「ごちそうさまでした」は、日本の食後に言う挨拶です。普段何気なく口にしている言葉ですが「どういう意味なのだろう?」と疑問に思ったことがある人も多いはず。今回は「ごちそうさまでした」の意味や語源を詳しく解説していきます。また「ごちそうさまでした」のビジネスでの使い方なども例文付きで紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ごちそうさまでした」は、日本の食後に言う挨拶です。 食事をしたあとに、食事を用意してくれた人に対して感謝の気持ちを表す言葉が「ごちそうさまでした」という言葉です。 家族間など親しい間柄では「ごちそうさん」と軽めに言い表すこともあります。
「ごちそうさまでした」は、漢字で表記すると「御馳走様でした」となります。 「御馳走様でした」は、尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた「御馳走」に、「様」と丁寧語の「です」の過去形「でした」をつけた言葉です。 「馳走」は、客のために奔走して材料を集め、食事をもてなすことをいいます。 食べ物が豊富ではなかった時代、食事を用意することはとても大変なことで、大切な客人をもてなすためには走り回って準備を整えなければなりませんでした。 このことから「食事」を「はしる」という意味のある漢字を2つ重ねた「馳走」とし、奔走している様子を表現するようになりました。 そこから「馳走」という言葉に「様」という丁寧語をつけて「食事を用意してくれた人に対してのお礼の言葉」として使われるようになったのが「ごちそうさまでした」という言葉です。 「様」は、「ご苦労様」「お疲れ様」とおなじように「ご〜さま」という丁寧語の言い回しとして使用されています。
「ごちそうさまでした」の語源は仏教の「馳走」という言葉です。 仏教では、食事だけではなく他人の為に奔走して、神から報いを与えられるようなよい行いをし、苦しんでいる人を助けることを「馳走」といいます。 今現代も「仏教」という教えが伝わっているのも、「馳走される」仏教の先生方のお陰であるという考えが言い伝えられています。 したがって、現代では「ごちそうさまでした」は食後のお礼の気持ちとして使用される言葉ですが、「馳走」は本来物事がうまく運ぶように駆け回ってくれる様々な人に対して使用できる言葉であったといえます。
「韋駄天(いだてん)」とは、仏教や仏教徒を守護する神のことで、「韋駄天が駆け回って仏陀に食材を集めていた」とされることから「馳走」という言葉の由来は「韋駄天が食事を集めるために奔走したことにある」とも言われています。 「韋駄天」は足が早いことで有名な神様で、仏舎利を盗んだ盗人を走って追いかけて取り返したという逸話があり、足の早い人を「韋駄天」と表現することがあります。 このことから韋駄天は足のはやさを利用して「修行中の僧侶や人々のために食べ物を走ってかき集めていた」とし、韋駄天は食卓の神様として慕われるようになり、やがて食事の後に感謝の気持ちを込めて「ごちそうさまでした」と使用するようになりました。
「ごちそうさまでした」という言葉は、食事を用意してくれた人へのお礼の言葉として使用される言葉であり、食後のお礼として使うことが基本です。 また、外で食事をした場合に、食事の料金を支払ってくれた人に対してのお礼の言葉として使用することもあります。 この場合は、お会計のときやお店を出たあとに「ごちそうさまでした」と伝えます。
家族内など親しい間柄であれば「ごちそうさま」と言うこともあります。 ただ、目上の人に対してやかしこまった場面では「ごちそうさまです」「ごちそうさまでした」と丁寧な表現にしましょう。 「ごちそうさまです」は、「馳走」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「様」、丁寧語の「です」をつけた表現です。 「ごちそうさまでした」も「ごちそうさまです」を意味は変わりませんが、食後に「美味しかったです」「お腹がいっぱいです」という満足感を表現する意味合いで「ごちそうさまでした」と過去形で使用することが多いです。
「ごちそうさまでした」は、食後のお礼としてだけではなく、お土産やプレゼントなどで食べものを頂いたときのお礼でも使用することができます。 ただ、「ごちそうさまでした」は基本的に食後の後に使用する言葉です。 食べ物を頂いたときのお礼として使用する場合は、その場で食べ終わるわけではありませんので、「です」を使用した「ごちそうさまです」といったほうが自然でしょう。 食べ物をいただいた日からしばらく経っているのであれば「先日いただいたお土産とてもおいしかったです。ごちそうさまでした。」とお礼を伝えてもよいです。
