「お伺いしたい」という表現をビジネスシーンで見聞きすることが多いかと思います。「伺いしたい」の意味は理解していますか?そもそも正しい敬語なのでしょうか?今回は「お伺いしたい」の使い方を徹底解説していきます。
「お伺いしたい」は、「伺う」に接頭語の「お」と、謙譲語の「伺う」を使用した敬語表現です。 「伺う」は、「聞く」「伝え聞く」「尋ねる」「訪問する」「行く」の謙譲語の意味があります。 謙譲語とは、自分の動作をへりくだって表現することで目上の相手に敬意を示す敬語表現です。
「お伺いしたい」は、謙譲語の「伺う」に謙譲語の「お」をつけています。 一つの語に同じ種類の敬語を二つ以上使用してしまうことを二重敬語といいます。 よって、「お伺いしたい」は二重敬語です。 ただ、「お伺いしたい」は一般的にビジネスメールや電話でよく使用される表現であり許容されています。 「お伺いしたい」のように間違った文法や使い方であっても、使用している人が多いと常用化され「二重敬語だから使用してはいけない」と断定できなくなることはよくあります。 ただ、間違った使い方であることには変わりはないので、文章や沢山の人の前で話すといった場面では、正しい言い回しを使用するように心がけるべきでしょう。
「訪問する」ときの「伺う」は、「行く」という意味で、自分から目上の相手に出向くことを表しています。 なぜこの場面で「伺う」を使うのかというと、自分の都合で相手が時間を割いてくれていることに対して敬意を示す必要があるからです。 訪問する前に、メールや電話などで
というように相手の許可を得ます。
例文
「お伺いしたい」は「聞く」の謙譲語でもあり、「〜について聞いても良いですか?」と目上の人に質問をする場面で使用することもできます。 「〜についてお伺いしたいです」など、事前に聞きたいことがある旨をメールなどで伝えることができます。 目上の人に聞きたいことがある場合は、「お忙しい中お手数をおかけしますが」というようにクッション言葉を入れて申し訳なく思っている気持ちも伝えるようにすると丁寧です。 そして、対応をしてもらった際には「お忙しい中ありがとうございました」と相手への感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。
例文
「お伺いしたい」の正しい敬語は「伺いたい」です。 「伺う」が謙譲語なので「伺いたい」で敬語表現であるといえます。 ただ、接頭語だけでは丁寧さに欠けます。 目上の人に使用する場合、さらに丁寧語の「です」をつけた「伺いたいです」など丁寧な敬語表現にしましょう。
「伺いたく存じます」は、謙譲語の「伺う」に「思う」の丁重語である「存ずる」に丁寧語の「ます」をつけた表現です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 「伺いたい所存です」は、謙譲語の「伺いたい」に、「思っている・考え」の謙譲語である「所存」と丁寧語の「です」をつけた表現です。 したがって、「伺いたく存じます」「伺いたい所存です」は、「伺いたいと思います」と相手に伝えるより丁寧な敬語表現であるといえます。
「お伺いいたしたい」は「伺う」という謙譲語に、謙譲語の接頭語の「お」をつけているので二重敬語になるため誤用です。 「伺いいたしたい」であれば、謙譲語の「伺う」に「する」の丁重語である「いたす」を使用した正しい敬語表現になります。 丁重語は謙譲語の一種ではありますが、「謙譲語Ⅱ」という別の種類です。 したがって、「いたす」は丁重語であり厳密には謙譲語ではないので「伺いいたす」は二重敬語にあたりません。 ただし、「伺いいたしたい」が使用されることはあまりありません。 「伺いたい」と伝えるときは、「お伺いしたいです」「伺いたく存じます」などが一般的に使用されます。
「伺いさせていただきたい」は、謙譲語の「伺う」に「〜してもらう」の謙譲語である「させていただく」を使用しているため二重敬語です。 さらに、「させていただく」という表現は本来相手から許可を得てから使う文言になります。 文化庁は「基本的に他者の許可を得た上で、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合」に使うのが適切であるとしています。 したがって、相手からの許可を取り付けてから発言すれば問題はありませんが、「伺いさせていただきたい」と相手の許可を得ずに一方的に宣言するのは、不適切なので注意しましょう。
まず「伺う」の英語は、
などです。 「go visit」と表現する場合もあります。 「go」はその後に不定詞「to」を置かずに動詞を続ける用法が口語ではよく使われます。 例えば「Go play!」で「遊んできなさい」という意味になります。
「したい」の英語表現は、
などがあります。 最も一般的な表現が「want to」「wanna」です。 カジュアルな表現なのでビジネスシーンでは「would like to」が好まれます。 「I am thinking of ...ing」で「...することを考えている」という意味で「...したい」という気持ちを伝えることができます。
I'd like to go visit your office as soon as possible.
できるだけ早く貴社に伺いたいです。
I wonder if I can go to your place next week.
来週お宅に伺いたいのですが、大丈夫ですか。