「不徳の致すところ」という言葉をご存知でしょうか?「不徳の致すところ」は謝罪する際に使う表現です。芸能人の不倫騒動の謝罪会見で聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?ただ「不徳の致すところ」について、意味が曖昧になっている部分があるかと思います。そこで今回は「不徳の致すところ」の意味や使い方について解説していきます。
「不徳の致すところ」とは、「自分の不徳が原因で、好ましくない事態になったこと」を意味しています。 ビジネスシーンでの「不徳の致すところ」は、「(失敗や不都合があったとき)自分に至らない点があったためにこのような事態になってしまった」という謝罪の意味で使います。 「不徳の致すところ」は謝罪の意の他に、反省の意が込められています。 自分に十分な徳が備わっていなかったため、今回のような好ましくない状況に至ったのだということで、自分に責任があることを表します。 つまり「不徳の致すところ」は、事がうまく運ばなかったときに、自分の未熟な行いが原因として謝罪する言葉でもあり、自分が行ったことへの反省の意思を示す言葉でもあります。
「不」は、音読みだと「フ」、訓読みだと「ず」と読みます。 「不」は否定を表す語で、「〜しない」「〜でない」ことを意味しています。 「徳」は、音読みで「トク」と読みます。 「徳」は「精神の修養によってその身に得た優れた品性」「めぐみ」「財産」を意味しています。 「不徳」は、「徳にそむくこと」「徳が足りないこと」を意味しています。 また「不徳」には、「不道徳」「人の行うべき道に反すること」「背徳」という意味も含まれています。 要するに「不徳」は、「人間としての常識やモラルが欠けていること」を表しています。 犯罪とまではいかないまでも、「人の道を踏み外してしまう」というニュアンスになります。
「致」は、音読みだと「チ」、訓読みだと「いたす」と読みます。 「致」は「招き寄せる」「行き着く」「おもむき」を意味しています。 「致す」は通常、「失礼いたします」「感謝いたします」といったように「する」の謙譲語として使います。 他にも「致す」には、「そこまで達するようにする」「身や命を捧げる」「心などをある方面に向けて届かせる」といったように意味がたくさんあります。 「不徳の致すところ」の「致す」は、「あることが原因となってよくない結果を引き起こす」という意味で使うことになります。 「ところ」は事象そのものを指していて、「内容」「場面」を意味しています。 「思うところ〜」「たずねたところ〜」などというと分かりやすいと思います。
「不徳の致すところ」は、主に自身の起こした失敗や過ちを認め謝罪をする場面で使う表現です。 「不徳の致すところ」を使うことにより、自分の過ちを認めることになります。 「不徳の致すところ」は、書き言葉としてメールや手紙の謝罪文としても、口語で会見の謝罪としても使えます。 ただ「不徳の致すところ」は、謝罪の意味が込められた言葉ですが、謝罪そのものを示す言葉ではありません。 単に「不徳の致すところでした」と言っても謝罪の意は伝わらないので、「申し訳ありません」や「ご迷惑をおかけしました」などと、謝罪そのものを表す表現を付けて謝る必要があります。
「不徳の致すところ」は文章でも用いることが出来、かしこまった表現であるため目上の人に使うことができます。 そのためビジネスメールや始末書にも用いられています。 しかし「不徳の致すところ」は重い表現であるため、主にかしこまった場面や重大な失態を犯した場合に用いられています。 社内における損失の出ない小さなミスや勘違いなどで間違ったことをしてしまった場合に用いると重すぎた表現となります。 使い方を謝ると、相手は違和感を覚えたり失礼だと感じる場合もありますので注意しましょう。
「不徳の致すところ」はビジネスシーンだけではなく政治家や歌舞伎役者などの謝罪会見でよく使われています。 自分に否があった際に「私の不徳の致すところです」などと表現します。 この場合は反省の意もありますが、どういった不祥事があったのか明言することを避け「不徳の致すところ」でまとめようとしている場合があります。 政治家の賄賂疑惑や歌舞伎役者・芸能人の不倫など、詳細を自ら話したくない場面でよく使われています。
(意味:弁解の余地がなく、相手にすまない) *「申し訳ございませんでした」でも十分意味が伝わりますが、「不徳の致すところ」をつけることによってより反省しているということを強調できる
