「思います」という言葉は、「思う」という言葉の丁寧語です。自分の考えていることなどを相手に伝える際に使用される言葉です。「思います」は丁寧語ですが、尊敬語、謙譲語にするとさらに言い回しが変ります。皆さんは、「思う」の敬語表現をそれぞれきちんと使い分けることができていますか?今回は、「思います」 の意味と尊敬語、謙譲語の言い換えについて例文つきで解説します。また、英語表現も紹介しますので参考にしてください。
「思います」は、「思う」の丁寧語です。 「思う」に丁寧語の「ます」をつけて「思います」となります。 丁寧語の「です・ます」は、動詞を丁寧にする必要最低限の敬語のことで、「私はA案の方が良いと思う」を「私はA案の方が良いと思います」と言い換えることができます。 「思います」は、書き言葉としても話し言葉としても使用されますが、丁寧語であるため敬語としては少しカジュアルな印象をうけます。 上司や先輩などとの何気ない会話であれば、「思います」でも問題ありませんが、相手や状況によってはしかるべき敬語や言葉を使うことが大切になります。 「思います」以外の敬語表現を後述しますので、ぜひ参考にしてください。
敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」という種類があります。 それぞれ簡単に説明すると、 ▶︎尊敬語 相手の動作を高めることで、その人に対しての敬意を表す敬語 「いらっしゃる」「お名前」など ▶︎謙譲語 自分の動作をへりくだり、相手を高めて敬意を表す敬語 「申し上げる」「伺う」など ▶丁重語 自分の動作をへりくだる敬語 高める相手がいない場合に用いる 「申す」「参る」など ▶︎丁寧語 高める相手の有無を問わず、丁寧な言葉遣いで相手への敬意を表す敬語 「ございます」「です・ます」など となります。 「思う」は、「丁寧語」に言い換えると「思います」という表現になるということは上述しました。 では、「謙譲語」「尊敬語」に言い換えるとどうなるのでしょうか。
「思います」の謙譲語は、「存じる」「所存」です。 これらに丁寧語を付け加えて「存じます」「所存です」というように使用することがほとんどです。 謙譲語は、相手に何かを聞かれた場合に使うことが多いです。 「私は◯◯だと存じます」「私は◯◯だと存じ上げます」などと使います。 ビジネスメールでも、「お忙しいとは存じますが...」「ご迷惑をおかけするとは存じますが...」などと相手に依頼をする場合のクッション用語などに使用し、この後にお願いや理解を求める文章が続きます。 「所存」は「心中に思うところ・思惑・考え」という意味です。「所存」は「存ずるところ」を省略した表現なので、「思う」の謙譲語になります。 「◯◯と思っている所存です」は二重表現なので誤用ですので注意しましょう。 また、「存じる」は「思う」だけでなく、「知る」の謙譲語としても使います。 例えば、『この計画についてご存知でしたか』『はい、存じております』などと言います。 「知る」なのか「思う」なのかどちらの意味で使われているかは、前後の文脈で判断するようにしてください。
「思います」の尊敬語は「思われる」「お思いになる」です。 「思われる」は、「思う」に自発を表す「れる」を組み合わせた言葉で、「〜になるのは当然のことである」という意味で使用されます。 例えば、「明後日からは雨が続く予報であるため、雨具が必要になると思われます」というように使用し、「明後日からは雨が続く予報だから、雨具が必要になるのは当然だ」というような意味になります。 「〜となるのは当たり前だ」とはものすごく失礼な表現であると言えるので、目上の人に使うのは避けましょう。 例のように、自然現象に関して使用することは可能です。 また、尊敬語を表す接頭語の「お」をつけた「お〜になる」で「お思いになる」という言い回しを使用することもできます。 この場合は、相手が主体となる「思う」ということに対して使用されます。 例えば、「○○様がお思いになることはすべて話してみてください」というように使用すると、「○○様が思っていることはすべて話してみてください」という意味になります。
