「不躾」という言葉をご存知でしょうか。「不躾なお願いですが〜」「不躾な人だ」などと使いますよね。よく耳にする表現ではありますが、いざ使うとなるとどのような場面で使えばいいのか躊躇ってしまわないでしょうか。そこで今回は「不躾」の意味や使い方について、例文を交えながら解説していきます。
「不躾」は「ぶしつけ」と読みます。 「躾」は訓読みで「しつけ」と読みます。 「躾」は「しつけ」「しつける」を意味しています。 よく「子供のしつけ」「ペットのしつけ」などと言いますよね。
「不躾」は、「礼儀作法をわきまえないこと」「無作法」「無礼」を意味しています。 また「ぶしつけ」には「露骨」「唐突」という意味も含まれます。 「不躾」は「躾」に否定を表す語「不」が付いた言葉になるので、「しつけがない」「礼を欠く」という意味になります。 「不躾」は他にも「無躾」「不仕付」と書くことができますが、一般的には「ぶしつけ」か「不躾」と書くことが多いです。
「不躾」は、主に自分の行動や発言に対して使うことが多いです。 例えば「不躾で申し訳ありませんが〜」と言った場合は、「大変失礼で申し訳ありませんが〜」と、自分の行動をへりくだって言うことになります。自分をへりくだった表現なので、目上の人に対して使うことは可能です。 相手に対して「あなたは随分不躾ですね」などと使うことは少ないです。 もし、目上の人に「君は随分と不躾だね」と言われてしまった場合は、相手を怒らせてしまったと捉えられます。 「不躾」は口語として使うことが多いですが、メールや手紙など書き言葉としても使うこともできます。 余談ですが、フリマアプリの「メルカリ」では最近”不躾”な価格交渉をする人が増えており、ある種の社会問題化しているようです。。
▶「不躾」の例文
「不躾な人」とは「相手に不快な思いをさせるほど、礼儀作法をわきまえていない人」ということです。 また「不躾な態度」は「無礼な態度、失礼な態度」ということです。 「不躾な人」の例としては、
などとなります。 また「不躾な態度」とは
などです。 「不躾」は主に自分をへりくだるときに使う表現なので、他人に「不躾な人」「不躾な態度」だと言われた場合は、よほど礼儀がなっていない行動をしていたということになります。 他人にそう言われてしまわないように気をつけましょう。
▶「不躾な人・不躾な態度」を例文
不躾な物言い 不躾な言い方 不躾な発言 不躾な提案 不躾な視線 不躾な価格交渉
「不躾なお願い」は、目上の人に何かをお願いするときに使います。 「不躾なお願い」は、「失礼なお願い」「無茶なお願い」といった意味合いになります。 「不躾なお願い」を使う場面としては、そのお願いが相手にとって急なことであったり、相手にとって手間になる場合です。 そんなときに「不躾なお願いですが〜」とすることによって、「急にお願いして大変申し訳ありませんが」「面倒のかかることをお願いしてしまいますが」といった気持ちを表すことができます。 「不躾なお願い」の使い方としては、
といったようになります。
▶「不躾なお願い」の例文
「不躾な質問」は、相手に急を要する質問であったり、立ち入った質問をする場合に使います。 「不躾な質問ですが〜」と言うことによって、「突然の質問で申し訳ありませんが」「失礼なことを聞いてしまい申し訳ないです」といった意味合いになります。 例えば、相手の年齢や、既婚か独身かを聞くときに、そのまま聞くと失礼になってしまうので「不躾な質問で恐縮ですが〜」などと前置きしてから尋ねます。 もちろん「不躾な質問」とすれば、どんな失礼なことでも聞いて良いというわけではありません。 相手に不快感を与えないように、「不躾な質問」を使うようにしましょう。
▶「不躾な質問」の例文
「不躾な提案」は「失礼ながら提案」「目下の立場なのに提案」といった意味合いになります。 「不躾な提案」は目上の人に提案をする時によく使われています。 目下の立場でありながら目上の人に何か提案をする時や、提案する物事の当事者や直接関係ある立場ではない場合に用いられます。 「不躾な提案ですが〜」と言うことによって、「突然提案して大変申し訳ありませんが」「目下の立場でありながら提案して申し訳ありませんが」などといった気持ちを表すことができます。 「不躾なお願い」の使い方としては、
といったようになります。
▶「不躾な提案」の例文
ビジネスにおける謝罪の場面でも「不躾」という言葉は使われます。 先程も説明したように、目上の人などに不躾なお願いをする時があります。 その際に「不躾な要望をしてしまい申し訳ございません」などと使います。 お願いだけでなくとも、不躾な質問をした時や不躾な対応をしてしまった際に使うことができます。
▶謝罪する時の「不躾」の例文
ビジネスシーンでよく使われる「不躾ながら」の意味と、その言い換え表現をいくつか紹介します。
「不躾ながら」は「失礼ではありますが」「無礼ではありますが」といった意味になります。 何か目上の人に対して意見をする時や、お願い、質問などをする時に用います。 自分自身をへりくだった表現になります。
「僭越ながら」は「失礼を承知の上で、出過ぎたことをいたしますが」「身の程をわきまえず、申し訳ありませんが」という意味になります。 「僭越(せんえつ)」は「自分の身分・地位をこえて出過ぎたことをすること」「そういう態度」「でしゃばり」を意味します。
「恐縮ですが」というフレーズでは謝罪や申し訳なさを表すことが多いです。 「申し訳ありませんが」をより丁寧に表現したフレーズとなります。 文頭に置くことで、本題に入る前のクッション的な役割を担います。
