「とんでもない」の意味は「思いがけない」「滅相もない」「もってのほかである」です。ビジネスシーンでは、謙遜の意味や感謝に対する返事で「とんでもございません」と使用することが多いです。今回は「とんでもございません」の正しい使い方を例文付きで紹介します。「とんでもございません」の正しい敬語表現や、言い換え表現なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「とんでもない」の意味は、
の3つになります。 ビジネスシーンでは、「そんなことはない」「滅相もない」という意味で、相手の言葉を強く否定するときに使用することが多いです。 この場合は、相手の言ったことについて謙遜や遠慮することを表現することができます。
「とんでもないです」は、「途(と)でもないです」が変化した言葉であると言われています。 「途」は音読みだと「ズ」「ト」、訓読みだと「みち」と読みます。 「途」は「道筋」「道のり」「方法」「手段」を意味しています。 「道のり」を表す「途」+否定を表す「ない」で成り立ち、「思っても見ない」「道理から外れた」という意味を表す「途でもないです」という言葉が誕生しました。そこから「とんでもない」という変化したそうです。
「とんでもありません」を丁寧な表現にすると「とんでもございません」になります。 「とんでもございません」は「とんでもありません」の「ありません」を「ございません」にしています。「ございません」は、「ある」の丁重語である「ござる」の否定形です。 丁重語は謙譲語の一種で、聞き手に敬意を示す敬語表現なので「とんでもありません」より「とんでもございません」が丁寧であると言えます。 しかし、「とんでもありません」も「とんでもございません」もどちらも文法的に誤った日本語です。 「とんでもない」は「とんでもない」で一つの言葉であり、「とんでも」と「ない」に分けることはできません。そのため、「とんでもない」の「ない」だけを敬語表現にすることは本来できないのです。 慣例的に認められていますが、使わない方がよい表現であると言えます。
「とんでもございません」は、相手の褒めや賞賛の打ち消す時に使用することができます。 例えば、目上の人から褒められたときや、お客様にお礼を言われたときなどに使用します。 「とんでもないです」は、謙遜の意味も含めて、軽く否定するときに相応しい言葉です。
例文
「とんでもございません」は目上の人から感謝された時にも使うことがあります。 この場合は、相手の感謝の言葉を否定するというよりも「感謝されるほどではありません」「感謝していただくなんて滅相もありません」といった意味合いで「とんでもございません」を使います。 しかし、感謝に対して「とんでもないです」と使うことで相手は感謝を拒否されたと感じることもあるようで、多用は控えましょう。 「ありがとう」「手伝ってもらってすまないね」などに対して「とんでもございません」と使うのは良いですが、「お役に立てて嬉しいです」「お手伝い出来てよかったです」なども使うようにしましょう。
例文
目上の人に謝罪をされたときに「とんでもございません」と答える人も多いですが、「とんでもございません」は自分の能力や価値、言動を謙遜する意味で使用されるので謝罪に対する返事としてはふさわしくありません。 目上の人から謝罪された時の返事は「お気になさらないでください」「こちらこそ申し訳ありません」などが適切になります。 ただ全く自分に非がない場合に「こちらこそ申し訳ありません」と言うと不自然であり、皮肉っぽく聞こえてしまうことがありますので注意しましょう。
「とんでもない」は、「とんでもないです」と丁寧語にすることで正しい敬語表現になります。 ただ、「ないです」が口語的な響きが強いです。 「とんでもない」は形容詞なので、他の名詞を修飾する必要があります。そのため「とんでもない」の後に名詞「こと」をつけることによって、形容詞の役割を果たすことができます。 よって「とんでもないことです」とすると書き言葉に適し、かつ口語でもよりかしこまった表現となると言えます。書き言葉では必ず「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」を使用するようにしましょう。
「とんでもないことです」は、「とんでもないこと」に「ある」の丁重語である「ござる」に丁寧語の「ます」をつけた「とんでもないことでございます」にするとより丁寧になります。 目上の人など敬意を示すべき相手に使用する場合は「とんでもないことでございます」を使用するのが望ましいです。
「恐れ入る」は「自分のいたらなさや相手への迷惑を、申し訳なく思う」「恐縮する」という意味の動詞です。 「恐れ入る」は、相手に手間をかけることに関して感謝やへりくだった気持ちを表現する言葉になります。 「恐れ入る」には、自分には勿体無いと思うほど、相手の心遣いをかえって申し訳なく感じる、身の縮むような感謝の思い、というニュアンスが含まれます。 「恐れ入ります」は、目上の人に褒められた時の返事として使うと、「身も縮まるほど遠慮したくなるようなありがたい言葉」「とても恐縮しています」といった気持ちを表すことができます。
例文
「恐縮」と書いて「きょうしゅく」と読みます。 「恐縮」の元々の意味は「身もちぢまるほどに恐れ入ること」です。 「恐縮です」は、相手からの厚意に対する感謝の気持ちを示す時に使う表現です。 「恐縮です」は堅い表現なので、ビジネスシーンなどで目上の人に対して使うのが一般的です。 「思う」の丁重語を使用した「恐縮に存じます」もよく使用されます。 目上の人から褒めてもらった時に、「恐縮に存じます」と言うと、「褒めていただき非常に身もちぢまるほどありがたく思っています」といった意味になります。
例文
「滅相もない」は、「あるべきことではない」「とんでもない」を意味しています。 「滅相」は、もともと仏教用語として使われていました。 「滅相」とは、物事や生物の生まれ変わりを四段階に分けた四相のうちの一つとされています。 物事が出てくることを「生相」、存在し続けることを「住相」、変化することを「異相」、そして消えて無くなることを「滅相」と言います。 「滅相」が尽きてしまうと、亡くなってしまうことから「とんでもない」と使われ、「滅相もない」ということになったと言われています。 「滅相もない」に丁寧語の「です」をつけた「滅相もないです」は、主に相手から褒められたときに、否定を表す場合に使用します。「滅相もないです」を使うことで、謙虚に否定することができるので、相手にも控えめな印象を与えることができます。
例文
「気遣い」の意味は、「あれこれ気をつかうこと」「好ましくないことが起こるのではないかという心配」です。 「気遣い」に尊敬を表す接頭語の「お」をつけて「お気遣い」となります。 「お気遣いありがとうございます」は、相手が自分に対して気を使ってくれたことに感謝を伝えたいときに使う表現で、上司や取引先など目上の人に対しても使用することができます。
例文
「光栄」は、「業績や行動を褒められたり、重要な役目を任されたりして、名誉に思うこと」を意味しています。 「光栄に存じます」の「存じる」は、「思う」の謙譲語になります。 「光栄に存じます」と使うことによってよりかしこまった印象を与えることができます。 「光栄です」は、目上か目下など関係なく、「名誉に思う気持ち」を伝えたいときに使用することができる言葉で、相手から褒められたときに「大変光栄です」「光栄に思います」と謙遜する気持を表現します。
例文
「とんでもない」の英語表現に「nothing of the sort」があります。 「nothing of the sort」とは「その種のことは何もない」という意味です。 「sort」は「種類」を意味します。
"You have a wonderful house." - "Oh, nothing of the sort."
「素晴らしいお宅ですね」「いえ、とんでもございません」
"Can I watch TV?" - "You'll do nothing of the sort!"
「テレビ観ていい?」「とんでもない!(絶対にだめ!)」
「far from it」は「それから程遠い」という意味です。 これも褒められた時に謙遜して使うことができます。
A scholar? Me? Far from it!
私が学者?とんでもございません。
「とんでもございません」について理解を深めていただけたでしょうか? 「とんでもございません」について簡単にまとめると...
など。