「言い訳」という日常会話で頻繁に使用する言葉の正しい意味は理解していますか?答えられそうで答えられない「言い訳」の意味と使い方、類語を例文つきで解説していきます。
「言い訳」の読み方は「いいわけ」です。 「言」は訓読みで「いう・こと」、「訳」は訓読みで「わけ」と読みます。 「言い訳」の意味は「物事の筋道を説明することで自分の正当性を主張すること」です。 元々は「物事を筋道立てて説明する」という意味でしたが、転じて、自分の過失や失敗に対して事情を説明することで自己の正当化を主張し、「そうならざるを得なかった」と相手を納得させようとすることを「言い訳」というようになりました。 「言い訳」は、「寝坊をしてしまったのは、友人が夜遅くに電話をかけてきたせいだ」というように、ミスや過ちを犯したことを口実を作って責任を逃れようとする場合に使います。 「言い訳をする」「言い訳をした」といった話し言葉として使うことが多いです。
例文
「理由」の意味は「物事がそうなるに至った事情」です。 「理」には「ことわり・物事のすじみち」という意味があります。 「由」には「よりどころ・いわれ・わけ」という意味があります。 例えば「電車が遅延しているため、予定より10分遅れて到着します」というように、物事がそうなる経緯や根拠を「理由」といいます。 「理由」は自分の過失を正当化するのではなく、あくまでも何が元になってその事柄が起きたのかを説明することであるという点で「言い訳」とは異なります。 しかし、自分にとっては「理由」であっても受取り手にとっては「言い訳」になるということはよくあります。「電車が遅延したから遅刻した」という理由であっても「何が起きても良いように余裕をもって行動するべきだ」と考える人にとっては「言い訳」と捉えられてしまいます。
例文
「口実」は「こうじつ」と読みます。 「口」は音読みで「コウ・ク」と読み、「くち」「口に出す・言葉・言う」という意味があります。 「実」は音読みで「ジツ」と読み、「み・くだもの」「みのる」「みちる」「まこと」「ほんとう」「まごころ」という意味があります。 「口実」の意味は、「言い逃れや言いがかりの材料」です。 元々漢語では「口実」は「口の中が充ちる」という意味でした。 そこから、中身のない言葉に無理やり実を込めようとするという意味に転じて、何かをするための言い掛かりの材料という意味で使用されるようになったと言われています。 「言い訳」は、自分を正当化する行為そのものを指す言葉です。 「口実」は、正しくないことを正しいと思わせる材料です。 例えば、「風邪をひいて寝込んでしまったので、昨日宿題をすることができませんでした」というように、宿題ができなかったことを説明する行為が「言い訳」です。 そして、「風邪をひいて寝込んでしまった」というのが、相手を納得させるための「口実」になります。 また、「言い訳」は何か失敗が起きたときに自分を正当化することです。 そのため、「言い訳」は「口実」より限定的な使われ方をします。 「口実」は、自分の失敗を正当化することはもちろん、相手を納得させるために嘘やごまかしも含まれるので、「言い訳」よりも対象が広いといえます。
例文
「弁明」は「べんめい」と読みます。 「弁」は音読みで「ベン」と読み、「理屈を立てながら話すこと」を意味します。 「明」は音読みで「メイ・ミョウ」と読み、「おおやけにすること」を意味します 「弁明」の意味は、
です。 「弁明」には2つ意味がありますが、主に1つめの意味で使います。 相手から非難された場合に、その誤解を解くよう自分の言動や事情を説明することを表します。 「弁明」は「言い訳をする」のように「責任転嫁」や「言い逃れする」というニュアンスが含まれず、ただ本当のことを話すことを指します。
例文
「弁解」は「べんかい」と読みます。 「弁」は音読みで「ベン」と読み、「理屈を立てながら話すこと」を意味します。 「解」は音読みで「カイ・ゲ」と読み、物事を解き明かすこと」を意味します。 「弁解」の意味は「自身のミスや過ちを正当化するために言い開きすること」です。 自分を正当化するために、何か言い逃れをしたり事情を説明したりすることを表します。 つまり、「言い訳」と「弁解」は同義です。 よく使われる表現は「弁解の余地はない」です。 「言い逃れすることができないので、非難を全部受け入れる」という意味となります。 「自分が悪かった。自身の非を認める」という意味合いになるため、謝罪の気持ちを伝える表現として使うことができます。
例文