「差し支えなければ」は、相手に何かを依頼するときに使います。 「差し支えなければ」はクッション言葉なので、依頼やお願いをする前に付けて使います。 「差し支えなければ」は、相手に何かを依頼するだけではなく、「都合が悪かったら断っても構いません」という相手に選択の余地を与える表現になります。
「お手数をおかけします」は「お手数をおかけして申し訳ないです」といったように謝罪をするときに使います。 「お手数をおかけしますが」という形にすると、相手に依頼・お願いをするという意味で使うことができます。 例えば「お手数をおかけしますが、ご検討いただけますようお願いします」と言えば、「手間をかけさせてしまい申し訳ないですが、ご検討してください」といった意味になります。
「恐れ入りますが」は、
に使う言葉になります。 「恐れ入りますが」はクッション言葉として使われます。 お願いするときに「すいませんが」と言うよりも、「恐れ入りますが」というクッション言葉を置く方が、より謙虚で柔らかい印象を与えることができます。
「失礼」は「他人に接する際の礼儀や作法の心得をわきまえていないこと」を意味しています。 「失礼」は自分が相手に対して礼儀を欠いた行動をしてしまったことを謝罪するときに、「失礼しました」などと使います。 ただ「失礼しました」は、相手に礼儀を欠いたことに対するお詫びの気持ちを表しているので、お詫びそのものへの言葉としては使えません。 「失礼」は目上の人に対して使うことができます。 また、「失礼」は相手と別れるときの挨拶や、人に何かを尋ねるときの言葉として使うこともできます。
例文
「無礼」は「礼儀にはずれること」を意味しています。 「無礼」は、相手や自分が怒る、悲しむといった感情になるほど、礼儀にはずれた振る舞いをするときに使います。 例えば「今回のようなご無礼をお許しください」などといったように、「無礼」は自分が相手に対して失礼な行動をしてしまったことをお詫びする場合に使うことが多いです。 「無礼を働く」「無礼を承知で」「無礼な態度」などと用います。
例文
「非礼」は「礼儀にはずれること、礼儀にそむくこと」を意味しています。 「非礼」は、「無礼」や「失礼」よりも悪印象の度合いが強くなります。 「非礼」は主に、最大の失態を起こしてしまったときや、礼儀に外れた行動に対して謝罪をする際に使用します。 ビジネスシーンにおいての「非礼」は、お客様からクレームがあった場合や、始末書を書かなくてはいけないような失態を起こした場合に使います。
例文
「無作法」は<ぶさほう>と読みます。 「無作法」は「礼儀作法をわきまえないこと」「礼儀にはずれていること」を意味しています。 「無作法な振る舞い」「無作法者」などと用います。
例文
「厚かましい」は「行動や態度に慎みがないこと」を意味しています。 「厚かましい」は「図々しくて遠慮がないさま」を表しています。 「厚かましい」は相手に対してだけでなく、自分の行動に対しても使うことができます。 例えば、「大変厚かましい質問ではありますが〜」と言った場合は、「遠慮がなく図々しい質問ではありますが〜」といったニュアンスになります。
例文
「礼儀正しい」は「礼儀をわきまえていて、態度がきちんとしているさま」を意味しています。 「礼儀正しい人」と言えば、一般的にマナーが守れて正しい作法ができる人のことを指します。 「礼儀正しい態度」「礼儀正しい行動」などと用います。
例文
「慇懃」は<いんぎん>と読みます。 「慇懃」は「真心がこもっていて礼儀正しいこと」を意味しています。 「慇懃な挨拶」「慇懃な態度」などと用います。 よく「慇懃無礼」と言いますが、これは「丁寧ではあるが、それがかえって無礼になること」を意味しています。 「慇懃」は「慇懃無礼」を略した言葉と誤解している人もいますが、「慇懃」と「慇懃無礼」では全く別の意味なので間違えないように気をつけましょう。
例文
「折り目正しい」は「行儀作法をよくわきまえていること」を意味しています。 例えば、「彼は私と違って折り目正しい」などと言うことができます。 「折り目正しい」はあまり使うことはない言葉ですが、覚えておくと良いでしょう。
例文
「不躾な」は英語で、
などを使います。この2つの単語はどちらも「失礼な」という意味で、ほぼ同じです。 が、「impolite」の方が少し堅い言葉です。「rude」は意識してる&無意識で「失礼」の両方のパターンがあるのに対し、「impolite」は無意識で「失礼」のパターンのみで使うのが基本です。 「不躾な質問ですが」「不躾なお願いですが」は「Sorry for asking this」などと言う方が自然です。
Sorry for asking this, but could you please consider it?
不躾なお願いですが、検討の程よろしくお願いします。
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「不躾」について理解できたでしょうか? ✔︎「不躾」は<ぶしつけ>と読む ✔︎「不躾」は「礼儀作法をわきまえていないこと」を意味する ✔︎「不躾なお願い」「不躾な質問」などと用いる ✔︎「不躾」の類語には、「無礼」「無作法」などがある
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