「ご指導いただければ幸いです(ごしどういただければさいわいです)」は、指導してもらえれば嬉しいですという意味です。ビジネスメールで目上の人に教えを乞うときや、挨拶文や年賀状などの定型句として使われます。
「ご指導」は「ごしどう」と読みます。 「ご指導」の意味は「知識・技術などを習得できるように教え導くこと」です。 「指導」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
この場合の接頭辞「ご」は、相手が指導することに対してつけているので尊敬語になりますが「ご〜いただく」で一つの謙譲語と解釈する場合もあります。
「いただければ」の意味は、「もらえれば」です。 「いただければ」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に仮定を表す「れば」をつけた敬語表現です。 仮定を表す「れば」を使うことで、直接的な表現を避け「〜してもらえたら」という柔らかいニュアンスの依頼表現になります。
「幸いです」は、「さいわいです」と読みます。 「幸いです」は、「自分にとって嬉しいことです」という意味です。 「幸い」に丁寧語「です」をつけています。 したがって「ご指導いただければ幸いです」で「指導してもらえれば嬉しい」という意味になります。
「ご指導いただければ幸いです」は、ビジネスメールで相手に指導をお願いするときに使います。 例えば、上司に営業のノウハウを教わりたいときや、教授に学問や研究について教わりたときなどです。 「ご指導いただければ幸いです」はクッション言葉を併用して、
などとメールの文中に使うことが多いです。 また、「ご指導いただければ幸いです。よろしくお願いいたします」などの形で文末に使うこともあります。 電話や口頭では使われることはまれです。
【件名】 プレゼン資料作成方法について 【本文】 営業部 高橋部長 お疲れ様です。 営業部の星野です。 10月15日(火)に取引先IUE0株式会社様にて弊社製品のプレゼンを行うことになりました。 しかしながら、私にはまだプレゼンの経験がございません。 つきましては、お手すきの際にプレゼン資料作成方法についてご指導いただければ幸いです。 経験抱負な高橋部長のお力を貸していただけないでしょうか。 お忙しいとは存じますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。 星野
【件名】 講師のご依頼 【本文】 株式会社ABC 営業部長 高橋様 突然のご連絡失礼します。 私はAAA株式会社 営業部の長谷川と申します。 弊社では、毎月営業技術を磨くために、営業部を対象とした講習会を毎月実施しております。 つきましては、AAA株式会社営業部長として働く傍らその道のプロとしてテレビ番組へのご出演や執筆と幅広くご活躍されている高橋様に、講師をお願いできないでしょうか。 ご多用の折とは存じますが、貴社で培われたノウハウをご指導いただければ幸いです。 お引き受けいただけるようであれば、後日改めてお時間をちょうだいしたく存じます。 ご検討のうえご返信のほどよろしくお願い申し上げます。 長谷川
「ご指導いただければ幸いです」は、今後も変わらないお付き合いをお願いする挨拶の言葉として使われることも多いです。 例えば年末にお世話になったお礼を伝えるときや、年賀状の挨拶、部署異動などの挨拶で使います。 「ご指導いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます」などの形で文末に結びの言葉として入れることがほとんどです。
【件名】 異動のご挨拶 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 松木隆太様 お世話になっております。 一般社団法人日本お茶協会の尾白徹です。 私事ではございますが、令和4年4月1日(月)付けで営業部から総務部へ異動になり、ご一報申し上げます。 後任は、丸太お茶子が担当させていただきます。 本来なら直接ご挨拶に伺うべきところを、メールでのご挨拶となり申し訳ございません。 改めて後日丸太からご連絡いたします。 万全の引き継ぎをいたしますので、私同様ご指導いただければ幸いです。 何卒よろしくお願い申し上げます。 尾白
【件名】 年末のご挨拶 【本文】 磯田部長 営業部の長谷川です。 本年も残りわずかとなりました。 磯田部長には、公私ともにお世話になり感謝申し上げます。 まだまだ細かなミスも多くお手を煩わせてしまうことが多いですが、来年はより一層気を引き締めて精進していく所存です。 来年も何かとご迷惑をおかけするかもしれませんが、引き続きご指導いただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。 それでは良いお年をお迎えください。 長谷川
【件名】 新年のご挨拶 【本文】 株式会社Debut様 明けましておめでとうございます。 woman株式会社営業部の八百万です。 昨年は弊社のサービスをご利用いただき誠にありがとうございます。 本年はさらなるサービスの向上に向け、社員一同気持ちを新たに取り組んでまいります。 至らない点もまだまだあるかとは思いますが、ご指導いただければ幸いです。 貴社の益々のご繁栄をお祈りを申し上げますとともに、本年も倍旧のお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。 令和4年 元旦 八百万
「ご指導」は「ご鞭撻」と併せて「ご指導ご鞭撻」の形で使われることが多いです。 「ご鞭撻」は「ごべんたつ」と読みます。 「ご鞭撻」の意味は「怠らないように強く励ますこと」です。 「ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」などの形で「指導や励ましをお願いする」という意味になります。 「ご指導」と「ご鞭撻」は似た言葉ですが、同義語ではないため併せて使うことができます。 この他にも類似語を合わせて使う言葉には「ご理解ご協力」などがあります。
「ご指導いただければ幸いです」と似た敬語表現に、「ご指導いただけますと幸いです」があります。 「いただければ幸い」は、上述したように「もらう」の謙譲語「いただく」に仮定を表す「れば」をつけた敬語表現です。 「いただけますと幸い」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「いただけますと幸い」で「してもらうと嬉しい」という意味になります。 どちらも目上の人に対して使える丁寧な敬語表現ですが、「いただければ」は謙譲語のみを使った敬語表現で、「いただけますと」は謙譲語と丁寧語を使った敬語表現なので「いただけますと幸いです」のほうがより丁寧です。
「ご指導いただければ幸いです」は、「ご指導いただけましたら幸いです」ということもできます。 「いただけましたら幸い」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と仮定を表す「たら」をつけた敬語表現です。 「いただけましたら幸いです」で「してもらえたら嬉しい・ありがたい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 「いただければ幸い」と「いただけましたら幸い」は、どちらも「してもらえたら嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しですが、「いただければ幸い」が謙譲語のみを使用した敬語表現で、「いただけましたら幸い」は、謙譲語と丁寧語を使った敬語表現なので「いただけましたら幸いです」のほうがより丁寧です。
