「感謝の言葉もありません」とは「感謝を伝えるには適切な言葉が見つからないほど深く感謝している」「感謝のあまり言葉も出ない」という意味で、お礼をいうフレーズです。ただし、文字通り「(感謝すべきなのに)感謝の言葉が一切ない」という意味になる場合もあるので注意が必要です。
「感謝の言葉もありません」の1つ目の意味は「感謝の言葉も見つからない程、深く感謝している」です。 「ありがたい」という感謝の気持ちが深すぎて伝えるのに適切な言葉が見つからない、また感謝のあまりに言葉がでないという意味です。
もう一つの意味は、「感謝の言葉すら言わない」です。 何かをしてもらってお礼の言葉を述べるべきであるのにも関わらず、感謝の言葉を一言も発しないという様子を言い表わしています。 この意味の場合の「感謝の言葉もない」の副助詞「も」は「容易なことなのに」という気持ちを表し、後に続く否定の意を強めます。 「挨拶もろくにしない」「顔も見たくない」「こんなこともできない」などと同じです。 1つ目の意味は「ありがたい」という気持ちを表現する言葉ですが、二つ目の意味は「お礼を言わない」というネガティブな意味です。
「感謝の言葉もありません」は、「感謝の言葉」に「ある」の連用形「あり」+丁寧の助動詞「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」をつけた言葉です。 したがって、「感謝の言葉もありません」は丁寧語であり、目上の人に使用することができます。 ただし、丁寧語では相手に敬意を示すことはできません。 目上の人に使用するのであれば、尊敬語や謙譲語など相手に敬意を示せる敬語表現を使用しましょう。
「感謝の言葉もありません」は、「感謝の言葉もございません」だとより丁寧になります。 「感謝の言葉もございません」は「感謝の言葉」に「ある」の丁寧語「ござる」の連用形と丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」を使用した敬語表現です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 丁重語は自分をへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語と同じ種類の敬語で「謙譲語Ⅱ」とも言われます。 したがって、丁重語+丁寧語の「感謝の言葉もございません」は丁寧な敬語表現であるといえます。 「感謝の言葉もございません」は、「なんとお礼を申し上げてよいやら」「なんとお礼を申し上げればよいか」などの言い回しと併用されることがあります。
例文
「感謝の言葉もありません」は、「感謝の申し上げようもございません」だとさらに丁寧になります。 「感謝の申し上げようもございません」は
を使用した敬語表現です。 したがって、「感謝の申し上げようもございません」は謙譲語+丁重語+丁寧語の非常に丁寧な敬語表現であるといえます。 丁重語は謙譲語の一種ではありますが、「謙譲語Ⅱ」という別の種類になるので二重敬語にはなりません。 「感謝の申し上げようもございません」は、
という使い方をします。 「感謝」を「お礼」に言い換えても問題ありません。
「感謝のあまり言葉もございません」は、「感謝の気持ちが強すぎるせいで言葉もでない」という意味です。 「あまり」は、勘定や動作を表す語を受けて「それが原因となってある結果が引き起こされる意」を表す言葉です。
「感謝してもしきれません」は、「ありがとう」という感謝の言葉だけでは伝えきれないほど感謝をしているという意味です。 「感謝してもしきれない」で、相手に対する深い感謝の気持ちを伝えることができます。 この場合の「しきれない」は、「感謝の気持ちを伝えきることができない」という意味です。 「感謝してもしきれない」は「感謝できない」と否定しているわけではないので、注意してください。
「感謝の念に堪えません」は、「抑えきれないほど沸き上がる感謝の気持ち」を表現している言葉です。 「堪えません」は「耐える」に打ち消しの助動詞「ない」をつけた「堪えない」の丁寧語です。 「堪えない」は、「感情などを抑えることができない」という意味です。 「感謝の念に堪えません」は「感謝をしている」という気持ちを強調する言葉であるということであり、「感謝の言葉もありません」と言い換えることが可能です。 ただ、「感謝の念に堪えません」のほうがかしこまった表現でありフォーマルな場面に適しています。
