「いただけます」「いただきます」という言葉をご存知でしょうか。「〜していただけますか」「〜していただきますようお願い申し上げます」などと依頼をする場面で使うことが多いです。どちらも丁寧な言葉ですが、どう使い分けたら良いのでしょうか。あまり違いはなさそうに思いますよね。実際は、大きく異なる部分があるため、使い方を間違ってしまうと相手に失礼な印象を与えてしまいます。そのようなことが起きないためにも、しっかりと使い分けられるようにしましょう。そこで今回は「いただけます」と「いただきます」の違い、「頂けます」は正しいのかについて解説していきます。
「いただけます」は、「もらう」の謙譲語「いただく」+可能を表す「〜ける・〜れる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「いただけますか」の形で使うことが一番多いです。「◯◯できるならしてほしい」という意味になります。 より丁寧に言うならば、
などとなります。 例えば、「ご連絡をいただけますか」と言った場合は「連絡をもらうことはできますか」ということを表します。
「いただきます」は、「もらう」の謙譲語「いただく」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「....してもらいます」をより丁寧にした表現が「....していただきます」です。「◯◯してほしい」という意味になります。 より丁寧に言うならば、
などとなります。 例えば、「お返事をいただきたく存じます」と言った場合は「お返事をもらいたいと思います」ということを表します。 このように、「いただきます」はやや断定的な言い方となります。
「いただけます(か)」の方が相手に可能かどうか問う文章なので、相手が依頼を実行することが可能であることを前提に依頼している「いただきます」より丁寧になります。 「いただけます」は可能、「いただきます」は断定と命令を表します。 「食べていただけます」だったら「食べることができますよ」という意味になり、「食べていただきます」だったら「食べてください」という意味になります。一文字違うだけで、文の印象がかなり変わります。 「いただきます」も「いただけます」も目上の人に向けていて丁寧ですが、「いただけます」がよりへりくだった表現のためお客様や上司などにはこちらを使うのが良いでしょう。
「いただけます(か)」の例文
「いただきます」の例文
敬語には3種類あります。尊敬語と謙譲語と丁寧語です。 二重敬語とは、同じ種類の敬語を1つの文章で2回以上使用することを指します。逆にいったら、違う種類の敬語を同時に使っても二重敬語にはなりません。 例えば、尊敬語と尊敬語、謙譲語と謙譲語と使用していたら二重敬語ですが、尊敬語と丁寧語、謙譲語と尊敬語だったら二重敬語ではないです。 「いただけますでしょうか」は慣習的には結構使われているので、使用してもそこまで相手に違和感を与えることはありませんが、二重敬語は正しい日本語ではないので、使用を避けるようにしましょう。本来、二重敬語は目上の人に対しても失礼にあたります。 上記でも紹介した通り、「いただけますか」と使うのが正しいです。
「いただきます」は漢字にすると「頂きます」になります。 しかし「頂く」は実際に「物をもらう」ときに使います。 今回のように補助動詞として、動詞を補助し謙譲のニュアンスを付け加えるだけの役割の場合は平仮名で使うのが正しい使い方になります。 補助動詞は平仮名が正しい日本語なのですが、補助動詞も漢字にしている人が本当に多くいます。 例えば、「よろしくお願い致します」も誤用です。「致します」は「お願いする」の補助動詞なので「いたします」と平仮名にするのが正式な使い方です。 逆に「お願いを致します」と「お願い」を名詞扱いにして、「致す」を補助動詞ではなく本動詞として使うのであれば問題ありません。
「○○いただけますか」の「いただく」は謙譲を表す補助動詞で、元々は「もらう」の謙譲語です。 「○○くださいますか」の「くださる」は尊敬を表す補助動詞で、元々は「与える」の尊敬語です。 例えば、
はどちらも、謙譲と尊敬の違いがありますが、正しい敬語表現になります。どちらを使って相手に対して敬意を示すことが可能です。 どちらがより丁寧かと聞かれれば、相手の視点で発言している尊敬表現である「くださいますか」になります。 謙譲表現は、あくまでも「自分」をへりくだった表現になりますが、尊敬表現には相手の視点しかありません。 よって、「いただけますか」と「くださいますか」はどちらも正しい敬語表現ですが、「くださいますか」の方がより丁寧、ということになります。
依頼文でなくても「いただけます」は使うことができます。 「ご利用いただけます」「ご確認いただけます」「お選びいただけます」などと言います。 これは「利用できますよ」「確認できますよ」といったように、相手に可能であることを伝えます。 また、AさんがBさんに「社長に○○していただけます」と言った場合、 謙譲語「いただく」は、A ===> 社長 に対しての敬語 丁寧語「ます」は、A ==> Bさん に対しての敬語 になります。 またこの例文は「社長が○○してくださいます」と言い換えることも可能です。
ビジネスシーンで依頼表現で一番よく使うのは「Coukd you please...?」になります。
Could you please come over to my office?
弊社にご足労いただいてもよろしいでしょうか?
Could you please tell me how I should deal with that client?
あのクライアントをどのように対応すべきか教えてもらえますか?