「釈明」は「しゃくめい」と読みます。 「釈」は音読みで「シャク」と読み、「分かりにくい事柄や物事を解いて述べること」を意味します。 「明」は音読みで「メイ・ミョウ」と読み、「おおやけにすること」を意味します。 「釈明」の意味は「相手の誤解や非難に対して、理解を求めるよう事情を説明すること」です。 誤解や非難などを無くすために、淡々と客観的に事情を述べることで相手の理解を得ることを表します。 非難をされたりした場合に、自分の立場を理解してもらうために筋道を立てて説明をすることを「釈明」と言います。
例文
言い訳をする人の多くは、プライドがとても高いです。 プライドが高いからこそ、自分の過失を認めることができずに「これは○○のせいで...」と言い訳をしてしまうのでしょう。 プライドが高いから、「ミスをしてしまった」「自分が間違っていた」ということに対して「恥ずかしい」と感じてしまったり、「自分がこんなミスをするなんて...」と悔しさが襲ってきます。 だから素直に自分の過失を認めることができず、なんとか自分に非がないようにできないかと頭をフル回転させて言い訳をするのです。
言い訳をする人は、自分の過失を認めてしまうことで「自分の評価が下がるのではないか」ということを恐れています。 ビジネスでも何でもミスをしてしまうと、信用を失いますよね。 ミスがあるような人には仕事は任せられないですし、たった一回のミスでチャンスを失うことだってあるでしょう。 言い訳をする人はとにかく自分を評価を守ることに必死なので、責任転嫁をしてその場をなんとか逃れようとしてしまうのです。 しかし、ミスをしてしまった時にもっと信用を失うのは言い訳をして責任転嫁をしたり、自分のミスをごまかすこと。潔くミスを認めて謝罪をし、今後同じミスをしないように務めることで信用を回復することができます。むしろ、真摯に対応することができるほうが信頼は厚くなりますよね。 言い訳をする人は、結局自分で自分の首を締めているのです。
「怒られるのが好き」という人は勿論いないと思いますが...。 言い訳をする人は「怒られる」ということに対しての恐怖心が人一倍強いことも多いです。 「怒られたくない」と強く思う原因には、例えば幼少期に怒鳴り声を聞きすぎたことで怒っている人に対して警戒心が強くなってしまったなど、様々な原因が考えらます。 敏感な人は、相手が声を荒らげなくても声のトーンや口調、表情で「怒ってるな」とわかります。 その怒っている人を目の前にしたときのピリっとした空気感が怖かったり、緊張してしまうのです。 「怒られたくない」という気持ちが強いと、どうしても言い訳をしてその場を逃れようとしてしまうのです。
「人に嫌われたくない」という気持ちから、言い訳をしてしまう人もいます。 例えば、「寝坊をして待ち合わせ時間に遅れてしまう」という状況のときに「寝坊をした」と正直に言ったら嫌われてしまうのではないか...と考えてしまうのです。 平然と「ごめん寝坊したー」と言える人もいますが、もちろん寝坊で遅刻を繰り返す人は信用できないですし、「だらしない人なんだな」という悪い印象をうけてしまいますよね。 言い訳をする人って、変に真面目なところがあって「ダメな部分を見せれば幻滅される」「人間関係が上手く築けないのではないか」と考えてしまうのでしょう。 だから、「寝坊をした」と言うよりも「電車が遅延してた」とか言いたくなってしまうのです。
ミスをしてしまったり、自分に過失があると怒られたり非難をあびることになることもあります。 そういった場面で、傷つきやすいからこそ自分を守る意味で言い訳をしてしまう人もいます。 怒られたり非難されることで、自分のプライドが傷ついて自分自身を「みっともない」と思うなど、惨めに感じてしまうことで精神的に病んでいってしまうため、そういった状況を何とか回避しようとして言い訳をしてしまうのです。 こういったタイプの人は、その場はなんとか言い訳をして逃れることができても結局「言い訳なんてしてみっともない...」と自己嫌悪に陥っていることも少なくないでしょう。
中にはまったく責任感がなく、開き直っている人もいるでしょう。 いつでも周りの人が何とかしてくれているなど、他力本願でも何とかなってきてしまった人の多くは責任感がないため言い訳をする傾向があります。 責任感があれば、自分のミスは必ずしっかりと受け止めまずは謝罪をします。 それができないのは、責任感がないからです。 こういったタイプは完全に開きなおっているので、自分を正当化するために訳のわからない嘘を平気でついたりしますし、罪を人になすりつけるようなこともします。 一番たちが悪いタイプだと言えるでしょう。 周りの人も諦めて「絶対嘘」「ただの言い訳だ」とわかりきっていても「そうなんだね、はいはい」と聞いてその場を丸く収めようとしますが、間違いなく内心では人間性を疑っています。
