「恐縮」という言葉をご存知でしょうか。「恐縮です」「恐縮ではございますが」などと聞き覚えがあると思います。日常会話だけでなく、ビジネスシーンでも使うことが多いですよね。では、「恐縮」はどのような場面で使うのが正しいのでしょうか。「恐縮」は使い勝手がよく、非常に便利な言葉ですが、使用するにあたって注意しなければならない点があります。適切に使用するには、こういったポイントをしっかりと押さえておきたいですよね。また、「恐縮」の言い換え表現はあるのでしょうか。そこで今回は「恐縮」の意味や使い方、使用上の注意点、類語について解説していきます。
「恐縮」は<きょうしゅく>と読みます。 「恐」は音読みだと「キョウ」、訓読みだと「おそれる・おそろしい」と読みます。 「恐」は「おそれ入る。こわがる」を意味します。 「縮」は音読みだと「シュク」、訓読みだと「ちぢむ・ちぢまる・ちぢらす」と読みます。 「縮」は「心がいじける」を意味します。
「恐縮」の意味は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」です。 相手からの厚意などを自分には勿体無いと思い、申し訳なく感じ恐れ入ることを表します。 本来の「恐縮」の意味は「おそれて身がすくむこと。おそろしくて身がちぢむこと」です。 こちらの意味ではほとんど使いません。
「恐縮」は「相手の厚意を受け入れて恐れ入る」という意味なので、感謝やお礼を伝える場合に使うことができます。 「恐縮です」などと言うことによって、「相手の好意をありがたく思っている」という意味合いを強めます。 言い回しとしては、
などとなります。 「恐縮」は、「感謝申し上げます」「ありがとうございます」など感謝を表す表現と共に使用することが多いです。 例えば、「いつもお心にかけていただき恐縮です。感謝申し上げます」といったように、「恐縮です」などと言った後に「感謝いたします」とお礼を述べます。 他にも、「お忙しい中お越しいただき、恐縮です」といったように、相手が会社に訪問してくれた際に使えます。この場合は、「相手の厚意を受ける」というよりも、挨拶や労いの気持ちが込められています。
例文
「恐縮」は依頼やお願いをする場合にも使います。 言い回しとしては、
などとなります。 「恐縮ですが....」と依頼することによって、「迷惑をおかけしますが...」などと謙遜した気持ちを表すことができます。 「申し訳なく思う」という意味が含まれているので、相手への配慮も示すことができます。 「すみませんが〜」「失礼しますが〜」などだと軽い感じがするので、代わりに「恐縮ですが」を使うのが良いでしょう。
例文
「恐縮」は感謝や依頼をする場合だけでなく、断る場合にも使うことができます。 この場合の「恐縮」は、クッション言葉の役割を果たします。 言い回しとしては、
などとなります。 「恐縮です」「恐縮でございます」と言うだけでかしこまった印象を与えられます。 「恐縮」は感謝やお願いするだけでなく、社交辞令として使うことも可能です。断る際や了承を得る際は、単に「参加できません」「お断りします」と言うのではなく「恐縮ですが〜」を入れることによって、語感を柔らげることができます。 また、何かを断る場合や了承を求める場合などは、しっかりとその理由を明記する必要があります。
例文
「恐縮です...」と言うことによって、「褒めていただけるなんて、身が縮みます」と申し訳ない気持ちを表すことができます。 言い回しとしては、
などとなります。 「お褒めいただいて、嬉しいです」「褒めていただきありがとうございます」などととストレートに言うよりも、「お褒めいただき、恐縮です」と言った方がかしこまった印象となります。 「恐縮」には感謝の気持ちだけでなく、『お恥ずかしい』という照れも含まれるため、自分の行いについて気恥ずかしさを表現するにも適切です。
例文
「大変恐縮です」「誠に恐縮ですが〜」などと口語で使うイメージが強いですが、「恐縮」は主に書き言葉として使います。 書き言葉として使うのが一般的なので、会話で使ってしまうとどことなく相手に冷たい印象を与えてしまうことがあります。 「恐れ入ります」が口語では無難です。 「恐れ入ります」は「目上の人に迷惑をかけたり失礼なことをしたりして申し訳ないと思うこと。相手の行為をありがたく思うこと」を意味します。 「恐縮ですが〜」と会話で使いたくなったら、代わりに「恐れ入りますが〜」を使うようにしましょう。