「感謝の言葉しかありません」は、「感謝の気持ち以外ない」「感謝の言葉しか出ない」という意味で、相手に対する深い感謝の気持ちを伝える表現です。 ただし、「感謝しかない」という言葉に違和感を覚える人が意外と多いです。 「しか」は限定の意味を伝える副助詞で、「〜しかない」という使い方をするのが一般的です。 本来は、「後少ししかない」というように否定的な意味で使用する言葉であるため「感謝(言葉)しかありません」という表現に違和感を覚えるのでしょう。 「感謝している」という気持ちを伝えたいのだということは伝わりますが、違和感を覚える人もいるので、かしこまった場面では「感謝してもしきれない」や「感謝の念に堪えません」を使用するのが望ましいでしょう。
「感謝の気持でいっぱいです」は、「心が感謝気持ちで溢れそう」という意味の感謝を伝える言葉です。 「感謝の気持ちでいっぱいです」は、丁寧語の「です」をつけた敬語表現です。 目上の人に使用することができる敬語表現ですが、「ある」の丁重語の「ござる」を使用した「感謝の気持ちでいっぱいでございます」とするとより丁寧になります。 ただ、「いっぱい」という表現が幼稚であることから、スピーチなどかしこまった場面で使用する場合は「感謝の念に堪えません」などよりかしこまった表現をするほうが望ましいでしょう。 社内の人に対してなど親しい間柄であれば問題ありません。
「誠にありがとうございます」は、相手に対して感謝の気持ちを伝える言い回しです。 「ありがとうございます」は、形容詞「ありがたい(有り難い)」の連用形+「ある」の丁重語「ごる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「誠に」は副詞で、「間違いなくある事態であるさま」「本当に」「じつに」という意味です。 「ありがとう」という感謝の気持ちを強めるために「誠に」をつけています。 「誠にありがとうございます」は、日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる表現です。
「感謝申し上げます」といった場合は「感謝を言わせていただきます」という意味合いになります。 これは「ありがとうございます」を言う前に「言いますよ」といった意味で使うわけではなく、「感謝申し上げます」自体に「ありがとうございます」という意味が含まれています。 「申し上げます」は「言う」の謙譲語「申し上げる」+丁寧語「ます」で成り立っています。 「感謝」を「お礼」に言い換えて「お礼申し上げます」で使用することも可能です。
「深謝」の意味は、 深く感謝すること 丁寧に詫びること です。 ”感謝する”という意味での「深謝」は「深い感謝」、”お詫びする”という意味での「深謝」は「深い謝罪」となります。どちらも「深」という字を使うことによって、謝意を強調しています。 「深謝」に「する」の丁重語「いたす」と丁寧語「ます」で「深謝いたします」となります。 「深謝」を「拝謝」に言い換えて「拝謝いたします」とすることもできます。 「拝謝」は”礼を述べることの謙譲語”です。 「拝」は「拝む(おがむ)」ことを表す言葉なので、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 「拝む」は感謝を示す行為のことなので、「拝謝」は「ありがたくお礼を述べる」というニュアンスになります。 ただ、「拝謝」はお礼状や手紙など書き言葉として使われることがほとんどで、話し言葉としては使いません。
「恐縮」の意味は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」です。 「恐縮」は「相手の厚意を受け入れて恐れ入る」という意味なので、感謝やお礼を伝える場合に使うことができます。 「恐縮です」などと言うことによって、「相手の好意をありがたく思っている」という意味合いを強めます。 「恐悦至極」は「きょうえつしごく」と読みます。 「恐縮」は「身も縮まるほど恐れ入ること」「至極」は「この上ないこと」「極みをつくすこと」を意味します。 「恐悦至極に存じます」は”あまりに恐れ多くて身が縮こまってしまうかと思われるさま、大変恐縮するさま”などを表す言い回しです。 主に、目上の人から褒められたときに謙遜を表す表現として使われます。 少々堅い表現なので、あまり使われる表現ではありません。
「感謝の言葉もありません」に最も近い意味合いを持った英語表現は、
I don't know how to express my gratitude
どのように自分の感謝の気持ちを表現すればいいかわかりません。
です。 その他にも、
I don't know what to say.
何と言えばよいか分からない。
I'm speechless.
言葉も出ません。
などがあります。
それ以外にも、
I can't thank you enough
十分に感謝しきれない。
Thank you for everything.
何もかもありがとうございます。
などの表現があります。