社会人になると、ほぼ毎日と言っていいほど敬語を使いますよね。その中でもよく使うのが「存じる」「存じ上げる」という言葉です。「存じる」「存じ上げる」は、「知る」「思う」の謙譲語になります。では、「存じる」と「存じ上げる」についてご存知でしょうか。中には使い方が正しいかどうか否か、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は「存じる」と「存じ上げる」の意味と使い分けについて解説していきます。「知る」の敬語表現は比較的、使う頻度が高いので、間違えずに覚えておきましょう。
▶︎「存じる」
▶︎「存じ上げる」
「存じる」と「存じ上げる」は、どちらも「思う」「知る」の謙譲語です。 ただ、「存じ上げる」には”謙譲”を表す「上げる」が含まれているので、「存じる」よりも相手に対する敬意がより強調されます。 また、同じ謙譲語でも「存じる」は”謙譲語II”、「存じ上げる」は”謙譲語I”という違いがあります。
▶謙譲語I 自分の動作をへりくだることで、敬意の向かう先の相手を立てることができる敬語。「伺う・申し上げる」など ▶謙譲語II 自分の動作をへりくだることで、動作の対象の相手ではなく、聞き手や読み手に対して丁重に述べる敬語。「謙譲語II」ではなく「丁重語」とも。「参る・申す」など
「存じる」と「存じ上げる」は、少々異なるので間違わないように気をつけましょう。
「存じる」は「思う」「知る」の謙譲語です。 ”謙譲語”なので、自分の行為をへりくだっていうときに使う表現です。 「◯◯と思います」や「◯◯かと思います」の「思います」を、「存じます」と言い換えることができます。「存じます」と言うことによって、相手にも丁寧な印象を与えられます。 また、「存じる」は「思う」だけでなく、「知る」の謙譲語としても使えます。例えば「日程の変更については、△△から聞き、存じております」などとすることができます。 「存じる」を否定形にすると、
となります。 「存じません」「存じておりません」は「わかりません」「知りません」を意味します。 ただ、「存じる」は自分の行為に対して使うので、「部長はA社の◯◯さんを存じていますか」などと使うことができません。このような場合は「部長はA社の◯◯さんをご存知でしょうか」とします。 「存じます」は少々堅苦しい印象がありますが、日常会話で使っても問題ありません。また、ビジネスシーンでもメールや文書だけでなく、会話でも大いに役立てることができます。
例文 ◯「思う」という意味で使う場合
◯「知る」という意味で使う場合
「存ずる」は「存ず」のサ変動詞、「存じる」は「存ず」の上一段活用動詞です。 どちらかと言うと「存ずる」の方が、少々古い言い方になります。 「存ず」という文語サ変動詞が口語では「存ずる」になり、そこから上一段の「存じる」が派生してできました。 一般的には「存じる」を使うことが多いため、「存ずる」よりも「存じる」を使う方が無難です。
「存じ上げる」は「知る」「思う」の謙譲語です。 元々は「存じる」という言葉が単体で使われていましたが、そこに”へりくだった意味を表す”「上げる」を足して、「存じ上げる」という言葉ができたとされます。 「存じ上げる」には”謙譲”を表す「上げる」が含まれているので、意味は同じでも「存じる」よりも「存じ上げる」の方が相手に対する敬意がより強調されます。 また、「存じる」は知っている対象が”人や物、場所”の場合に使えるのに対して、基本的に「存じ上げる」は知っている対象が”人”に限定されているというポイントがあります。 ですので、「この商品を存じ上げております」とは使うことができません。 「存じ上げる」の否定形は「存じ上げません」「存じ上げておりません」になります。 「存じ上げません」は「知りません」「わかりません」を意味します。 「存じ上げる」は知っている対象が”人”に限られているので、「存じ上げません」も知らない対象が”人”の場合に使います。「◯◯様のことは存じ上げません」または「◯◯様のことは存じ上げておりません」とします。
例文 ◯「思う」という意味で使う場合
◯「知る」という意味で使う場合
「存じる」と「存じ上げる」の違いについて理解できたでしょうか? 「存じる」は基本的に知っている対象が、”人や物、場所”の場合に使い、「存じ上げる」は基本的に知っている対象が、”人”の場合に使います。 「存じる」と「存ずる」は同じ「思う」「知る」の謙譲語ですが、意味は少々異なるので、しっかりと使い分けできるようにしましょう。
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
同じ内容でも伝え方次第で結果が全く変わってしまう。そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?実は言葉の選び方や順序には公式があり、それに気付きさえすれば、ビジネスシーンだけではなく人生全般でのコミュニケーションを円滑にすることができます。こちらの本では、相手の返事を「ノー」から「イエス」に変える具体的な方法が体系化されています。
偏差値35だった筆者が、二年間の浪人と東大合格の末にたどり着いた読書術を余すところなく大公開しています。文章を読み込む力や論理的に整理する力などが劇的に向上する実践的な読み方が分かりやすく解説されています。仕事・勉強の生産性を上げたい人にも読書嫌いにも効果テキメンの一冊です。