「ご迷惑をおかけします」は、相手に手間をとらせたり、困らせることに対して謝罪の意を相手に丁寧に伝える敬語表現です。ビジネスシーンなどでもよく使用される表現なので、正しい使い方を覚えておきましょう。今回は「ご迷惑をおかけします」の意味と使い方を解説します。「ご迷惑をおかけします」の言い換え表現も合わせて紹介しますので是非参考にしてください。
「迷惑をかける」の意味は「相手に手間をとらせたり、困らせること」です。 自分が行ったことで、相手が不快な思いをしたり不利益を受けることを「迷惑をかける」と言います。 「迷惑」は「めいわく」と読みます。 「迷」は音読みで「メイ」、訓読みで「まよう」と読む漢字です。 「惑」は音読みで「ワク」、訓読みで「まどう」と読む漢字です。 「かける」を漢字表記すると「掛ける」ですが、慣用句なので平仮名表記するのが普通です。 「かける」には様々な意味がありますが、この場合は「影響を及ぼす」という意味で使用されています。
「ご迷惑をおかけします」の敬語について解説します。 「ご迷惑」の「ご」は敬語の接頭語で、「ご」の敬語の種類は謙譲語です。 「迷惑」は(目下の自分から)目上の相手に及ぶことだからです。 自分をへりくだり、自分の動作の対象を高めるのが謙譲語です。 例えば「ご無礼を致しました」の「ご」も同様に謙譲語になります。 「おかけします」は「お」「かける」「ます」に分解できます。 この「お」も謙譲語です。自分をへりくだり、自分の動作の対象である相手を高める敬語です。 「ます」は丁寧語です。
「ご迷惑をおかけします」という一文には3つもの敬語が使われていて、これって二重敬語いや三重敬語なのでは?と思う人がいるかもしれません。 まず二重敬語とは同じ語に対して同じ種類の敬語を2つ以上使用することを指します。 よって丁寧語の「ます」は全く問題ないことになります。 また二重敬語に該当するには「同じ語に対して」がポイントです。 「ご」は「迷惑」を、「お」は「かける」を修飾しているため(2つとも謙譲語だが違う語にかかっているため)二重敬語にはあたりません。
「ご迷惑をおかけしております」も正しい敬語表現です。 「ご迷惑をおかけしております」の「おる」は「いる」の丁重語です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 また、自分以外の動作にも丁重語を使用することもできます。 例えば「寒い日が続いております」など、主語が「寒い日」でも「おります」と丁重語を使用することによって、聞いている相手に敬意を示すことができます。 丁重語は謙譲語の一種なので、「ご迷惑をおかけしております」だと「かける」に対して、接頭語の「お」+「おります」で謙譲語を二つ使用している二重敬語だと判断してしまいがちです。しかし、正しくは謙譲語+丁重語なので二重敬語ではありません。
相手に何かを依頼・お願いをするときは「ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」などと言います。 しかし「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」は、「不利益を生じさせてしまいますが、よろしくお願いします」という意味になってしまいます。 この言い回しは、相手に不利益が生じることが分かった上でお願いしていることになり、場合によっては失礼になってしまいます。 お願いをする時に使うのであれば、「ご迷惑をおかけしますが、何とぞご了承下さいますようお願いいたします」というように、より丁寧な敬語表現を利用するほうが好ましいです。 「了承」は「理解して、相手の意向を受け入れる」という意味です。 「了承」に尊敬を意味する接頭語の「ご」をつけて相手に敬意を示しています。 「ご了承ください」では一方的に相手に承諾することを強要するようなニュアンスになってしまうため、 「ご了承くださいますよう〜」とすることで丁寧に、かつ柔らかいニュアンスでお願いをすることができます。
例文
「ご迷惑をおかけします」は謝罪・お詫びでも使うことができます。 例えば、固定休以外にお休みをとることになった場合に「ご迷惑をおかけします」と前もって迷惑をかけてしまうことを謝罪・お詫びをすることができます。 しかし、「ご迷惑をおかけします」単体では深い謝罪の意を表明することはできません。 しっかりお詫びをするには「誠に申し訳ございません」などといった謝罪の言葉を付け足す必要があります。 ちなみに「ご迷惑をおかけしました」は過去形なので、すでに起きたことに対して謝罪をする場合に使用する表現です。
例文
などが適切です。 「問題ないです」「大丈夫です」だと少々素っ気ない感じがでてしまいますが、「とんでもございません」「お気になさらないでください」などであれば、印象が柔らかく相手に不快感を与えることもないです。
依頼で使うクッション言葉の類語を紹介します
「手数」は、
を意味しています。 この場合の「手数」は、「ある物事を達成するために必要な労力、動作、手段の数」を意味します。”ある物事”とは自分以外の第三者のために行う物事を指します。 「お手数をおかけします」で相手に手間をとらせてしまうことに対して申し訳ない気持ちを伝えるクッション用語になります。
例文
「不便」は「便利でないこと」「不都合であること」を意味します。 「ご不便」といった場合は、相手にとって都合が悪いこと、不便なことを表しています。 「ご不便をおかけいたしますが〜」という形で、自分のせいで相手にとって支障をきたしてしまったり、具合の良く際に、そのことについて詫びる気持ちを伝えるクッション用語になります。
例文
「面倒」は「手間がかかったり、解決が容易でないためわずらわしいこと」を意味しています。 「ご面倒」と言った場合は、自分が面倒な思いをするというよりも「相手に対して面倒なこと」という意味になります。 「ご面倒をおかけします」は、自分のせいで相手に時間をかけてしまったり、手間をかけさせてしまった際に、そのことについて詫びる気持ちを伝えるクッション用語です。
ご面倒をおかけします
「ご迷惑をおかけします」の英語表現ですが、しっかりと謝罪する時に使うのは「We apologize for the inconvenience.」です。 直訳すると「不便をかけていることに対して私たちは謝罪します」となります。
「Thank you for your cooperation.」などと感謝の意を表明することで「ご迷惑をおかけします」という日本語を英訳することもできます。 「Thank you for」の代わりに、「I appreciate」を使ってもよいでしょう。 「cooperation」の代わりに、「understanding」「support」を使うことも可能です。
「ご迷惑をおかけします」について理解を深めていただけましたか? 最後に簡単に「ご迷惑をおかけします」についてまとめます。