲を突き抜けて進み青空に上っていく様子を表しています。 ですがこの句には「困難を乗り越える」といった意味はありません。
「雲外蒼天」は何か苦労をしていたり大変な状況にある人に対する励ましの言葉として使います。 「今は大変でも乗り越えれば明るい未来が待っているよ」「必ず報われる日が来るから頑張れ!」という意味が込められています。
「雲外蒼天」の例文
「雲外蒼天」は座右の銘としても人気です。 スローガンなどに使われることもあります。 「努力すれば必ず試練を乗り越えられる」と自分を鼓舞するための言葉として用いられます。
「雲外蒼天の極み」という表現は『ニューダンガンロンパV3』というゲームの登場人物のセリフです。 『テニスの王子様』というアニメの「天衣無縫(てんいむほう)の極み」というセリフのパロディーです。 一般的に使われる言い回しではありません。
「旭日昇天」は「きょくじつしょうてん」と読みます。 「旭日」を「あさひ」と読むのは誤用です。 意味は「勢いが盛んなこと」です。 これは朝日が勢いよく天にのぼることから例えられています。 「旭日昇天の勢い」の形で使う場合がほとんどです。 類語に「日の出の勢い」があります。 「雲外蒼天」と「旭日昇天」は、同じ「天」のつく前向きな言葉でありますが意味は全く異なります。 この2つの言葉はNHKドラマ「澪つくし」で出てきました。 主人公と幼馴染が幼少期に人相見の達人に、主人公は「雲外蒼天」と、友人は「旭日昇天」と言われました。 実際に主人公は様々な困難に遭遇しながらも乗り越えて江戸で有数の料理人になり、幼馴染は廓に売られたのち成長して当代一の花魁になっていきます。
「旭日昇天」の例文
「開雲見日」は「かいうんけんじつ」と読みます。 意味は「不安がなくなり希望が持てるようになること」です。 「開雲」は太陽を覆う暗雲が晴れることを表し、心配や不安ごとがなくなることのたとえです。 それによって「日が見える」ことで「希望が持てるようになること」を表しています。
「撥雲見日」は「はつうんけんじつ」、「撥雲見天」は「はつうんけんてん」と読みます。 意味は「開雲見日」と同じで「気がかりなことがなくなり、希望が持てるようになること」です。 「撥雲」は「開雲」と同じで太陽を覆う暗雲が晴れることを表します。 「撥」という字には「はらい去る、のぞく」といった意味があります。
その他にも類語はあります。
「石の上にも三年」を「どんな嫌なことでもある程度の長さは続けなければならない」という意味で誤用している人が多くいるので注意してください。 ここでの「三年」は「三年間」ということではなく、「多くの年月」を意味する比喩になります。
「暗雲低迷」は「あんうんていめい」と読みます。 意味は「穏やかではなく何事かが起こりそうなようす」です。 「暗雲」は「今にも雨が降り出しそうな黒い雲」のことで、穏やかではない様子を表します。 「低迷」は「その雲が低く漂っている」ことで、何かが起こりそうな様子を表します。 主に先行きが不安な時に用いられることが多くなっています。
「前途多難」は「ぜんとたなん」と読みます。 意味は「これから先多くの困難が待っていること」です。 「前途遼遠」は「ぜんとりょうえん」と読みます。 意味は「目的の達成までの道のりが、まだ長く残っていること」です。 どちらも、容易く目的まで進めない様子を表す四字熟語です。
他にも対義語はたくさんあります。 ・お先真っ暗:先の見通しが全くつかないこと ・暗雲が漂う:将来の見通しが悪いことのたとえ ・先行き不安:将来やこれからのことに不安があること ・五里霧中:現状や物事の様子がまったく分からず、今後の方針や見込みが立たないこと 「四方20キロメートルが霧の中にいるみたいに何も見えない状態」を表しており、「見通しが悪く見当をつけられないたとえ」として用いられています。
「雲外蒼天」を英語に直接すると、
There is always light beyond the clouds.
雲の上にはいつも光がある。
となります。 これだけではネイティブは意味が理解できない人もいるかもしれません。 とても詩的な響きがあります。
困難の先には幸福が待っており、その後にまた困難が続く、という概念はとても仏教的です。 この発想自体にあまりピンとこない欧米人が多いかもしれません。 よりシンプルに、
There is always hope in the hardships of life.
人生において困難の時でも希望は必ずある。
と表現した方が、分かりやすいでしょう。
「雲外蒼天」とは、試練を乗り越えて努力を続ければ明るい青空が望めるという意味の四字熟語。 「雲」は人生における様々な困難や障害を指している。「蒼天」は希望を示す。 「雲外に蒼天あり」ともいう。