「力不足」と「役不足」を混同して使用している人が多いのではないでしょうか?どちらも「不足」という言葉が含まれておりどことなく似ていますが、意味はむしろ真逆で誤用すると相手に悪い印象を与えてしまう場合もあります。今回は「力不足」と「役不足」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介していきます。
「力不足」・・・与えられた役目や務めを果たす能力や経験が、その人に足りないこと 「役不足」・・・与えられた役目が、その人が持っている能力や経験に比べて軽いこと
「役不足」を「力不足」と混同し誤用される場合が多いです。 「そんな大役、私には役不足だ」などと言ってしまうと、意味が真逆になってしまい、相手に失礼になってしまうので注意しましょう!
「力不足」は「ちからぶそく」と読みます。 「ちからふそく」「りきぶそく」「りょくぶそく」とは読まないので注意してください。 「力不足」の意味は「与えられた役目や務めを果たす力が足りないこと」です。 「力」は「力量」を指しています。 「力量」とは「物事をやり遂げる力の程度」のことです。 そこに「十分でないこと」を意味する「不足」をつけて、「力不足」という言葉が成り立っています。 期待されていたり注目されていたにも関わらず、実力不足で結果を出せなかったことを表現する場合に「力不足」を使います。 例えば、「不合格は私の力不足だ」ならば、「君が不合格になったのは私の能力と努力が足りなかったせいだ」という意味になります。 「力不足」はビジネスシーンでも用いることがあります。 「今回の失敗は私の力不足によるものです」などと謝罪する場面で使用します。 また、「力不足ではありますが、一生懸命頑張ります」と意気込みを語る場合にも使うことができます。 この場合の「力不足」は「未熟である」という意味合いで使用され、謙虚さを表現しています。 「力不足」の類語には、「未熟」「不適任」「不十分」「荷が重い」「力が足りない」「生煮え」「器でない」「実力不足」などがあります。 ビジネスシーンで「未熟」という意味で使う「力不足」の類語には「至らない」「不束者」「若輩者」などがあります。
例文
「役不足」は「やくぶそく」と読みます。「やくふそく」ではありません。 「役不足」の意味は、「その人の能力や経験に比べて、与えられた役目が軽いこと」です。 「役不足」は元々「役者が与えられた役に満足しないこと」という意味で使われていましたが、そこから転じて上記の意味で広く使われるようになりました。 ビジネスシーンでは「〜は役不足かとは存じますが」「役不足で申し訳ありませんが」などと目上の相手に仕事をお願いするときに「簡単なお仕事だとは思いますが」と謙遜する気持ちを表すクッション言葉として使います。 「役不足」は「力量が足りていない」という意味で使われることがありますが、これは誤用です。 例えば、「私が進行を務めるなんて役不足だ」といった使い方は間違いになります。 こうすると「自分の実力で進行を務めるなんて簡単だ」という意味になってしまいます。 この場合は「力不足」を使うのが正しいです。 「力が足りない」という意味で「役不足」を使ってしまうと、相手に自信家だと誤解されてしまうので注意してください。 「役不足」の類語には、「物足りない」「不十分」「楽勝」「相手にならない」「大したことない」「朝飯前」「簡単」「ちょろい」などがあります。 「役不足」と同じ意味で「役者不足」という言葉が使われています。ただ「役者不足」は造語なので、「役不足」を使うのが適切です。
例文