「恐縮」を使うことによって謙遜することができますが、多用し過ぎると相手に失礼な印象を与えてしまいます。 便利な言葉なので「恐縮」を使いがちになってしまいますが、過度な謙遜はかえって無礼です。 あまりにも多く使うと、相手にしつこい印象を与えたり、わざとらしくなったりして、言葉の重みがなくなってしまうので、注意してください。 また、文章内で同じ言葉ばかり使用していると内容が伝わりにくかったり、低脳な文章だと思われてしまいます。 「恐縮」を何回も使いたい場合は、下記で紹介する類語に言い換えるの良いでしょう。 類語を使うことによって、単語を繰り返し使うことを避けることができます。
「恐縮です」という言葉は、汎用性が高く便利なだけに誤って使われることが多いです。 代表的な間違った使い方としては「恐縮に存じます」があります。 「存じます」は、「思う」の謙譲語「存ずる」の丁寧語の「ます」が付随した言葉です。 「恐縮」は「ありがたく思う」という意味で「思う」というニュアンスがすでに含まれていますので、「存じます」と一緒に使うと意味が重複していることになるため、厳密には誤りです。 「恐縮です」「恐縮いたしております」でも十分丁寧な表現です。 「恐縮に存じます」といったようにあまりにも丁寧だと、かえって皮肉に聞こえてしまうので注意してください。
「恐縮」単体で使うことが多いですが、「恐縮」を用いた言葉も多くあります。 「恐縮」をより強調したい場合は、下記で紹介する表現を使うのが良いでしょう。
意味:この上なく身が縮まるほど恐れ入ること
「至極恐縮に存じますが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします」
意味:程度が著しく、恐れ入ること
「お忙しい中、甚だ恐縮ではございますが、よろしくお願いいたします」
意味: むやみに相手の厚意に対する感謝の気持に申し訳なく感じること
「部長のご親切には恐縮しきりです」
意味:相手の厚意に対しての感謝が大きく、申し訳なく思ってしまうこと
「私事にて恐縮のいたりではございますが、来月に新婚旅行のため休暇をいただきました」
意味:相手の厚意にものすごく感謝して、申し訳なく感じること
「身に余るほどのお褒めの言葉をいただき、恐縮の極みでございます」
意味:相手の厚意に関して感謝が大きく、申し訳なく感じてしまうこと
「皆様にご協力いただき、恐縮の限りでございます」
「僭越」は「自分の身分や地位をこえて出過ぎたことをすること。そういう態度。でしゃばり」を意味します。 「僭」は「身分不相応におごる」、「越」は「物事の範囲・程度をこえる」を意味します。 「僭越」は「自身の身分や権限などを越えて、差し出がましいことをすること」 「恐縮」は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」 「恐縮」は相手に迷惑をかけていると思い、そのことを大変申し訳なく感じながらも何かを頼むという場合に使います。 「僭越」は自分が置かれている地位や立場を超えて、何かを行うという場合に使います。 「僭越」は主に「僭越ながら◯◯する」といった形で用います。 2つとも意味や使い方が異なるので、しっかりと使い分けましょう。
例文
「萎縮」の意味は「なえしなびてちぢむこと。元気がなくなること。相手の勢いに圧倒されてちぢこまること」です。 「萎」は「勢いがなくなる」、「縮」は「ちぢむ。ちぢめる。心がいじける」を意味します。 「萎縮」は「縮こまって小さくなること。しなびて小さくなること」 「恐縮」は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」 「萎縮」も「恐縮」も「身がちぢまること」を表しますが、意味合いが異なります。 「萎縮」は単に「元気が無くなったり、相手の勢いに驚いて身がちぢまること」を表します。 一方で「恐縮」は「迷惑をかけたり、相手の厚意を申し訳なく思い身がちぢまること」を表します。 2つとも「縮」という漢字が使われていて、区別しづらいですがきちんと使い分けましょう。
