「お力になれず」は、「相手を助けることができない」「相手に協力することができない」という意味です。相手の依頼を断る場面で使用される言葉です。今回は「お力になれず」の意味と敬語、使い方を例文つきで解説します。「お力になれず」の類語言い換え表現や英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「お力になれず」は、「相手の要望に応えることができない」という意味です。 この場合の「力」は「物事をするときのたすけとなるもの」という意味です。 「力になる」で「相手を助けたり、相手の要望に答えて協力すること」を意味する表現になります。 「お力になれず」は打ち消しの助動詞「ず」をつけている表現なので、「相手を助けることができない」「相手に協力することができない」という意味になります。
「お力になれず」は、「力」に接頭語の「お」をつけています。 接頭語「お」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 「お力」の「お」も同様です。 目上の人が力になるなら「お力」の「お」は尊敬語です。 自分が目上の人の力になるなら「お」は謙譲語になります。 「力」という言葉をただ丁寧にいうだけなら「ご」は丁寧語です。 「お力になれず」は、「相手の力になることができない」という意味で使用される言葉なので、接頭語の「お」は尊敬語になります。 したがって、「お力になれず」は尊敬語です。
「お力に添えず」は誤用なので注意しましょう。 「お力に添えず」ではなく、正しくは「ご期待に添えず」です。 「添える」は「期待や目的に当てはまる」「かなう」「適合する」という意味です。 したがって、「お力に添える」という使い方をするのは不自然です。 「添える」は「期待に添える」「ご意向に添える」という使い方をします。 ちなみに「お力添え」とすると、「力を添えること・手を貸すこと」という意味になります。 相手に何か協力をお願いしたいときなどに使用することができます。
「お力になれず」は、相手から何か依頼をされて断るときの返信で「お力になれず申し訳ございません」という使い方をします。 相手からの依頼を断るときは、依頼を受けることができない理由と共にはっきりと「依頼をうけることができない」と伝えます。 「〜であればできる」など代替案があれば代替案を伝えて、「力になることができなくて申し訳ない」という謝罪の言葉を伝えます。 「お断りします」ではきつい印象をうけますが、「お力になれず申し訳ございません」と伝えると柔らかく丁寧な印象になります。
例文
「お力になれずすみません」は、バイト先の先輩などに使用することができます。 例えば、「シフトを変わってほしい」とお願いをされた日に用事があり、お断りをするといった場面です。 「すみません」は動詞の「済む」に丁寧語の「ます」が入った「済まぬ」に、打ち消しの助動詞「ぬ」がつき「済みませぬ」となり、それが現代では「すみません」となりました。 要するに「すみません」は、「済まぬ」の丁寧語となります。 したがって、親しい間柄であれば「すみません」でも問題ないといえます。 ただし、丁寧語であるためビジネスシーンなどかしこまった場面や、上司や社外の人などしっかり敬意を示すべき相手に使用するのは避けましょう。
例文
「お役にも立てず」は、「あなたの目的のために有効に動くことができない」という意味です。 「役に立つ」は「その目的に有効に働く」という意味です。 相手の力になったり協力することを「役に立つ」といいます。 「お役にも立てず」は、「役にたつ」に尊敬を表す接頭語の「お」をつけて、打ち消しの助動詞「ず」をつけているため「あなたの力になることができない」ということを言表した言葉です。 「お役に立てず」も、相手からの依頼を断るときに使用することができます。
「ご要望に沿えず」の意味は「相手がもとめ望むことを達成できない、期待通りに実行できない」という意味です。 「ご要望に沿う」が「相手がもとめ望むことを達成すること、強く期待通りに実行すること」という意味なので、打ち消しの助動詞「ず」がついている「ご要望に添えず」は反対の意味になります。 「ご要望に沿えず」は、相手の「こうしてほしい」お願いや依頼に応えることができず謝罪をするときに使用する表現です。
「ご期待に添えず」は、「相手の望みを叶えることができない、願い通りに事が進むことができない」という意味です。 「期待」は「ある物事の結果を期待して、その実現をねがい望むこと」という意味があります。 「沿う」は「期待されるところから外れない状態を保つこと」です。 相手の希望や期待に応えることができないときに「期待に応えることができなくて申し訳ありません」というように謝罪の言葉として使用されます。
「力添え」の意味は、「力を添えること・手を貸すこと」となります。 「お力添え」は「力添え」に接頭語の「お」+「できる」+打ち消しの助動詞「ず」でできている言葉です。 打ち消しの助動詞「ず」がついているので「お力添えできず」は「力を貸すことができなくて」という意味になります。 相手に「協力をしてほしい」と依頼をされたときに断るときに使用されます。
「不本意」の意味は「自分のほんとうの気持ちや望みと違うこと」です。 「不本意ながら」で、「自ら望んではいないのですが」といった意味になります。 物事が自分の都合の悪い方向に進んいくことや願望とは違っていることに対して使います。 相手からの依頼を断るときに「不本意ながら」を使用することで「本当は依頼をうけたいのだけど、、」というニュアンスを付け足すことができます。
「不徳の致すところ」とは、「自分の不徳が原因で、好ましくない事態になったこと」を意味しています。 「不徳」とは「自分自身に徳が備わっていないこと」という意味です。 自分のせいで好ましくない状況になってしまったことを謝罪をする場面で使用されます。 ただし、ちょっとしたミスなど些細なことに使用するのは大げさすぎる表現です。 使用する場面には気をつけましょう。
「力不足」は「与えられた役目や務めを果たす能力や経験が、その人に足りないこと」という意味です。 依頼をされたときに、自分に依頼を受ける能力がなくてお断りをするという場面で使用することができます。 また、相手の希望通りにいかなかったなど、十分に努めを果たすことができなかったときの謝罪で使用する言葉です。 「役不足で〜」と使用する人も多いですが、これは誤用です。 「役不足」の意味は、「その人の能力や経験に比べて、与えられた役目が軽いこと」です。 例えば、「こんなに立派な俳優にちょい役を与えるなんて役不足だ」という使い方をします。 「力量が足りていない」「力になることができない」という意味ではありませんので注意しましょう。
「お力になれず」の英語の箇所だけを英訳すれば「not helping」「not being able to help」「not being of help」などになります。 謝罪文で使うなら「I am sorry for...」「I apologize for...」が使えます。
I apologize for not helping you even though you asked me.
ご依頼いただいたのに、お力になれず申し訳ございません。