「なのですが」は、「だが」「しかし」「けれども」を丁寧した表現です。ビジネスシーンでもよく耳にする言葉ですよね。今回は「なのですが」の正しい使い方を例文付きで紹介します。また、「なのですが」の類語・言い換え表現や、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「なのですが」は、「なのだ」+「です」+「が」で成り立っています。 「なのだ」は、断定を表す助動詞「だ」の連体形「な」+助詞「の」+断定を表す助動詞「だ」で成り立っています。 断定が二度も使われていることから、強調語であることがわかるかと思います。 「なのだ」は確信をもって説明し相手に言い聞かせる時に使います。 例えば「緊急を要する状況なのだ」といった使い方です。 緊急を要する状況であるか不確かな場合は「なのだ」を使用することはできません。 それに丁寧語「です」を付けたのが「なのです」です。 「なのです」は「なのだ」を丁寧にしたものです。 「なのでございます」とするとより丁寧になります。 さらに逆説の接続詞「が」をつけると「なのですが」になります。 「が」は、「だが」「しかし」「けれども」という意味です。 前に述べた事柄に対して、後に述べる事柄が反対・対立の関係にあることを示します。
「なのですが」の「です」は丁寧語であり尊敬語ではないですが、目上の人に使うことができます。 そのため、ビジネスシーンでもよく使用されます。 ただ、尊敬語ではないので後ろに続く言葉を敬語表現にするなどして相手に敬意を示してより丁寧な文章にしましょう。 さらに「なのですが」は、前に述べた事柄に対して後に述べる事柄が反対・対立の関係にあることを示す表現です。 そのため、相手の発言や行動に対して使用すると、相手を否定しているように聞こえてしまいます。 丁寧な表現ではありますが、目上の人に対して使用する場合は注意してください。
「なんですが」は「なのですが」の「の」を「ん」にした砕けた表現で、口語として使われます。 口頭で使用する場合では、使用する相手や状況により、「なのですが」と表現するよりも自然な場合もあります。しかし、かなりカジュアルな印象であるため目上の人に対してや、フォーマルな場面ではふさわしくないといえます。 とくにビジネスシーンでは「〜なのですが」ときちんと言いましょう。
「なのですが」を「なので」と「ですが」と2つに分解し、それぞれ接続詞的に使うことも可能です。 「なので」という言葉は、断定の助動詞「だ」と、接続詞である「ので」を組み合わせてできている言葉で、「順接」に使用されます。 「順接」とは「お腹がすいた、だからご飯を食べた」といったように、前半は後半の順当な原因・理由になっている文のことです。 ただ、「なので」は丁寧さにかける言葉であるため、目上の人に使用することは避けるべきです。 「ですが」は、助動詞の「です」に、助詞「が」がついた表現で、「だが」という接続詞を丁寧語に言い換えたものです。 否定・逆説を表す接続詞として使用される言葉で、文章内で「〜は、〜ですが〜…」というような形で使用されます。 例えば「フルーツアレルギーですが、バナナは食べることができます」のように、「ですが」の後続の事柄が、「ですが」より前の事柄の反対・対立の関係にあることを表します。
「質問なのですが」は、相手に質問をしたいときなどに使用できる表現です。 例えば「〜について質問なのですが、少しお時間よろしいでしょうか?」で「〜について質問をしたいのだけど、今しても良い?」と丁寧に聞くことができます。 また、相手からの質問に答えるような場面でも「○○様からいただいた質問なのですが、只今担当の者に確認中でございます。」というように使用することができます。
例文
「必要なのですが」は、相手に何かを用意してもらいたい場面などで使用する表現です。 「ご登録には身分証が必要なのですが、当日お持ちいただけますか?」という使い方です。 「必要なのだけど、用意してもらえる?」と丁寧に聞くことができます。
例文
「誠に勝手なのですが」は、「自分の都合だけど...」という意味です。 相手に自分の都合を押し付けてしまうことに対することを申し訳なく思っている気持ちを伝えるクッション用語です。 例えば、飲み会に誘われて「参加できません」と断る場合や、自分の都合でお休みをもらう場合など自分の都合を相手に聞いてもらう場面で使用します。 また、相手に依頼をするときにも使用することができます。 その場合も「こちらの都合で申し訳ないのだけど」という意味で使用されます。 ただ、上述しているように「なのですが」は尊敬語ではありません。 目上の人や取引先の相手など敬意を示すべき相手には「誠に勝手ではござますが」「誠に勝手とは存じますが」などより丁寧な表現を使用しましょう。
例文
「失礼」は、「他人に接する際の礼儀や作法の心得をわきまえていないこと」を意味しています。 「失礼なのですが」で、自分が相手に対して礼儀を欠くような行動をしてしまうことに対して申し訳ないという気持ちを伝えるクッション用語になります。 しかし、「失礼なのですが」より「失礼ですが」のほうが自然です。 より丁寧なのは「失礼なのですが」ですが、「失礼ですが」を使用しましょう。 「恐縮ですが」「僭越ながら」「不躾ながら」と言い換えるとさらに丁寧な表現になります。 ビジネスシーンや目上の人に使用する場合は、「恐縮ですが」「僭越ながら」「不躾ながら」に言い換えましょう。
例文
電話などで名乗るときには「佐藤なのですが」ではなく、「佐藤と申しますが」と言ったほうが丁寧な敬語表現になります。 「申します」は、「言う」の謙譲語で、目上の人など敬意を払うべき相手に対して、”うやうやしく言う”というニュアンスになります。
「なのですが」の書き言葉は「しかし」「だが」です。 「しかし」は、前に述べられたことを受けて、それとは対立する事柄を述べるときに使用します。 また、「しかし、今日は暑いですね」というように前の話題からそれることを述べるときに使用することもあります。 「しかし」は話し言葉でも使用することができますが、話し言葉よりも書き言葉として、ビジネスメールなどかしこまった文章で使用されることが多いです。 「だが」も逆説を述べるときに使用する言葉で、前に述べたことに対することを述べるときに使用します。 「だが」もかしこまった文章で使用されますが、目上の人に使用する場合は「ですが」と丁寧な表現に言い換えられることが多いです。
「なのですが」の話し言葉なら「でも」「けれども」です。 「でも」「けれども」は、前に述べた事柄を相反する事柄を述べる時に使用される言葉です。 「でも」は、話し言葉なので、ビジネスシーンで使用するのは不適切です。 ビジネスシーンでは「しかし」に言い換えられます。 「けれども」も、ビジネスシーンで使用するにはフランクな印象をうけます。 目上の人に使用する場合は「ですが」などに言い換えましょう。
「なのですが」は「but」で表現可能です。 しかし、日本語の「が」は逆接だけではなく順接の場合もありますので、その場合は「and」を使わなければなりません。
This is just to confirm, but may I see your ID again?
確認なのですが、もう一度身分証を見せてください。
We're sorry, but it's about time to go.
申し訳ないのですが、そろそろ行く時間です。
いかがでしたか? 「なのですが」について理解を深めていただけたでしょうか。
となります。