「賜れれば幸い」は、「もらう」の謙譲語「賜る(たまわる)」に仮定を表す接続助詞「れば」をつけた敬語表現です。 「賜れれば幸い」で、「もらえると嬉しい」と依頼をする丁寧な表現になります。 「いただければ幸い」と「賜れれば幸い」は、どちらも「もらう」の謙譲語をつかった敬語表現ですが、「賜る」が「いただく」より一段と恐れ多いという気持ちを込めた謙譲語として用いられるため、「賜れれば幸い」のほうが丁寧でよりかしこまった表現です。
「幸いです」と似た敬語表現には「幸甚に存じます」があります。 「幸甚に存じます(こうじんにぞんじます)」は、「幸甚」と丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「幸甚」は、「何よりの幸せ」「この上ない幸せ」「最上級の幸福」「幸せの極み」「大変ありがたい思う」という意味です。 「存ずる」は、「思う」の丁重語です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、謙譲語とは違い、動作の対象ではなく自分が今話している相手に敬意を示す敬語です。 「幸甚に存じます」で、「この上なく幸せに思う」という意味になります。 丁寧語のみを使った「幸いです」よりも、丁重語と丁寧語を使った「幸甚に存じます」のほうが丁寧な敬語表現です。 また、「幸い」よりも「幸甚」のほうが堅い表現であるためフォーマルな場面に適しています。 ただし、かしこまりすぎて仰々しい印象を相手に与え、かえって失礼になってしまうので、社内の人に使う場合は「幸いです」のほうが適しています。
「ご指導ください」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご指導くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご指導いただけますか」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「ご指導ください」では丁寧さに欠けますが、「指導してもらえますか」と疑問形にすることで、柔らかい依頼の表現になります。 「ご指導いただくことは可能でしょうか」は、「指導してもらうことはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、やや強意的であるためビジネスシーンでは使用を避ける人もいます。
「ご指導願います」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご指導願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご指導のほど」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、婉曲表現の「ほど」をつけています。 「ほど」は、断定を避ける表現です。 「ご指導のほどよろしくお願いいたします」で、相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。 「お願いいたします」は「お願いする」という意味の依頼表現です。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語で、聞き手・読み手を敬う補助動詞です。 「お願いいたします」の「ます」は丁寧語です。 「いたす」は漢字で「致す」と書きますが、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、「お願いいたします」と書くのが正しいです。
「ご指導くださいますようお願い申し上げます」の「ご指導くださいますよう」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げます」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」も補助動詞なので「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣用的に「お願い申し上げます」と漢字で書かれることが多いです。 「ご指導いただきますようお願い申し上げます」とすることもできます。 「いただきますよう」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語の「ます」と婉曲表現の「よう」をつけています。
「ご指導いただきたく存じます」は、「指導」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご指導いただきたく存じます」で、「指導してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご指導いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご指導賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語「賜る」に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 したがって、「ご指導賜りますようお願い申し上げます」で、「指導してもらうようお願いする」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「ご指導賜れますようお願い申し上げます」は誤用です。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。 助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」が、敬語なので敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になります。 無理矢理、可能の意味で捉えることもできますが、このような使い方は一般的ではりません。
「ご教示」は「ごきょうじ」と読みます。 「ご教示」の意味は「教え示すこと」です。 具体的な方法を教えてほしいとお願いをするときや、相手の予定を聞くなど質問をするときに使うことができます。 ビジネスシーンでは最も使用頻度が高い言葉です。
「ご教授」は「ごきょうじゅ」と読みます。 「ご教授」の意味は「学問・技術・技能などを教えること」です。 特に訓練や鍛練が必要なものを継続的に教えることをいいます。 ビジネスシーンでは専門的な知識や技術を教え授けてほしいとお願いをするときに使い、「ご教示」に比べると使用頻度は低いです。
「ご指示」は、「ごしじ」と読みます。 「ご指示」の意味は、「それと指さすこと・指図すること」です。 「ご指示を仰ぐ」などと使われることも多いです。 「ご指示を仰ぐ」は、上司などに何らかの指導を受ける・指示を求めることをお願いすることを表します。
「ご指南」は「ごしなん」と読みます。 「ご指南」の意味は、「南を指すこと・教えを示すこと」です。 「指南」は「武術・芸能などを教え示すこと」を意味していて、「剣道を指南する」「将棋のご指南願います」などと使います。
「ご提示」は「ごていじ」と読みます。 「ご提示」の意味は「相手に差し出してみせること・考えなどを相手に示すこと」です。 例えば免許証や保険証などの身分を証明する為のものを見せてもらいたいときや、特定の成果物を提出する場面で多く使われます。 また、「都合のいい日程をご提示ください」などと、考えや意見を求めるような場面でも使うことができます。
「ご助言」は、「ごじょげん」と読みます。 「ご助言」の意味は「役に立つような言葉を添えて助けること、その言葉」です。 「口添え」という意味合いで、主に目上の相手にアドバイスを求めるときに使います。 ただし、「ご助言ありがとうございます」というようにお礼の気持ちを伝える場面では使用することはできないので注意してください。