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敬語「申す」の意味と使い方、類語「申し上げる/おっしゃる」との違い

「申す」という言葉は、「申します」「申し上げます」という形で普段から耳にする言葉だと思いますが、「申す」の敬語表現は「謙譲語1」「謙譲語2」「丁重語」とさらに分類されることをご存知でしょうか。今回は、「申す」の意味と敬語の種類について解説します。また、英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「申す」の意味と敬語の種類

「申す」の読み方は「もうす」

「申す」は、「もうす」と読みます。

「申す」の「言う」の丁重語(謙譲語2)

「申す」は「言う」の丁重語(謙譲語2)です。 「丁重語」(謙譲語2)とは、聞き手に対して自分の行為をへりくだって表現することで、相手を立てる表現です。 「丁重語」は元々は謙譲語として分類されていた表現方法ですが、近年独立して分類されるようになりました。 例えば、「申す」の他にも「丁重語」(謙譲語2)として分類される言葉には 「いたす」・・・する 「参る」・・・行く、来る 「存じる」・・・思う、知ってる 「おる」・・・・いる という言葉があり、どの言葉も自分の行うことをへりくだって言う表現です。

丁寧語「ます」を付けて「〜と申します」の形で使う

「丁重語」は、後ろに「ます」という丁寧語をつけて使用することが基本です。 したがって「申す」を使用する際も、丁寧語「ます」を付けて「〜と申します」という形で使用します。 例えば、「先日も言ったとおり〜」を、「申す」を使用して表現すると「先日も申しましたとおり〜」といったようになります。 また、「〜と言いますが」という場合には「〜と申しますが」という表現になります。

例文 「初めまして、私の名前は高橋と申します」 「弊社の△△が、是非一度お話をしたいと申しております」 「本日より営業部に配属されました××と申します。ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、ご指導のほどよろしくお願いいたします」 「今日からお世話になる△△と申します。何卒よろしくお願いいたします」 「明日、部下の××と申すものがお邪魔いたしますので、よろしくお願いいたします」

「申す」は古語では丁寧語の場合も

「申す」は古語では謙譲語と丁寧語の場合があります。 古語「申す」は「言う」をただ丁寧にいう語としても使われます。 本来、謙譲語とは相手に対して敬意をしめす表現ですが、相手が不在の場合や、物など敬意を示す対象として違和感があるといった場合、または自尊敬語である場合に「丁寧語の謙譲用法」という「丁寧語」と分類して使用されていたと考えられています。 現在でこの用法を使われることはありませんが、歌舞伎などでは今でも使われています。

「申す」の類語との違い(敬語の違い)

「申し上げる」は謙譲語(謙譲語1)

「申す」は、「申し上げる」で謙譲語(謙譲語1)になります。 「謙譲語」(謙譲語1)とは、「相手に向かう自分の行為をへりくだって言うことで、行為の向かう相手に敬意を示す」表現方法です。 具体的に説明すると、上述している通り「申す」の「謙譲語」(謙譲語1)は、「申し上げる」です。 例えば、「返品の理由を申し上げますと」は、自分の「言う」をいう行動をへりくだって「申し上げます」とすることで、「言う」という行為の向かう相手へ敬意を示しています。 一方、「言う」の「丁重語」(謙譲語2)は、「申す」です。 例えば、「主人が、ワイシャツのサイズが合わないと申しますので」は、「主人が自分に言った」ということを「申す」というへりくだった言い方をしています。 これは、聞き手に対して自分の行為をへりくだって表現することで、相手を立てる表現となります。

例文 「祖父に変わり、これまで携わってくださったすべての方々に感謝申し上げます」 「正直に申し上げますと、こちらの予算ではご希望に添えかねます」 「先程申し上げましたとおり、発表は発送をもって変えさせていただきますのでご了承ください」 「この度皆様に多大なるご迷惑をおかけしまったこと、重ねてお詫び申し上げます」 「私からは何も申し上げることができませんのでご理解願いたく存じます」

「おっしゃる」は尊敬語

「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語で、漢字だと「仰る」と書きます。 ”尊敬語”は、相手に対して敬意を表す敬語です。尊敬語は相手の行為など、相手に関わるものごとについて述べるときに用います。主語は相手になるため、自分の行為に対して使うことはできません。 「おっしゃる」は尊敬語なので、「課長のおっしゃることに賛成です」「お客様がこのようにおっしゃいました」といったように相手の「言う」という動作に対して使います。 「おっしゃられる」という表現はよく見かける誤用です。 「られる」は”尊敬の意”を表す助動詞なので、「おっしゃられる」は尊敬語「おっしゃる」+尊敬を表す助動詞「られる」となり二重敬語になります。 「おっしゃられる」はより丁寧な表現にしようとして使いがちですが、間違った表現です。

例文 「お客様のおっしゃる通りでございます。大変申し訳ございません」 「何か気になることがございましたら、気兼ねなくおっしゃってください」 「和食が好きだとおっしゃっていましたので、和食のコース料理にさせていただきました」 「もしかしたら、親御さんは反対意見をおっしゃるかもしれませんね」

「言上(ごんじょう)する」は「申し上げる」よりも敬意の度合いが高い

「言上する」は、「申し上げる」よりも敬意の度合いが高い言葉です。 「言上」は、「ごんじょう」と読みます。 「言上」は「身分の高い人に言う」「申し上げる」ということです。 年齢や位が自分よりも上の人に申し述べることを「言上する」といいます。

例文 「○○様には大変お世話になったのでお礼の言葉を言上した」 「慎重に言上し、なんとか許可を得ることができた」 「どうしても直接お礼を言上したいと足を運んだ」

電話の「もしもし」は「申す申す」が語源

「電話で相手に呼びかけるときに使用する「もしもし」は、「申す申す」という言葉が語源です。 電話が使用されるようになったばかりの頃の話し始めの挨拶は「おいおい」「こらこら」というような言葉で、相手は「はい、ようござんす」と返事をしていました。 しばらくして、「電話」がだんだん普及してくると、相手と相手を繋ぐ中継ぎとして「電話交換手」という職業が誕生しました。 今では電話は直通ですが、昔は現在のコールセンターのような役割を持っている「電話交換手」を一度通して繋げてもらっていました。 電話交換手は繋いでいる相手に失礼のないよう「申し上げます」という意味で「もしもし」と言っていました。これが始まりとされています。 明治時代以前は「もし」と使われていましたが、だんだん電話が普及するにつれからは、電話の音が聞き取りづらいということもあって、電話交換手が「申し、申し」「申します、申します」と二度送り返すようになりました。 「申し、申し」は「これから話し始めます」ということを表す表現になります。 「申します、申します」または「申す、申す」と言っていたのが、省略されて「もしもし」に変化しました。

「申す」の英語

「I'm ◯◯.」「My name is ◯◯.」など

「言う」の英語は「say」ですが、「〜と申します」の英語は「say」は使いません。 自己紹介で「◯◯と申します」は「I'm ◯◯.」「My name is ◯◯.」になります。 英語で自己紹介するときは、下の名前のみ、またはフルネームで言うのが基本です。日本語のように苗字だけいうことはしませんので注意してください。

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まとめ

「申す」という言葉について理解していただけましたか? ✓「申す」の読み方は「もうす」 ✓「申す」は「言う」の丁重語(謙譲語2)表現 ✓丁寧語「ます」を付けて「〜と申します」の形で使用する ✓「申し上げる」は「言う」の謙譲語(謙譲語1) ✓「おっしゃる」は「言う」の尊敬語 など

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