「ご用意」は、相手に敬意を示して「用意をします」という場合や、相手に「用意をしてほしい」とお願いをする場面で使用する言葉ですが、「ご用意」という言葉の正しい使い方をご存知でしょうか。今回は、「ご用意」の意味と正しい使い方を例文付きで紹介します!また、英語表現も紹介しますので、是非参考にしてください。
「ご用意」は、「用意」という言葉に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「用意」の意味は「物事を行う前に、前もって必要な者や条件を整えておくこと」です。 接頭語の「ご」がついているので、目上の相手に用意をすることをお願いする場面や、自分が用意をすることを相手に敬意を示しながら伝えることができる表現となっています。
「用意」についている接頭語の「ご」は、「御用意」と漢字で表記することも可能です。 「ご」と「御」に関しては、特にこれといった決まりはありません。したがって、どちらを使用しても間違いではないということです。 ただ、公用文に関しては、後ろに続く言葉が漢字である場合は漢字で「御」と表記し、後ろに続く言葉が平仮名である場合は「ご」と平仮名で表記するという決まりがあります。 それ以外の文章では、基本的に「ご用意」というように平仮名で表記されることがほとんどです。 接頭語の「御」を漢字で表記しすると、堅苦しく、かしこまった印象になるため、改まった文章などでは「御用意」と表記するのがいいでしょう。
ビジネスシーンではお客様や取引先に用意をお願い・依頼する場面が多々あります。 「貴社にてご用意ください」「お釣りのないようにご用意ください」などと使いますよね。 「ご用意」という言葉でお願いする際は、相手に失礼がないように注意を払う必要があります。 「ご用意」の依頼表現の正しい敬語を解説していきます。
「ご用意」の頭についている「ご」は接頭語です。 接頭語の「ご」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなりえます。 簡単に説明すると、 相手の行動に「ご(お)」をつけて、「ご(お)〜する」の場合は「尊敬語」 相手に敬意をしめすために自分の行為をへりくだった表現にしている場合の「ご(お)〜する」は「謙譲語」 「ごゆっくり」「ごもっとも」というように丁寧な事言葉使いをすることで、話し相手に敬意をしめしている場合は「丁寧語」となります。
「ご用意してください」は誤った敬語表現です。 「ご用意してください」が間違った表現である理由は、「ご〜する」という表現が謙譲語であるということです。 謙譲語は、自分の行動をへりくだって表現することで相手に敬意をしめす表現であるため、相手の動作に対して使用することはできません。 「ご〜する」という謙譲語を使用する場合は「ご用意いたします」というように、自分の動作に対して使用する場合になります。 したがって、「用意をしてほしい」と相手にお願いをする場面は「用意」をするのは相手なので、「ご〜する」という謙譲語の表現を使用することは誤りとなります。注意しましょう。
「用意をしてほしい」と相手にお願いをする場面では、「ご用意ください」が正しい敬語表現となります。 この場合の「用意」についている接頭語の「ご」は、尊敬語で「ご〜ください」で相手に「用意をしてほしい」とお願いをする表現になります。 上述したように、自分にが用意をする場合につく接頭語の「ご」は「謙譲語」となりますが、「相手が用意をする」という場合の相手の行動につく接頭語は「尊敬語」となります。
「ご用意ください」が正しい敬語表現であるということを説明しましたが、「ご用意願います」だとより丁寧な敬語になります。 「ご用意願います」は、「用意」に接頭語の「ご」、さらに「願う」に丁寧語の「ます」をつけた表現で、「願う」は、「〜してほしい」と相手に依頼・希望を伝える表現です。
「ご用意いただけますでしょうか」という表現は、二重敬語となります。 「ご用意いただく」までは、謙譲語ですが、「ますでしょうか」は、「ます」「でしょう」は両方とも丁寧語であるため、二重敬語となってしまいます。 「いただけますでしょうか」は慣習的には結構使われているので、使用してもそこまで相手に違和感を与えることはありませんが、二重敬語は正しい日本語ではないので、使用を避けるようにしましょう。本来、二重敬語は目上の人に対しても失礼にあたります。 上記でも紹介した通り、「ご用意いただけますか」と使うのが正しいです。
「ご用意していただけないでしょか」は、「〜してもらえないだろうか」という意味の謙譲語です。 「いただけない」は「もらえない」の謙譲語であり、「でしょうか?」は「だろうか」は丁寧語にあたります。 したがって、「ご用意していただけないでしょうか」は二重敬語ではないと言えるため、正しい敬語表現であるということがわかります。
「ご用意いただけますか」は正しい敬語です。 「ご用意いただく」は「(自分が)用意をしてもらう」という意味です。「ご〜いただく」の形で謙譲語となります。 よって、「ご用意いただけますか」は「(私めのために)用意してもらえますか」という謙譲表現の疑問形になります。
「ご用意いたします」は、「ご(お)〜いたす」という謙譲語の形を使用した表現で、目上の人に使用することができます 「いたす」は「する」の謙譲語で、「します」という「する」の丁寧語を使用した表現である「ご用意します」よりも丁寧な表現になります。
「させていただく」は、使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っていて、「相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらすること」を意味します。 つまり、「ご用意させていただきます」は、「図々しくて申し訳ないが、相手が許可してくれたから用意する」という意味合いで謙虚さがある丁寧な表現となります。
