「一概には言えない」とは、「細かい区分を無視して、ひっくるめて断定はできない」という意味です。個々の条件・場合を考慮に入れず、どれも同様とみなして総じて扱うことはできないことをいう時に使います。
「一概には言えない」は、「いちがいにはいえない」と読みます。 「一」は音読みで「イチ・イツ」、「概」は音読みで「ガイ」と読みます。 「言」は訓読みで「いう・こと」と読みます。
「一概」は、「一既」と書き間違えられる事が多いです。 「既」という漢字は、音読みで「キ」訓読みで「すでに」と読みます。 「既」の漢字が持つ意味は、「すでに」「尽きる」です。 「概」と「既」は、非常によく似ている漢字ですが、読み方や意味が違うものになります。 「概」を「既」と書いてしまう漢字ミスには注意してください。
「一概」の意味は「細かい違いを無視して判断するさま」です。 個々の条件・場合を考慮に入れないでどれも同様にして扱う様子を「一概」といいます。 例えば、野菜にはピーマンのように苦味の強いものや、トマトのように甘みのあるものまで様々な種類がありますが、そういったそれぞれの特徴を無視して「野菜は苦くてまずい」とひっくるめてしまうことが「一概」です。
「一概」は「一概に(は)〜ない」のように、多くは打ち消しの語を伴って使用されます。 「一概に〜ない」は、「全部が全部そうではない」という意味です。 したがって、「一概には言えない」の意味は「全部が全部そうとは言えない」になります。 「絶対にそうだとは言えないけれど…」というニュアンスで使用されます。
例えばビジネスシーンなどで相手の早合点に対して「絶対にそうとは言い切れないのでは..?」と反論する場面で使用されます。 「一概には言えない」で、相手の意見を完全に否定するわけではなく「でも違う場合もあるのでは?」と意見を述べることができます。 「一概には言えない」の他にも「一概に決められない」「一概に〜する気はない」「一概に悪いとは言えない」といった使い方をすることもあります。
例文
「一概には言えない」は敬語表現ではありません。 上司や取引先相手など敬意を示すべき相手に使用する場合は敬語表現に言い換える必要があります。 「一概には言えない」は「一概には申し上げられない」で敬語表現になります。 「申し上げられない」は、「言う」の謙譲語「申しあげ」に、可能の助動詞「られる」の未然形と打ち消しの助動詞「ない」がついた表現です。 謙譲語は、自分のことをへりくだった表現にすることで相手に敬意を示す敬語表現です。 したがって「一概には申し上げられない」は目上の人に使用することができる丁寧な敬語表現であるといえます。
例文
「一概には言えないが」で、自分の意見を和らげるクッション用語になります。 何か自分の意見を主張する場面で、「絶対にそうだと自分は思います」と言い切ってしまうときつい印象になってしまいます。 「絶対にそうだとは言い切れませんが...」というニュアンスのある「一概には言えないが」が前につけると「他の意見も尊重します」という意思が見られて柔らかくなります。 堅苦しい表現ではありますが、ビジネスシーンで意見を述べるときには良く使用される表現なので覚えておきましょう。
例文
ビジネス文章や小論文などでも「一概には言えない」はよく使われます。 第一段落で「〜という意見があるが、それは一概には言えないのではないか」などと一般論を否定し個人の意見を展開するときによく使われます。 また、今回の検証結果はこうだったけれど、状況によっては変わってくることもあるというような場合に「今回はこのような結果になったが、一概に必ずこの結果になるとは限らない」などといったフォローがなされることも多いです。
例文
「ひとくちに」は、「かいつまんで手短に言うこと」です。 「簡単に言っても」「一括に〜」という意味で使われることが多い表現です。 例えば、「ひとくちに料理といっても様々な種類がある」というように、「ひとくちに〜といっても」といった形で使用されることが多いです。 ちなみに「ひとえに」は全く違う意味なので注意してください。
「ひとくくりに」は、「複数の事や物を一つにしてまとめて扱うこと」です。 全部を一緒にして処理するようなことを「ひとくくりに言っても」「ひとくくりに言うと〜...」というように表現することができます。 例外がある場合など、全部を一緒にして処理することに問題がある場合は「ひとくくりには言えない」となります。
「必ずしも」は、「絶対に〜...というわけでない」という意味です。 「必ず」の意味は、
です。 元々「必ず」は確実性が含まれているので、「絶対にこうである」と言い切れることを表す場合に使います 「必ずしも」は、「必ず」という言葉に、副助詞の「し」、係助詞の「も」という打ち消しの語をともなって「必ず〜というわけではない」という意味になります。
「絶対」は、その物事がどのにょうな条件下であっても必ず成立するという、話しての強い気持ちを表す言葉です。 「絶対に○○だと言える」で、「必ず○○だと言える」という意味になり、「絶対とは言えない」で「必ずそうとは言えない」という意味になります。
「一概」の同義語は「おしなべて」です。 「おしなべて」は「すべて一様に」という意味です。 「全体に渡るさま」を言い表し、同じようなものを一つにまとめて表すときに使います。 細かい違いについて言及せずに、全体を大まかに表したい場合に「おしなべて」を用います。「◯◯はおしなべて△△だ」という形で使います。「◯◯は全体的に△△である」という意味です。
「総じて」は「そうじて」と読みます。 「総じて」は「全体の様子を大雑把に捉えること」を意味します。 細かな点は問題にしないで、全体としてとらえるとそのような結論に達するということを言い表す言葉です。 「総じて」には「例外もいくつかあるが、ほとんどは」というニュアンスで使用されます。
「概ね」は「おおむね」と読みます。 「概ね」は「大体の内容、あらまし」を意味します。 細かい部分には触れず大まかに物事を捉えるという点で「一概」の類語であるといえます。
「一般的に」の意味は「広く全体を取り上げる様子、広く行き渡っていること」 「多くはそうである」ということを伝える場面で使用される言葉です。
「例外なく」は「れいがいなく」と読みます。 「例外なく」の意味は「一般的な例から外れた場合がないこと すべての場合に当てはまること」です。 だいたいはそうであり、例外がない場合に使用される言葉です。
「ご多分に漏れず」は「ごたぶんにもれず」と読みます。 「ご多分に漏れず」の意味は「世間の多くの場合と同じように 例外はなく」という意味です。 「他と同じように〜」ということを伝えたい場合に使用されます。
「普遍的」は「ふへんてき」と読みます。 「普遍的」の意味は「ある範囲におけるすべてのものに当てはまるさま」です。 ただし、”いつの時代でも、どこの国でも、誰でも当てはまる”ということを表したいときに使います。 ですので、身近な数人が何かが共通しているという程度では「普遍的」とは使えないので注意しましょう。
「一概には言えない」は下記のように「not」と副詞を組み合わせて表現可能です。
It is not necessarily true.
必ずしもそうではない。
It is not always true.
いつもそうではない。
You can't categorically say that it is true.
断定的にそうとはいえない。
「It all depends.」は「すべて(状況に)依る」という意味で、「すべてケースバイケースだ」といったニュアンスです。 これも「一概には言えない」という意味で使うことができます。