そもそも自分の非を自分自身が認められないという人もいます。 「絶対に悪いのは自分じゃない」と本気で思っているのです。 なので、「言い訳をしている」という意識すらなかったりもします。 本人にとっては、「事実を述べているだけ」という感覚なのです。 特に虚言癖があったりする人は、自分の中でも事実をねじ曲げてしまうことがよくあります。 パニックになってしまった結果、自分の都合の良いように全てを解釈して「○○のせいでこうなった」と本気で思い込んでしまうのです。
言い訳を初める前に、まずは自分の非を認め謝罪をすることからはじめましょう。 相手の気持ちを汲むことが何より大切なことです。 相手は、理由はどうであれとにかく「謝罪をしてほしい」と思っているのではないでしょうか。 たとえ正当な理由があったとしても、腹を立てていたり不信感を抱いていることにはかわりがないので謝罪の気持ちを伝えることを優先させること。これが、うまい言い訳をする方法の1つ目です。 相手が怒っていたり、不信感を抱いている状態だといくら上手い言い訳をしても、聞く耳すらもってもらえないなんてことがおきてしまいます。
言い訳をするときに「○○さんが〜」と人のせいにするような言い方をするのが、一番信用を失いますし、それが本当のことであっても責任転嫁しているようにしか聞こえません。 なので、極力どんな事情であれ人のせいにしないことをオススメします。 もし「部下の伝え忘れ」など、自分以外の人に過失があった場合は、その事実を述べた上で「しかし、私自身にも自ら確認をしなかったということに落ち度があります」などと言って、自分に責任があるという旨を伝えましょう。 「部下の伝え忘れ」のみにしてしまうと言い訳っぽすぎますし、責任感がないように思えてしまいます。言い訳をするときは「人のせいにしない」ということを念頭に置いてください。
言い訳をするときに、ついついわかりやすすぎる嘘をついてしまう人がいます。 「親戚が亡くなった」など、あまりにも使いすぎると「この前も誰か亡くなってなかった...?」となってしまったり、「叔父は去年亡くなったはずでは...?」など自分でも把握しきれなくなって混乱してしまいます。 こういったわかりやすい言い訳は、「嘘だな」「言い訳しているんだな」と簡単に見破られます。 そして信用を失います。 基本的に、ありもしない嘘をついて言い訳をしようとするのはやめたほうが良いでしょう。 冗談が通じる友人などであれば、たまには「宇宙人に襲われた」などユーモアある言い訳をするのも良いかもしれませんが...。 成人をしているいい大人がビジネスシーンで明らかに嘘とわかる言い訳をするのは好ましくありません。
うまい言い訳をするには、「本当に自分ではどうしようもなかったこと」を説明することです。 「パソコンが壊れてしまって、添付資料を開封することができなかった」とかです。 物理上、どうにもならないことであれば、「それなら仕方ないね」と相手も素直に思います。 それでも、きちんと謝罪をすることは大切です。 仕方ないことでも、開き直られたような態度をとられるとイラっとしますし「パソコンが壊れたって、、、ほんとかよ...嘘なんじゃないの??」なんて思われてしまいます。 「しょうがないよね」と開き直るのではなく、きちんと謝罪をした上でしっかりした事情を説明をすれば、例えそれがただの口実だったとしても「言い訳をしている」とは思われないでしょう。
言い訳をしたときに、悪い印象で終わらせないためには「きちんと責任をとる姿勢を見せる」ということが大切です。 「ミスをしてしまった後、どうするか」がむしろ一番重要ですよね。 きちんと誠意をもって対応をすれば、信頼を取り戻すことができるでしょう。 「起きてしまったこと」はタイムマシーンでもないかぎり、どうにもならないのです。 言い訳をしても、その場を逃れられても過去に戻ってなんとかできるわけではないので現状は何も変わりません。 言い訳をして、その後真摯に対応をして信頼を取り戻す。 これができてはじめて「うまい言い訳をすることができた」と言えるでしょう。
いかがでしたか?「言い訳」について理解を深めていただけたでしょうか。 「言い訳」には似ている言葉が多くあります。
など、それぞれ違いを理解して使い分けましょう。