「方々」という言葉をご存知でしょうか。日常会話でもビジネスシーンでも使う表現ですが、実は「方々」には3つの意味があります。特に意識することなく使っているという方も多いかと思います。しかし、それぞれ異なるので、意味に合わせてしっかりと使い分ける必要があります。また、「皆様・皆様方」という言葉がありますが、これも正しく使い分けなくてはいけません。そこで今回は「方々」の意味と使い方、類語、読み方「皆様・方達」との違いについて解説していきます。「方々」を適切に覚えて、上手く使えるようにしましょう!
「方々」はかたがたと読みます。 「方方」「旁」と書くこともできますが、一般的には「方々」と表記することが多いです。
「方々」の意味は「人々の敬意を含んだ言い方」です。 尊敬の意が含まれた二人称となります。 「人々」という場面で敬意を含みたい場合に「方々」を使います。 ビジネスシーンやかしこまった席で用いられます。
複数の人々を敬っていう語なので、主に「◯◯の方々」という形で使います。 「方々」と単体で使うのではなく、修飾する語句を伴って使う必要があります。 複数の人を指すことが多いですが、一人に対して使うこともあります。 また尊敬の意を含んでいる人代名詞なので、身内に対しては使いません。 「弊社の◯◯担当部の方々です」などは間違いです。 他にも、「任務を終えた方々が帰る」といったように一般的な人々を表す場合も使わないので注意しましょう。 「方々」は口語的に使うことが多いですが、やや堅い表現となります。
例文
「方々」・・・単体では使えず、修飾する語句を伴う 「皆様」・・・単体で使うことができる 「皆様方」・・・「皆様」をさらに丁寧にした言い方
「皆様」は「すべての人々を敬っていう語」です。 「方々」と違い、修飾語句を伴うことなく「皆様」と単体で使うことができます。 ただ、「遠方からお越しの皆様」「当店へお越しの皆様」などと修飾語を付けて使うこともあります。 「皆様」は呼びかけることを表しているので、具体的な複数の人を指したい場合は「お越しの方々」とするよりも「お越しの皆様」と言う方が自然な表現となります。 さらに「皆様方」はその「皆様」を丁寧にした表現となります。 敬意が強調されるので、目上の相手に感謝を示すときは「皆様」ではなく「皆様方」とするのが良いでしょう。
例文
「方達」は「人たち、人々」という意味です。「お越しの方達」「お持ちの方達」などと使います。 「達」という言葉は「方」と違い、敬意は含まれません。 日常会話でも、目上の人に向かって「先生方」「先輩方」とは使いますが、「先生達」「先輩達」とはあまり使いません。 「方々」と「方達」はどちらも「人々」という意味になりますが、「方々」の方が敬意が高い表現となります。
人々 (意味:多くの人。また、おのおのの人) 「人々によろしくお伝えください」 ご一同 (意味:居合わせた者全部) 「◯◯スタッフご一同に連絡いたします」 あなた方 (意味:むこう方。相手方) 「あなた方はどちらからお越しで?」 お宅ら (意味:ほぼ対等のあまり親しくない相手に軽い敬意をもっていう語) 「お宅らはどうお考えですか」 諸君 (意味:多数の人を指す語。皆さん) 「諸君によろしく言っておいて」 ご一統 (意味:一同。みなみな) 「ご一統揃っています」
「忌み言葉」の中には「重ね言葉」が含まれ「方々」も当てはまります。 他にも「重ね重ね」「ますます」「度々」「くれぐれも」「繰り返し」などがあります。 「忌み言葉」とは、不吉な意味や連想をもつところから、忌みはばかって使用を避けるべき語です。 結婚式などお祝いの場での「忌み言葉」はNGですので「方々」は避けるようにしましょう。 「いらしてくださった方々」だったら「いらしてくださった皆様」、「お世話になった方々」だったら「お世話になった方」などと言い換えるように意識します。
「方々」はかたがたと読みます。 漢字では「方方」「旁」と表記することができます。「旁」は「かたがた。ついでに」と読みます。 「方々」と書く以外に、「旁」と表記することも多いです。
「方々」の2つ目の意味は「二つ以上の事実や状態が併存していること」を表します。
