「存じ上げる」という言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンでは敬語を使うことがほとんどですよね。「存じ上げる」も敬語の一つです。では、「存じ上げる」の意味についてしっかりと理解しているでしょうか。意味をきちんと知っておかないといざという時に使うことができません。そこで今回は「存じ上げる」の意味や使い方、「存じます」との違い、類語について解説していきます。「存じ上げる」を正しく覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「存じ上げる」は「ぞんじあげる」と読みます。 「そんじあげる」とは読まないので注意してください。
「存じ上げる」は「知る、思う」という意味です。 「存じ上げる」は目的語に「人」がくるのが特徴です。 人以外に対して「存じ上げる」を使うと、少し丁寧すぎてしまします。
「存じ上げる」は「知る」「思う」の謙譲語です。 謙譲語は敬語の一つで、自分の行いをへりくだることで相手に敬意を示すものです。 「存ずる」のみでも「思う」「知る」の謙譲語ですが、そこに謙譲の意味を強める「上げる」を足すとより丁寧な「存じ上げる」という言葉になります。
「存じ上げる」の否定形は「存じ上げない」「存じ上げません」です。 「存じ上げない」「存じ上げません」は、「知りません、わかりません」を意味します。 「存じ上げません」は改まった言い方ですが、堅苦しくかえって冷たい印象を与えてしまうこともあります。 ビジネスシーンで「存じ上げません」を使う際は「誠に申し訳ありませんが、存じ上げません」「恐れ入りますが、存じ上げません」などと前にクッション言葉を付けると柔らかい印象になります。また、「わかりかねます」などと他の言葉に言い換えるのもよいでしょう。
「存じます」は人よりも物事や場所を指して「知っている、思っている」という意味になります。 「存じ上げる」の方が「上げる」がある分、より丁寧な表現なので、人に対して使います。 「◯◯と思います」や「◯◯かと思います」の「思います」の部分は、「存じます」に言い換えることができます。「存じます」と言い換えることによって、話者に対して敬意を示すことができます。 「存じ上げる」を物事や場所に対して使うこともできますが、少し丁寧すぎるため、人以外には「存じます」を使う方が自然です。
「承知」は「事情を知っていること、頼みを聞き入れること」を意味します。 「相手の依頼や希望、命令などを聞き入れる」という丁寧な意味を持つ言葉ですが、「承知」という言葉自体は謙譲語ではありません。 ビジネスメールでは「承知いたしました」「承知しております」「承知しました」などの形で非常によく使います。 謙譲語ではありませんが丁寧な表現なので、目上の人に対して使うことができます。
「存じ上げる」は人を知っている、思っているということを表す場合に使います。 例えば、相手の名前を知っている場合に「お名前はかねてから存じ上げております」と言います。これは「以前からお名前は知っています」という意味です。 「知っています」ではなく「存じ上げています」「存じ上げております」ということでより丁寧な表現になります。 「存じ上げる」は「思っている」という意味でも使います。例えば、手紙で「お変わりなくお過ごしのことと存じ上げます」といったように言います。 「思います」の代わりに「存じ上げます」を使うことができます。 「存じ上げる」の目的語は基本的に人のみなので、「お願いしたく存じ上げます」「嬉しく存じ上げます」などとは使いません。代わりに「存じます」を使うのが普通です。「お願いしく存じます」「嬉しく存じます」などと表現します。 「存じます」の使い方については、下記の記事を参考にしてください。
「存じ上げる」を使った例文を紹介します。
例文
「所存」は「しょぞん」と読みます。 「所存」は「心の中で思っていること」を意味します。 「所存です」「所存でございます」といったように使います。「◯◯する所存です」といった場合は「◯◯しようと思っています」という意味になります。 「所存です」は自分が心の中で思っていることや、考えを述べる場合に使う言い回しです。自分をへりくだるニュアンスが含まれているため、目上の人に対して使うことができます。
例文
「了承」は「りょうしょう」と読みます。 「了承」は「相手の事情をしっかりと理解して納得すること」を意味します。 「了承しました」「了承いたしました」といったように使います。相手に依頼をする場合や、相手の頼みに許可する場合に使う言い回しです。 例えば、依頼をしてきた相手に大丈夫ですということを伝える場合に「了承しました」と言えます。ただ、「了承」には「それでいい」と上から目線のニュアンスが含まれるため目上の人に使うには適しません。
例文
「思う」は「心の中である感情を持つこと」を意味します。 「おります」は存在を表す動詞「おる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「思っています」をより丁寧に表現した言葉が「思っております」です。「私も◯◯だと思っています」と言うよりも「思っております」と表現した方が丁寧な印象を与えます。 「思っております」は丁寧な表現ですが多用は避けましょう。慇懃無礼にあたる場合があります。 状況や相手によって使うかどうかしっかりと判断するようにしましょう。
例文
「存じ上げる」は謙譲語のため、自分の行いに対して用います。相手の行いに対しては使うことができません。 「◯◯様のことについては存じ上げています」といったように、「自分は知っている」という意味で「存じ上げる」を使うのは正しい用法です。 一方で、「部長は◯◯様のこと存じ上げていますか」「お名前は存じ上げていますか」と相手に対して使うことはできません。 相手に知っているかどうか聞きたい場合は「ご存知」を使うのが良いです。相手が自分の話すことを知っているかどうか確認するときは「ご存知ですか」と聞くことができます。
「存じ上げる」は非常に丁寧な表現ですが、使いすぎてしまうと相手にしつこい印象を与えてしまいます。また、あらたまった場面ではないときに使ってしまうと、不自然になってしまいます。 敬語は多用すると、慇懃無礼になってしまうので注意です。 一回の手紙やメールにおいて「存じ上げる」を何回も使わなければいけない場合は「知っています」「思っています」と言い換えるのが良いです。 「知っています」も「思っています」も丁寧語「ます」がついているので、正しい敬語になります。
上記でも説明したように「存じ上げる」は人に対して使います。物事や場所に対して使う場合は「存じる」を用います。 例えば、「新しいプロジェクトの内容は存じ上げております」と使うのは不自然です。この場合、対象は物事なので「存じます」を使うのが正しいです。
「存じ上げる」の英語は「think」「know」などを使います。 英語には謙譲語という概念はありませんから、敬語表現に関しては意識する必要はありません。
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「存じ上げる」について理解できたでしょうか? ✔︎「存じ上げる」は「ぞんじあげる」と読む ✔︎「存じ上げる」は「人を知っている、思っている」という意味 ✔︎「存じ上げる」は謙譲語なので、相手の行いに対しては使わない ✔︎「存じ上げる」は対象が人の場合、「存じる」は対象が物事や場所の場合に使う