「持っていく」の敬語表現を正しく使用することができていますか?今回は「持っていく」の尊敬語、謙譲語、丁寧語をそれぞれ例文付きで紹介します。また、「持っていく」の類語・言い換え表現も合わせて紹介しますので是非参考にしてください。
「持っていく」は「もっていく」と読みます。 「持っていく」の意味は「手に携えていく」という意味です。 何かを身につけて出かけたり、持ち運ぶことを「持っていく」といいます。
「持っていく」を「持って行く」と漢字で表記することもできます。 ただし、「持って行く」と漢字で表記できるのは「持って異動をする」という場合です。 例えば、「旅行にカメラを持って行く」というときです。 この場合は、「持って」+「行く」という動詞で使用しているので漢字で表記することが可能です。 「持っていく」の「いく」を補助動詞で使用する場合は平仮名で表記します。 例えば、「あのときの感情を忘れずに持っていく」といった使い方です。 この場合は、「行く」という動詞で使用しているわけではなく、補助動詞で使用しているため「持っていく」が正しい表記になります。
「お持ちになる」は、「持つ」の尊敬語です。 尊敬語は、相手や相手側の人物または話題の中の人物の動作・状態・ものごとを高めて表現することで相手に敬意を示す敬語表現です。 尊敬を表す接頭語の「お」をつけて、「お○○になる」の形で使用されることが多いです。 したがって、相手の「持つ」という行為を高めて表現している「お持ちになる」が「持っていく」の尊敬語であるといえます。 尊敬語であるため、自分が「持っていく」ということにたいして「お持ちになる」を使用することはできません。
「持っていかれる」も「持っていく」の尊敬語です。 「持っていく」に助動詞の「れる」をつけています。 助動詞の「れる」には
の四つの意味があります。 この場合の「れる」は尊敬です。 「持っていかれる」で目上の人の「持っていく」という行為を高めて言う表現になります。
「お持ちする」は、「持っていく」の謙譲語です。 「お持ちする」は、「持つ」に接頭語の「お」をつけています。 接頭語の「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 自分が「持つ」という場合の接頭語の「お」は謙譲語です。 謙譲語は、自分の行為をへりくだった表現にすることで相手に敬意を示す敬語表現です。 「お持ちする」で、「持っていく」ということを相手に敬意を示して伝えることができます。
「持って参る」も「持っていく」の謙譲語です。 「持って参る」は、「持っていく」の「いく」を丁重語にした敬語表現です。 「丁重語」とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「電車が参ります」の「参ります」は、電車へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している丁重語です。 丁重語は、自分をへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語の一種で「謙譲語Ⅱ」とも言われます。
「持っていきます」の丁寧語は「持っていきます」です。 「持っていく」に丁寧語の「ます」をつけた丁寧語です。 丁寧語は、「です」や「ます」を文末につけることで文章全体を丁寧にすることができます。 ただし、尊敬語や謙譲語とは違って相手に敬意を示すことはできません。 上司や取引先相手など敬意を示すべき相手に使用する場合は、尊敬語や謙譲語を使用しましょう。
「お持ちになられる」は、二重敬語で誤用なので注意しましょう。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を二つ以上重ねて使用してしまうことをいいます。 「お持ちになられる」は、「持つ」に尊敬を表す接頭語の「お」と、「なる」の尊敬語の「なられる」を使用しています。したがって、「持つ」に対して尊敬語を二回重ねて使用してしまっているため二重敬語で誤用であるといえます。 また、尊敬語と謙譲語を組み合わせてしまうのも誤用なので注意しましょう。 例えば「お持ちしていただく」などです。
「持っていく」は、ビジネスメールで使用することができます。 ビジネスシーンでは、目上の人や取引先の相手などに、必要な書類など何かを「持って行きますよ」と事前に伝えたり、「○○を持ってきてください」とお願いをすることがよくあります。 相手に持ってきてもらうときは「お持ちになる」など尊敬語を使用し、自分が持っていくことを伝えるときは「お持ちする」など謙譲語を使用します。 何かを持ってきてほしいとお願いをするときは、「~をお持ちいただきますよう、お願い申し上げます」といった言い方をするとより丁寧で印象がいいです。
例文
ビジネスメールだけではなく、口語でも使用されます。 電話などで、持ち物の確認をする場面や「持っていきます」と伝えるときです。 口語の場合、「お持ちください」や「お持ちしますね」といったカジュアルな言い方をすることが多いです。 ただし、目上の人に対して使用する場合は口語であっても丁寧な敬語表現を心がけましょう。
例文
「持参する」は「じさんする」と読みます。 「持参」の意味は「持っていくこと」または「持ってくること」です。 「参」という漢字には、自分をへりくだり相手に敬意(謙譲)を示す意味があります。 しかし、「持参」という言葉自体は謙譲語ではありません。 「持参」は、ただ「持っていく」ということを丁寧に言った語です。 したがって、尊敬語の「ご」を使い、他人の行為に対して「ご持参ください」などと言うこともできます。
例文
「持っていく」は、「用意する」「用意してもらう」に言い換えることができます。 「用意」とは、「物事を行う前に、前もって必要な条件を整えておくこと」という意味で、「準備をしておく」意味のある言葉です。 例えば「当日は筆記用具をご用意ください」と言われたら、「筆記用具を持ってきてください」という意味になります。
例文
「届ける」は、「物を持っていき、相手に渡すこと」です。 「書類をお持ちします」でも「書類をお届けします」でも意味は同じです。 ただ、「届けていただく」など謙譲語にすることはできても「お届けなさる」など尊敬語にすることはできないので注意してください。 また、「届ける」では郵送で「送る」という方法もあるので、実際に自分の手で持って行って渡すのであれば「お持ちする」のほうがよいでしょう。
例文