「所感(しょかん)」とは「折にふれて心に感じたこと」という意味です。辞書的には「感想」と同じ意味ですが、ビジネスでは「感想に加えて、次回につながる改善案」まで含みます。ビジネスシーンでは、何を感じたのかだけではなく、なぜそう感じたのか、それをどう活かすのかを伝える必要があります。
「所感」の読み方は「しょかん」です。 「所感」の意味は「心に感じること、感想」です。 「所」の意味は「 動作・行為を受けるもの、ところ」です。 「感」の意味は「物事に触れて起こる心の動き、きもち」です。 事に触れて心に感じたこと・心に感じ思う事柄を表します。
「所感」の語源は仏教用語に由来します。 「所感」は仏教用語で「善悪の行為によって引き起こされる果報」という意味です。 「果報」とは仏教用語で「前世の行いによって生じる報い」という意味があります。 「果報」の類語に「業(ごう)」という言葉があります。
「所感」は、
などの形で使うのが一般的です。 「年頭(の)」所感」とは「新しい年を迎えて自分が心に感じたこと」という意味があり、「新年の抱負」が類語にあたります。 「所感」を使った四字熟語に「一業所感」があります。 「いちごうしょかん」と読み、意味は「同一の善悪の業によって同一の果を感じること」です。 悪い行いをすれば結果も悪く、良い行いをすれば結果も良くなるといったニュアンスです。
「所感」を英語で表現すると、
などとなります。 「所感を述べる」は、
となります。 また「一言」というニュアンスを持つ「a few words」を使って「所感」と表現することも可能です。
I expressed my impressions of new project at the meeting today.
新企画の所感を今日の会議で述べた。
Can you make some comments on it?
それについての所感を述べていただけますか?
Let me say a few words about the project.
プロジェクトについて一言所感を述べさせてください。
「所感」に似た言葉に「所見」があります。 「所見」の意味は「見たところのもの。見た事柄。観察や診断などの結果」です。 「見た結果での判断や意見」という意味の「所見」の方が若干客観性が高いです。 「所感」は「心に思ったもの」という意味なので主観性が高いです。 また「所感」はより堅い表現となります。一般的には、「所見」を使うことが多いでしょう。 「所見」の同音異義語で「初見」がありますが意味が異なりますので注意です。 「初見」の意味は「初めて見ること」です。
「所存」の意味は「心に思っていること」です。 「存」には「考える、思う」という意味があります。 「所感」は「感想、思い」という意味に対して「所存」は「考え」という意味合いで使います。 「所存」は何かをしようと思っていること、ある考えのことというニュアンスを持つ言葉です。 主に改まった場合や書簡文などで
などの形で使います。
「所感」とほぼ同義にあたる言葉に「所懐」があります。 「所懐」は「しょかい」と読みます。 「懐」には「心に抱く、思う」という意味があります。 「所懐」は「所懐を述べる」という形で使うのが一般的です。
「感想」の意味は「心に浮かんだ思い、感じ」です。 あることについて、感じたり思ったりしたこと・物事について心に感じたことを表します。 「所感」の方がやや堅い表現のため、日常会話などでは「感想」を使うことが一般的です。 「所感」と「感想」はほぼ同じ意味で使われる言葉ですが、特にビジネスシーンにおいてはニュアンスが異なってきます。 「感想」は「ただ心で感じたり思ったりしたこと」という意味合いに対し、「所感」は「感想に加えてそれを今後にどう生かすのか」という部分までを述べるニュアンスで使います。
「考察」の意味は「物事を明らかにするためによく調べて考えること」です。 物事を明らかにするため、しっかりと考えること・よく調べて考えをめぐらすことを表します。 「考」には「考える、調べる」という意味があります。 「察」には「よくみる」という意味があります。 「所感」との違いは、「考察」には「じっくりと考える」というニュアンスがあるという点です。 「所感」は「心に感じること」というニュアンスが強く、「十分に考える」という意味合いは含みません。
「所感」はビジネスシーンで使うことが多い言葉です。 ビジネスシーンで「所感」を使う場合、本来の「所感」の意味に加えて「今後の改善策や解決策」も含めることが前提となります。 ビジネスシーンで「所感」を使う際は辞書的な意味とは限りませんので注意しましょう。
「所感」はビジネスシーンで使うことが多い言葉です。 「所感を述べてください」と言われ、ただの感想だけで終わるのはNGです。 ビジネスシーンで所感を求められる場合、本来の意味に加えて「今後に繋がる改善策や解決策」も含めることが前提となります。 ビジネスシーンで「所感」を使う際は辞書的な意味とは限りませんので注意しましょう。
所感を書く(述べる)際、誰に向けたものなのかを考えましょう。 日報や報告書など、上司に向けた所感であることが多いと思います。 業務改善案や解決策などを所感で述べる際は言葉遣いや伝え方に気をつけましょう。 言い方次第では上司の気分を害する可能性があるからです。 改善策などの提案事項は現実性があるのか、目上の人に対して述べても失礼のないことかなどを十分考慮しましょう。