「ごちそうさまでした」は、「のろけ」を聞かされたときの返事にも使用されます。 「のろけ」は、自分の恋人や配偶者との幸せなエピソードを人前で得意になって話すことをいいます。 相手に、のろけ話を聞かされたときに、「幸せのおすそわけをいただきました」という意味で「ごちそうさまでした」という返事をすることができます。 いい話だけではなく、「恋人と喧嘩した」など恋人とのエピソードは捉えようによっては「のろけ話」となるため、恋人の愚痴を聞かされた場合にも「ごちそうさまでした」と答えてしまう人もいます。 しかし、「嫌味を言われた」と思われてしまう可能性があるので、恋の話だからといってむやみに「ごちそうさまでした」と返事をするのは避けるべきです。
「いただきます」は食べる前の感謝の言葉として使用されます。 「いただきます」には、さまざまな説があり、主に
職場の方と食事に行き、上司にごちそうになった場合は必ずお礼のメールを入れましょう。 まず、その場で「ごちそうさまでした」と直接伝えることも大切ですが、大勢の人がいる場合では上手く伝わらない場合もありますし、特にお互いにお酒を飲んでいるような場面では改めてきちんとした状態で丁寧にお礼の気持ちを伝えることはマナーであると言えます。 翌日に直接顔をあわせるような場合は「昨日はごちそうさまでした」と伝えましょう。 感謝の気持ちを伝えないと、「おごってもらえて当然だと思っている」と思われてしまう可能性がありますし、何よりお礼が言えない人にいい印象は持てませんよね。 しばらく直接会う予定がない場合はできれば当日中、遅くても翌日までは送ることを心がけましょう。
上司にご馳走になった場合のお礼のメール内容には、
などをセットにしましょう。 まず、一番大切なことはご馳走してもらうことに対してのお礼の気持ちを述べることです。 そして、料理の感想をのべます。 「美味しかったです、ごちそうさまでした」でも感謝の気持ちは伝わりますが、会話の内容などにも触れることによって、「素敵な時間を過ごせた」という気持ちが伝わりさらに印象がいいと言えるでしょう。
「ごちそうさま」ビジネスメールの例文① 橋本さん。 先ほどは美味しいお食事をごちそうさまでした。 また、お忙しい中お時間を割いていただき恐縮しております。 改めてゆっくり橋本さんとお話ができて本当によかったです。 まだまだ未熟ですが、いち早く成長して皆様のお力になれるよう努力して参りますので、 今後共末永くよろしくお願いいたします。 斉藤
「ごちそうさまでした」と自分は相手に言われたときは「お粗末様でした」と謙遜した返事をしましょう。 「お粗末様でした」は「他人に提供したものが、特に取り立てて言うほどではない」と謙遜する言葉で、自分が料理をしたものに対して「ごちそうさま」と言われたときの返事として使われます。 自分がお店を選定し、料金を出してふるまった料理に対する謙遜として使用する場合もあります。 しかし、自分は料理を作ったわけではないお店の料理に対して使用するのは不自然だと感じる人もいるので、「お粗末さまでした」は自分で料理を作ったときに限定しておくのが無難といえます。
「ごちそうさまです」と相手に言われた場合に、「お口に合いましたか」と答えるのも謙虚な返しとなります。 「お粗末様です」は、かなりかしこまった表現になので言われたほうも恐縮してしまいますが、「お口に合いましたか?」だとカジュアルで、相手も「おいしかったです」などの返答がしやすくなります。
「ごちそうさまでした」と言われた時の家族間の返事では「はい」と簡単に返事することがほとんどです。 「ごちそうさまです」に対する返答は、家族間であれば簡単でも失礼にはなりません。 「親しき仲にも礼儀あり」というように親しい間柄や、家族間であっても食事を用意してくれた人に対してお礼を言うことはとても大切なことですし、それに対してきちんと答えることも大切なことです。 返答には様々パターンがあるので相手によって上手に使いわけましょう。
英語圏には食後に「ごちそうさま」と言う文化がありません。 しかし、料理を提供してくれた人に対してお礼を言うことはできます。 下記のような表現で感謝の気持ちを伝えればよいでしょう。
Thank you for the awesome food.
とてもおいしい料理ありがとうございました。
I really enjoyed your meal. Thank you.
お食事美味しくいただきました。ありがとうございます。
I'm so full. It was great!
お腹いっぱいです。とても美味しかったです!
中国にも「ごちそうさま」という文化がありません。
などと表現すればよいでしょう。
韓国では日本と同じく「ごちそうさま」という文化が存在します。 「ごちそうさまでした」は韓国語で「 잘 먹었습니다.(チャル モゴッスムニダ)」と言います。
いがでしたか? 「ごちそうさまでした」について理解を深めていただけたでしょうか。 いつも口にしている言葉だからそこそ、意味を知ってみると面白いですよね。 ビジネスシーンでも「ごちそうさまでした」を使用する場面は多いものです。 目上の人にお食事をご馳走になったときには、失礼のないようにきちんと「ごちそうさまでした」という気持ちを伝えましょう。