例文
「光栄」の意味は「はえあること。ほまれ。名誉」です。 「光」も「栄」も「ほまれ。名誉」を意味します。 「光栄」は「人に認められたり、褒められたり、大役を任せられたりして名誉に思うこと」 「恐縮」は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手に迷惑をかけたり、厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」 「光栄です」「恐縮です」と言うことができます。 誰かに感謝や褒められ『身が縮まります』と謙遜を表したい場合は「恐縮です」、何か名誉ある賞をもらったり、良い評判を得た場合は「光栄です」を使います。 「光栄です」は名誉に思うこと・誇りに思うことを伝える表現なので、一般的には「恐縮です」を使うことが多いでしょう。 「光栄」と「恐縮」では意味と使い方が異なるので、上手く使い分けましょう。
例文
誠にありがとうございます (意味:ある出来事に関しての感謝を表す) 「先ほどは相談に乗っていただき、誠にありがとうございます」 恐れ多いことでございます (意味:身に過ぎたことで恐縮であること) 「社長からお褒めいただけるなんて、恐れ多いことでございます」 身の縮む思いです (意味:恐ろしさや緊張で、体が丸まって小さくなったように感じること) 「そんな素晴らしい会にお誘いいただけるとは、身の縮む思いです」 もったいないお言葉です (意味:身に過ぎておそれ多い言葉であること) 「私にはもったいないお言葉です」 おかげさまです (意味:他人の助けや親切に対しての感謝の気持ちを表す) 「おかげさまで、成功することができました」 痛み入ります (意味:相手の親切や好意に恐縮すること) 「◯◯様のお心遣い、誠に痛み入ります」 恐れ入ります (意味:相手の行為をありがたく思うこと) 「励ましの言葉をいただき、誠に恐れ入ります」
恐れ入りますが (意味:目上の人に迷惑をかけたり失礼なことをしたりして申し訳ないと思うこと) 「恐れ入りますが、明日までにご回答いただけますようお願いいたします」 お手数をおかけしますが (意味:相手に何らかの労力や時間を割いてもらって申し訳ないこと) 「お手数おかけしますが、ご検討のほどお願い申しあげます」 申し訳ございませんが (意味:相手にすまない気持ちで、弁解のしようがないこと) 「誠に申し訳ございませんが、お電話いただけますでしょうか」 せっかくですが (意味:相手がしてくれたことに対して、その価値を認めながらも断ること) 「せっかくですが、お気持ちだけ頂戴いたします」 悪いですが (意味:申し訳ありませんが、すみませんが) 「悪いですが、資料の提出のほどよろしくお願いいたします」 失礼ですが (意味:相手に対して無礼になることを尋ねるときに、それを前もって相手に知らせる) 「失礼ですが、お名前をお聞きしてもよろしいですか」
「恐縮」の英語表現を見ていきましょう。 感謝の意味で使う場合は、
などになります。 依頼するときや辞退するときの冒頭に使う場合は、
などになります。
Thank you for your compliment.
先生のお褒めの言葉恐縮です。
I'd like to stay here a bit longer, if you don't mind.
恐縮ですが、もう少しここに滞在してもよいですか。
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「恐縮」について理解できたでしょうか? ✔︎「恐縮」は「きょうしゅく」と読む ✔︎「恐縮」は「身もちぢまるほどに恐れ入ること。相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと」を意味 ✔︎「恐縮ですが〜」「恐縮の限りでございます」「恐縮するばかりです」などと使う ✔︎「恐縮」の類語には、「身の縮む思いです」「痛み入ります」「恐れ入りますが」などがある