「暁には(あかつきには)」は、「ある物事が実現した、その時には」という意味です。ビジネスシーンや就活の場面でよく使用される言葉なので耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は「暁には」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。「暁には」の類語表現や言い換え表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「暁には」の読み方は「あかつきには」です。 「暁」は音読みで「ギョウ」、訓読みで「あかつき」と読む漢字です。 「暁には」の意味は「ある物事が実現した、その時には」です。 そうなる保証がなくても、物事が成就した時には...という将来を仮定する言葉です。
「暁には」は念願が叶った際に使う表現なので、基本的には物事が成功・実現・成就したときに使うポジティブな表現です。 しかし、ネガティブなことを願っている場合は、悪い意味でも使うこともできます。 例えば、「彼女がもう一度失敗した暁には、私の優勝が確定する」などということは可能です。 ただし、このように使うのはかなり稀であり、他人の失敗や不幸を「暁には」と表現するのは、かなり性格が悪い人である印象を受けます。 ネガティブな文脈で使用する場合は、皮肉や嫌味、冗談の意味に限定するのがよいでしょう。
「暁(あかつき)」の意味は「夜が明ける前のほの暗い、やや明るくなってきたころ」です。 「暁」の類語には「明け方」「夜明け」などがあります。 「暁」の対義語は「黄昏」「夕暮れ」「夕方」「雀色時(すずめいろどき)」「逢魔が時(おうまがとき)」など、日が落ちて暗くなる時を表す言葉です。 つまり、「暁には」は「暁」という言葉を比喩的に使用していることになります。 「暁には」は、本来の意味だと「夜が明けるころには」なので、「希望が実現した時には」という意味になります。 「暁」は、夜を三つに区分した3つ目で、宵(よい)・夜中に続いたものです。 「宵」の意味は「日が暮れて間もない頃」で、「夜中」の意味は「夜の半ば(宵の後で暁にならない頃)」です。 「暁(あかつき)」は「明時(あかとき)」という言葉が転じたものです。 「明時(あかとき)」は「夜中過ぎから夜明け近くのまだ暗いころ」を指し、「未明」と同義であり、現代のやや明るくなってきた頃を指す「暁」とは少し意味が違います。 「暁」に意味も漢字も似た言葉に「曙(あけぼの)」があります。 「曙」は「夜がほのぼのと明け始める頃」の意で、「暁」よりも後の時間帯を指します。 「曙」も「文明の曙」などと比喩的に使用します。 ちなみに「暁」を含む二字熟語には「通暁(つうぎょう)」があります。 「通暁」は「夜を通して暁に至ること」で、「夜通し」「徹夜」という意味です。 また、「通暁する」で「ある事柄について非常に詳しいこと・知識を持っていること」という意味でも使用されます。
「暁には」はビジネスシーンでよく使われる表現で、就活や履歴書で抱負を語る場面で使用されることが多いです。 「〜の暁には」の後で、自分の具体的な目標や、抱負を語って入社後に自分に出来ることをアピールします。 履歴書などでは、「御社に入社した時には」というより「御社に入社した暁には」とすることで、
という利点があります。 また、「暁には」自体は敬語表現ではないので、ビジネスシーンなど目上の人に対して使用する場合は、「暁には」の前後を敬語表現にする必要があります。
例文
「暁には」はビジネスシーンなどかしこまった場面以外でも、日常会話で使用することができます。 日常会話の中でも「〜することができたら○○をする」など約束事や自分の意気込みを伝えたい場面では、「〜をした暁には」と表現します。 敬語表現ではないので友人や同僚など同等の立場の人に使用しても問題はありませんが、ビジネスシーンなどでも使用されるかしこまった表現であるため、違和感があるという場合は「〜をすることができたなら」など言い換えることも可能です。
例文
「際には」の意味は、「これまでとは異なる現象が生じたり、新たなことが行われたりする特定の時点」です。 「〜の時」という意味で、ある事柄が行われるその時を指したり、「〜の場合」というように、これからのことを仮定する意味で使用されるので「暁には」と言い換えることが可能です。 ただ、「〜の際には○○をした」というように過去のことにも使用することができますが、「暁には」は「暁には○○をした」といった使い方をすることはできませんので注意しましょう。
「折には(おりには)」は、特別の「時」「場合」「状況」を意味する言葉です。 例えば、「今度立ち寄った折に」で、「今度立ち寄った時に」という意味になります。 なので、「○○をした暁には」を「○○をした折には」と言い換えることが可能です。
「時には」は、「まれに何かの事情でそういう自体もありうる様子」「その事があったその時」という意味で使用されます。 日常会話では「時には」を使用することのほうが多いでしょう。 しかし、ビジネスシーンなどかしこまった場面では「暁には」を使用するほうが望ましいです。
「暁には」の英語は「if」を使って表すのが自然です。 「If A, B」で「もしAならばB」つまり「Aの暁にはB」となります。 Bの直前に「then」を入れることもできます。
If I succeed in the business, I'd like to move to Hawaii.
事業が成功した暁には、ハワイへ移住したい。
「暁には」の英訳として「in the event of」がしばしば紹介されますが、これは間違っています。 「in the event of...」は基本的にネガティブなことに対して使い、「...が発生した場合は」という意味です。 契約書など固い文章で使用されます。
In the event of an emergency, you must leave immediately.
緊急事態の際は、ただちに退出しなければなりません。
いかがでしたか?「暁には」について理解を深めていただけたでしょうか。 さいごに「暁には」について簡単にまとめます。