「ご用意していただき、ありがとうございます」などと使う「ご用意していただき〜」は、尊敬語+謙譲語です。 「していただく」は「してもらう」の謙譲語です。 この文章の場合、「用意」するのは目上の相手なので、「ご」は尊敬語になります。
「ご用意しております」は、「ご用意」に、「いる」の丁重語の「おる」に丁寧語の「ます」をつけた言葉です。 「丁重語」は、謙譲語の一種で自分自身の行為や言動を、相手に対して丁寧にのべる為に使用する言葉のことをいいます。 自分のことをへりくだって表現することで、相手をたてている敬語表現であるため、相手の行動に対して使用することはできません。
「ご用意ありがとうございます」「ご用意いただきありがとうございます」は、自分のために相手に何かを用意してくれたという状況で、感謝の気持ちを伝えるときに使用する言い回しです。 「〜いただきありがとうございます」は、「〜してもらう」の謙譲語を使用しているため、相手に敬意を示すことができ、「ご用意ありがとうございます」より丁寧な表現になります。
例文
「ご用意がございません」は、「用意」に接頭語がついた「ご用意」に、「あります」という丁寧語の打ち消しの表現である「ございません」をつけた表現です。 「ありません」の打ち消しであるため、意味は「用意がない」ということになります。 店舗などで在庫の有無を問われた場合などに、「ありません」と返事をするといった場面で使用することができます。
例文
「ご用意が整いました」は、「用意ができました」という意味で使用される言い回しです。 この場合の「整いました」は、「きちんとした状態になる」「必要なものがそろう」という意味で使用されています。
例文
「ご用意いたしましょうか」は、「いたす」という「する」の謙譲語を使用した表現です。 謙譲語なので、自分の行動に対して使用している言葉で、「用意をするべきか」とお伺いを立てる場合にのみ用います。 つまり、「ご用意しましょうか?」と相手に訪ねる表現であるというこがわかります。
例文
「ご準備」は、「準備」という言葉に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「準備」は、「物事をする前に、あらかじめ必要なものを揃えたり態勢を整えて用意をすること」です。 「ご準備」と「ご用意」は、前もって必要なものを揃えておくという意では同義語になります。 しかし、「心の準備をする」と表現をすることはあっても、「心の用意をする」とは言いませんよね。 このように、「雨具を用意する」というように前もってその時に必要なものを揃えることに重点がある「用意」と違い、「準備」には、環境や態勢といった幅広いことまで含まれます。 また、「来月行われる文化祭の準備に追われている」というように、比較的長期にわたる計画などに対して使用されるのが「準備」という言葉です。
例文
「お支度」は、「支度」という言葉に接頭語の「お」をつけた言葉です。 「支」は物事を実施する前に必要なものを揃える場合、出掛ける前に身だしなみを整える場合に使います。 学校や仕事、遊びに行くときは持ち物を確認したり、髪型を整えてから外に出ますよね。そうした行動を「支度/仕度」と言います。 例えば、「学校に行く支度を手短に済ませる」「旅行の支度のため買い出しに行く」といったように使えます。
例文
「下拵え」は、「したごしらえ」読みます。 「下拵え」の意味は「あらかじめ準備しておくこと」です。 お料理をする前に、材料をあらかじめ切っておくというような下準備をしておくことを「下拵え」というため、お料理をする場面で使用する言葉のように感じられますが、料理以外の準備に対しても使用することが可能です。
例文
「〜を用意する」を表す動詞は「prepare」です。 「pepare」を他動詞として使う場合「prepare __ for ... 」の形で「...のために__を準備する」となります。 「prepare」を自動詞として使う場合は「prepare for...」で「...のために準備する = ...の準備をする」となります。 「prepare」の名詞形は「preparation」です。 「make preparations for...」で「...の用意をする」という意味になります。
Please prepare the money before you come over here.
こちらにいらっしゃる前にお金のご用意をお願いします。
You should be prepared for the worst.
いざという時の用意をしておいた方がよい。
「prepare」の類語に「arrange」があります。 「arrange」は「〜を手配する」と和訳されることが多いです。 ビジネスシーンで段取りをしたり、手はずを整える時に使用されます。 「arrange」も「prepare」と同じく、自動詞・他動詞どちらでも使います。他動詞の場合は前置詞「for」を使います。
I will arrange for transportation.
車のご用意いたします。
「arrange」の類語には、
などもあります。
I've set the table for dinner.
お夕食のご用意ができました。
「用意ができている」という状態を表す形容詞に「ready」があります。 「get ready」で「準備する」という動詞になります。 「get ready for...」で「...の準備をする」という意味になります。
Dinner is ready for you.
お夕食のご用意ができています。
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