一つのことをするついでに他のことをするという場合に「方々」を使います。 「〜を兼ねて」「〜がてら」「〜のついでに」「〜を兼ねて」と言い換えることができます。 ビジネスシーンにおいては、感謝の気持ちと別に他に伝えたいことがある場合に使うことが多いです。 ビジネスメールや手紙などにおいてよく使われます。 例えば、「お礼方々ご連絡まで」「お礼方々お伺いいたします」などと使い、「お礼を兼ねて連絡します」「お礼のついでに伺います」という意味になりますす。
例文
ついで (意味:よいおり。機会。あることを併せてするとよい機会) 「散歩のついでに買い物を済ませる」 がてら (意味:一つのことをするついでに他のことをする) 「ジョギングがてらコンビニに寄る」 傍ら<かたわら> (意味:あることをする一方。その一方では) 「会社勤めの傍らで小説を書く」 おまけに (意味:その上に。さらに加えて) 「わがままでおまけに暴力を振るってくる」 一方で (意味:ところでもう一つの側では。別の面からみると) 「一方で君とは違った見方もある」 同時に (意味:同じ時に。同じ時間に) 「彼が初めた頃、同時に別の企画も行われていた」 道すがらに (意味:道を通りながら。あるきながら。みちみち) 「歩く道すがら彼の愚痴を聞いた」
「方々」はほうぼうと読みます。 「方方」と表記することもあります。 ただ、「方々」と漢字で書くよりも、「ほうぼう」とひらがなで表記することが多いです。
「方々」はいろいろな方角や場所を表したり、いろいろなところへ向かう様子を表します。 「あちこち」や「所々」などと言い換えることができますが、「方々」は改まった表現となります。
「方々」はあるところを基準として、その場所からさまざまなところという意味です。 「方々旅行する」「方々から知らせを集める」「方々を探す」などと使います。 「方々」は丁寧な言葉なので、目上の人に対して使うことができます。ただ、「方々」はやや古い言葉で意味が通じない場合もあるので、状況や相手によって使用するか判断するようにしましょう。
あちこち (意味:あちらとこちら。あちらこちら) 「父は出張であちこち出掛けている」 諸所 (意味:さまざまな場所。あちこち) 「諸所、どこかへ行くことが趣味だ」 各地 (意味:それぞれの土地。ここかしこ) 「各地を巡ってみる」 隅々<すみずみ> (意味:方々の隅。ここかしこの隅。あらゆる方面) 「全国隅々に情報は知れ渡っている」 所々 (意味:あちらこちら。それぞれの場所) 「所々に未だ雪が残っている」 随所 (意味:いたるところ。どこにも) 「町の随所にポスターを貼る」 四方八方 (意味:あちらこちら。あらゆる方面) 「消えた猫を四方八方探す」
「ホウボウ」という名前の魚がいます。漢字では「竹麦魚」と表記し、カサゴの仲間で、美味しいことで人気があります。 3本の胸びれを使って、海底を方々(ほうぼう)に舞うように歩き回る様子から「ホウボウ」と名付けられました。 ただ、「ホウボウ」の名付けについては他にも様々な説があります。 這い這い(ハイハイ)するように歩き回ることから、「這い這い」が転じて「ホウボウ」となったという説や「ボーボー」と鳴く様子から「ホウボウ」と名付けられた説。 このように、どの説が正しいかは分かっていませんが、「方々」が由来の説もあるということです。
「方々」の英語表現を見ていきましょう。 「人々」という意味の「方々」は、英語で「people」になります。 「あちらこちら」という意味の「方々」は、英語で「everywhere」「all over」になります。
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「方々」について理解できたでしょうか? ✔︎「方々」には3つの意味がある ✔︎「方々」は「人々の敬意を含んだ言い方。二つ以上の事実や状態が併存していること。あちこちの場所や方角」という意味 ✔︎「方々」と「皆様」はほぼ同じ意味だが、「方々」はやや堅い表現なので「皆様」の方が柔らかい印象をもたらす ✔︎「方々」は重ね言葉なので、結婚式などお祝いの場面ではNG