「わかりかねます」とは「わかることが難しい」を意味する敬語で、理解できないことを婉曲的かつ丁寧にした表現です。ビジネスシーンで主に使用されます。動詞「わかる」の連用形「わかり」+補助動詞「かねる」の連用形「かね」+丁寧語「ます」で構成されています。
「わかりかねます」は「事の筋道がはっきりしない」「理解できない」「明らかではない」という意味です。 「わかりかねます」は、動詞「わかる」の連用形「わかり」に、「かねる」と、丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「かねる」は「〜することができない」「することが難しい」という意味です。 「かねる」には「二つ以上の機能や性質をもつ」という意味もありますが、ここではその意ではありません。 「わかりかねる」とすることにより、「わかりません」とハッキリ否定的な意味合いで伝えるよりも柔らかい印象で伝えることができます。
「わかりかねます」の「わかる」の漢字には「分かる」「解る」「判る」の三種類があります。
という意味で使い分けられます。 「分かる」が一般的に使われることが多く、一番汎用性が高いです。 「かねる」の漢字は「兼ねる」です。 ただし、補助動詞の場合はひらがなが正しい表記なので、「分かりかねる」が最適といえます。
「わかりかねます」は「わかる」と「かねる」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現なので、目上の人に対して使用することができます。 ただ、「わかりかねます」は「わかりません」を丁寧に言っているだけなので「わかりかねます」とだけ言われても相手に不信感を与えてしまう可能性があります。 「申し訳ございませんが...」などクッション言葉を使用したり、状況によっては「確認してご連絡いたします」など真摯に対応する姿勢を見せる必要があるでしょう。
「わかりかねます」は、「わかりかねますので」「わかりかねるため」で、後ろに続く文と接続することができます。 例えば「自分ではわからないから、わかる人に確認をしたい」と伝えたい場合に「わかりかねますので、確認をさせていただいてもよろしいですか?」というように使用します。 上述したように「わかりかねます」のみで終わらせてしまうより、「わかりかねますので○○○」「わかりかねるため○○○」と提案をしたり、対処する姿勢を見せるような使い方をすることが望ましいです。
例文
「わかりかねる」は「わかりかねます」「わかりかねる状況です」で断定になります。 相手の疑問に対して答えられる状況にない場合などで「わかりかねます」「わかりかねる状況です」と断定して伝えます。 「わかりません」というよりも、「かねない」を使用していることにより否定的なニュアンスを和らげることができます。
例文
「わかりかねない」「わかりかねません」は「わかってしまうかもしれない」という意味です。 「わかりかねません」を「わかりません」という意味で使用するのは誤用です。 例えば「息子が起きてしまえばサンタがパパであることがわかりかねません」は、「サンタがパパであることがわかってしまうかもしれない」という意味なので、正しい使い方になります。 「〜しかねません」という表現自体はありますが、「わかりかねません」が使用される場面は限定的でビジネスシーンで使用することはほとんどありません。
「わかりかねました」は「わかる」と「かねる」に丁寧語の「ます」の過去形である「ました」を使用した敬語表現です。 過去形の「ました」を使用しているので、過去を指した表現ですが「わかりかねました」は不自然です。 「わからなかった」と伝えたいのであれば、「わかりませんでした」のほうが自然です。
「わかりかねてしまいます」は、「わかる」と「かねる」に「〜てしまう」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「〜てしまう」は「大切な宝物を捨ててしまう」というように、後悔や残念な気持ちを表します。 したがって「わかりかねてしまいます」は「わからない」ということを残念に思っている気持ちを表現しているということがわかります。 「〜てしまう」を使用することにより、「意図せずそうなってしまう」という他人事に聞こえてしまうため使用は避けましょう。
「存じ上げません」は「知りません」という意味です。 元々の言葉は、「存じ上げる」で、「知る」は謙譲語で「上げる」は相手に対する敬意をより強調する意味で使用されています。 例えば「Aさんを存じ上げる」でAさんを知っているということについてAさんをさんを高める表現になります。 「存じ上げません」は、「ます」という丁寧語の否定形である「ません」がついているため「知らない」ということをへりくだって相手に伝える表現になります。 「○○さんを知っていますか?」などと聞かれたときは、「わかりかねます」というより「存じ上げません」と答えたほうが丁寧です。
例文
「存じかねます」は、「知る」の丁重語の「存ずる」に「かねる」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「存ずる」は「知る」という意味で、「かねる」は「〜することができない」「することが難しい」という意味です。 したがって、「存じかねます」は「知ることができない」「知りません」という意味になります。 「存じかねます」は「丁重語+丁寧語」であり、「わかりかねます」は丁寧語なので、「存じかねます」のほうが敬意の度合いが高い丁寧な敬語表現です。
例文
「確認できかねます」「お答えいたしかねます」は、相手の要望に対して「できません」と伝える場合に使用できる表現です。 「かねます」を使用することにより、「したくてもできない」というニュアンスになるので「できません」ときっぱり断るよりも柔らかい印象になります。 「かねる」を使用した表現には、その他にも
などがあります。
例文
「わからない」
を意味する一般的な英語は、などですが、このままでぶっきらぼうでビジネスシーンには適しません。
上述の表現に、
などを付けるとビジネスでも使うことができます。
「I'm afraid」は直訳すると「〜を恐れる」という意味ですが、「(相手にとって迷惑なことを)思う」という意味になります。I'm afraid that I don't have the answer to that question.
その質問はわかりかねます。