(意味:謝罪するときに、詫び言を述べる表現) *「申し上げる」は「言う」の謙譲語
(意味:罪や過ちを詫びること) *「謝罪いたします」は、反省の意と申し訳なく思っている気持ちを示しことができる
(意味:厳しく反省すること) *「猛省」はものすごく反省していることを表している
(意味:事情を述べて詫びること) *「陳謝」は謝罪に加えて、事情や経緯を説明することが必要な言葉
(意味:期待したようにならず、心残りであること・残念に思うこと) *「遺憾」は、思い通りにならずに期待を裏切った自分の行為を詫びること
(意味:適切に処置すること) *「善処」は、過ちを起こしたことを良い方向にするよう改善するという意味合いで使います。
「不徳の致すところ」以外にも、「不徳の至り」「不徳の極み」といった言い方があります。 「極み」は、「きわまるところ」「物事の行きつくところ」を、 「至り」は、「ある物事が最高の状態に達していること」「ある物事の成り行きや結果」を意味しています。 つまり、「不徳の至り」「不徳の極み」は、「不徳の致すところ」と言うよりも、反省の意が強くなる表現になります。
「不足の至る所」という言葉を使っている人がたまにいますが、これは誤用です。 「不足の至る所」という表現は日本語には存在しませんので、注意してください。 「不徳」と「不足」という言葉が似ているため、このような誤用が発生したと言われています。
「不徳の致すところ」は改まった表現になるので謝罪するときに適す言葉ですが、何度も使用したり、繰り返してしまうと謝罪の意が弱まってしまいます。 そうならないためにも類語を活用して、状況によって使い分けられると良いでしょう。
「所為(せい)」は、上の言葉を受けて、それが原因・理由であることを表す言葉で、「そうなった原因であること」を意味しています。 「私の所為です」は「こうなったことは私が原因である」というニュアンスになるので、謝罪するときの表現としては適切になります。 「不徳の致すところ」という言葉が出てこなかった場合は、代わりに「私の所為です」を使うことができます。
「責任」は、「自分のした事の結果について責めを負うこと」「特に、失敗や損失による責めを追うこと」を意味しています。 「私の責任です」と言うことによって、このような事態が起きたのは全て自分自身の責任であることを認める謝罪の言葉になります。 「私の責任です」は主に口語で使うことが多い表現です。
・全ては私の責任です。大変申し訳ございませんでした。
「非」の意味は、「道理に反すること」「正しくないこと」「誤り」です。 つまり「非を認める」は、「誤りがあったことや不正をしたことなどを、自分のしたことであると表明すること」になります。 「自分の非を認めます」は、自分自身の誤り認めて反省していることを表す言葉です。 「自分の非を認めます」は主に、メールや手紙など書き言葉として使うことが多い表現になります。
「不徳の致すところ」はとても英訳しづらい日本語表現です。 直訳しようとして「unworthiness」などの英単語を使うと不自然な英語になってしまいます。 「不徳の致すところ」は、「謝罪」を意味する言葉とセットで使います。 イメージとしては「わたしのミスでこうなってしまいまいた。申し訳ありません。」を英訳すればよいです。 例えば、
I'm truly sorry for causing this kind of problem.
このような問題を引き起こしてしまい本当にすいません
This is all my mistake. I must apologize for that.
これは全てわたしの誤りです。申し訳ありません。
I understand that I must take a responsibility for this. Please accept my sincere apologies.
これも私の責任と重々承知しております。心よりお詫び申し上げます。
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「不徳の致すところ」について理解できたでしょうか? ✔︎「不徳の致すところ」は、「自分に至らない点があったからこのような事態になった」という意味 ✔︎「不徳の致すところ」は反省の意味合いが含まれているため、謝罪するときに使用する表現 ✔︎「不徳の極み」「不徳の至り」という言い方もある ✔︎「不徳の致すところ」の類語には、「非を認める」「自分の所為」などがある