「思う」に近い動詞に置き換えるのも手段の1つです。 例えば、「考える」や「感じる」という動詞に置き換えることができます。 同じ文章に何度も「〜だと思います」「であることと存じます」というように「思う」という言葉を使用すると、読みにくくなってしまいますし、幼稚な印象を与えてしまいます。 「私は、○○について○○なのではないかと考えます」や、「○○だと感じています」というように言い換えることで、より文章をまとまりのあるものにすることができます。 状況に合わせて上手に使いこなしましょう。
「存じる」と、「存じ上げる」は「思っている、知っている」という同じ意味をもつ言葉です。 しかし、 「存じ上げる」は「思っている、知っている」対象が「人」のときに使う言葉 「存じる」は「思っている、知っている」対象が「もの・サービス」のときに使う言葉 というように、使用する対象が異なります。 人に関することに「存じ上げる」を使うのは、「上げる」という言葉が「へりくだった意を表す」という意味があり、人を持ち上げる役割を果たすからです。 人を持ち上げるとは言いますが、人以外を持ち上げるとはなかなか言いませんよね。 したがって、「存じ上げる」は人に関する場合、「存じる」は人以外に関する場合に使うと覚えておくといいでしょう。
「お思いになる」をもっと丁寧に表そうと「お思いになられる」と使われることがありますが、誤用です。 「思う」の尊敬語「お思いになる」+尊敬語「れる・られる」なので、二重敬語となります。 一つの言葉に同じ種類の敬語を2回以上重ねて使ってしまうことを「二重敬語」と言います。 「お思いになられる」や「思いになられる」などと慣習的に使われていることもありますが、二重敬語は相手に失礼な印象を与えたり、かえって回りくどい感じがしてしまうので使用は避けるようにしましょう。 丁重にしようとして、敬語をいくつも重ねようとしなくても、「お思いになる」「思われる」だけで十分丁寧な敬語になっているので、こちらを使用します。
「ご存知」は「ごぞんじ」と読みます。 「ご存知」は、「知っている」の尊敬語です。 ビジネスシーンで、目上の人に対して「知っていますか」「知ってましたか」と尋ねる場合に使用できる「知っている」の尊敬語が、「ご存知」という言葉です。 例えば、「ご存知ですか」といった場合は、「知っていますか」という意味になります。 「ご存知ですか」「ご存知でしょうか」などは、相手が自分の話すことを知っているかどうか確認するときに使います。 また、「ご存知の通り」「ご存知とは思いますが」とした場合は、自分の話すことを相手が知っている前提とした言い方になります。 「ご存知」は「知っている」という意味で用いることがほとんどです。 しかし、「ご存知」には「知っている人」「知り合い」という意味もあるので、「この人をご存知?」といった場合、「この人を知っている?」というだけでなく「この人と知り合い?」という意味合いにもなります。
「存じていらっしゃる」「存じていらっしゃいますか」は間違った敬語であるため、注意しましょう。 「存じる」は「思う」の謙譲語であり「いらっしゃっる」は、「いる」の尊敬語です。 つまり、「存じる」は、相手に敬意をしめすために自分の「思う」ことをへりくだって伝える表現であるため「いらっしゃる」という尊敬語と重ねて使用するのは文法的に誤りであるということです。 自分の表現である場合「思います」「存じます」というように言い表し、相手の表現である場合は「お思いになる」というように表現するということを覚えておきましょう。
「思います」の一般的な英語は、
などになります。
「推定する」というニュアンスの「思う」は、
「I'm afraid」はネガティブな内容が続くときに使います。 「思う」と訳すよりも、「申し訳ありませんが」の方が近いです。
I'm afraid that I can't help you with that.
申し訳ありませんが、その件ではお手伝いできません。
「思います」という言葉について理解していただけましたか? ✓「思います」は「思う」の丁寧語 ✓「思います」の謙譲語は「存じます」「所存です」 ✓「思います」の尊敬語は「思われる」「お思いになる」 ✓「お思いになられる」は二重敬語 など