これは所感だけに限らずビジネス全般で言えることですが、結論を先に述べることが大切です。 所感で最も伝えたいことは何かを最初に述べることで、相手に伝わりやすくなります。 日本語という言語は「起承転結」という言葉があるように結論が最後にきますが、この順番だと文章が長くなったりわかりにくくなったりしてしまいます。
上記で所感では結論を先に述べるとご紹介しました。 日本語の文章構成とは異なるため、書き方に戸惑う人は多いと思います。 そこで所感を述べる際にぜひ意識していただきたいフレームワークを2つご紹介します。 まず1つ目は「PDCAサイクル」です。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・ Action(改善)の頭文字を取った言葉です。 このサイクルを意識することで、継続的に業務改善に務めることができます。 特に所感では自身の業務の振り返り(Check)と今後の仕事の進め方(Action)を重点的に述べると良いです。 2つ目は「PREP法」です。Point(結論)・Reason(理由)・Example(例)Point(結論)の略語です。 プレゼンテーションなど様々なビジネスシーンで使われるフレームワークの一つです。 PREP法に沿って所感を述べると内容がよりわかりやすくまとまり説得性が増します。
上記でご紹介したようにビジネスシーンで所感を述べる際はただの感想だけでなく、その考えを今後どう生かすかということまでしっかりと述べる必要があります。 そして所感にはより具体性を持たせることをおすすめします。 例えば「顧客対応が上手くいかなかった」という漠然とした反省より「電話でのクレーム対応が上手くできなかった」と述べる方が自分のためにもそして読み手のためにも良いです。 「感想」にあたる部分を明確に述べることで、その後の解決策や改善案もより現実的なものになります。 「電話でのクレーム対応を改善させるためにロールプレイングを実施しようと思う」などと業務改善に繋がる行動を取りやすくなります。
所感は具体的に述べる必要はありますが、冗長な文章になってはいけません。 相手に伝えたいことを簡潔な文章でまとめることを心がけましょう。 おすすめの方法は、下書きをし自身で添削をするという方法です。 ぶっつけ本番で所感を述べるのではなく、一度文字数などを気にせずに感じたことを書いてみます。 そしてそこから文章を校正することで、よりまとまりのある文章に仕上げることができます。
多くの企業で、1日の業務内容をまとめて提出することがあると思います。 日報では、
などを記載します。 「今日は○○だった、○○だと思った」と感想だけで終わるのではなく、業務の課題に対する具体的な解決策や業務がスムーズにできた要因なども述べましょう。
<日報の所感の例文>
社内外の研修や出張の報告書を提出する人も多いでしょう。 報告書では、
などを記載します。 内容を詳しく説明することも大切ですが、それらを今後の業務にどう生かしていくかという部分を書くことも重要です。
<報告書の所感の例文>
朝礼や挨拶などのスピーチでも所感を述べる機会があります。 文章ではなく口頭で述べることになるため、戸惑う人も多いかもしれません。 スピーチのテーマが事前に決まっている場合もあればそうでない場合もあります。 テーマがある場合はテーマに沿った自身の感想と今後の仕事の進め方などを合わせて述べましょう。 特にテーマが決まっていない場合は、他人にシェアしたいビジネスの知識や情報などをネタにすると良いでしょう。 スピーチの時間は指定されていない場合は約3分前後にまとめると良いです。 長く話すぎると周りの人は飽きてしまう可能性があります。
<スピーチの所感の例文> ・今週のテーマである「社員の英語力向上」に関してスピーチします。皆さんそれぞれ英語を勉強されているかと思いますが、中には順調に英語力が伸びている人とそうでない人がいるように見受けられます。そこで提案したいのが、英語学習法を共有する機会を設けるということです。例えば朝礼後の時間やランチ休憩の時間を5分程度だけいただき、そこで情報をシェアすればお互いに様々なことを学べると思います。
上司や取引先など目上の人に所感を述べてもらい時は、「所感」を敬語表現にする必要があります。 尊敬を意味する接頭語「ご」をつけて、「ご所感」とします。
<例文>
ビジネスにおいて所感が必要な理由の一つに業務改善があります。 日々仕事をこなしていく中での気付きをもとに、会社そして個人のさらなる成長のために様々な改善策や解決策を提案する場の一つとして所感があります。 人間は忘れていく生き物なので、気づいたことをしっかりと記す習慣をつける必要があります。 所感を述べることで「気付く」ということや継続的に改善を繰り返していくという意識が高まります。
所感を共有する理由の二つ目にコミュニケーションがあります。 職場によっては上司との距離が遠く、話せる機会が少ないという人もいると思います。 また多忙な社会人にとって、面と向かって話す時間を設けることは難しいのです。 そんな時に所感を述べる場があれば、会社の他のメンバーとも業務の状況や意見などを比較的簡単に共有することが可能になります。
いかがでしたか? 「所感」についての理解は深まりましたでしょうか? 「所感」の読み方は「しょかん」です。 「所感」の意味は「心に感じたこと」です。 主にビジネスシーンで使われることが多く、その場合は単なる感想だけでなく、今後の業務の改善策や解決策なども含めること必要です。 「所感」は英語で「impression」「thought」「opinion」などと表現します。