「伺う」の正しい敬語表現をご存知ですか?一般的に「お伺いします」「おうかがいいたします」と表現されることが多いですが、実は間違った敬語表現であることをご存知でしょうか?今回は、「伺います」「お伺いします」「お伺いいたします」の敬語について解説しますので、参考にしてください。
▶「伺います」・・・正しい敬語 ▶「お伺いします」・・・厳密には二重敬語だが、一般的に使われている ▶「お伺いいたします」・・・二重敬語で過度な敬語表現であり、使用は避けるべき
「伺います」は、「伺う」という言葉に、「ます」という丁寧語をつけた言葉です。 「伺う」は、「聞く」または、「訪問する」の謙譲語です。 「伺います」は謙譲語+丁寧語なので、一般的によく使われる表現になります。 「伺います」だけでなく文頭に「ぜひ」「かならず」「よろこんで」などと一言添えると、「呼んでもらえてうれしい」といったニュアンスを表現することができます。
「お伺いします」は、「伺う」に謙譲語の「お」と、丁寧語の「ます」をつけた言葉です。 「お伺いします」は、「伺います」という謙譲語に、さらに謙譲語の「お」をつけて表現している言葉であるため、「お伺いします」は二重敬語であると言えます。 二重敬語は、誤った表現方法であり、使用することは避けるべきだとされていますが、「お伺いします」は慣習的によく使われる表現です。 「お伺いします」のように、間違った表現ではあるけれど、一般的に使用され、定着している言葉もあり「二重敬語だから使用してはいけない」と断定できない言い回しも多く存在します。 しかし、話し言葉では問題がなくとも、文章や沢山の人の前で話すといった場面では、正しい言い回しを使用するように心がけるべきでしょう。
「お伺いいたします」は、 「お」=謙譲語 「伺い」=「聞く・訪問する」の謙譲語 「いたす」=「する」の謙譲語 「ます」=丁寧語 で成り立っています。 上記の「お伺いします」で説明したように、「お伺いいたします」という表現は謙譲語が3つ使われた二重敬語になります。 同じ種類の敬語を重ねてしまったり、謙譲語と尊敬語を混在してしまったりといった表現は、とてもわかりにくい文章になってしまいます。 「お伺いいたします」は、二重敬語で過度な敬語表現のため、使用は避けるべきです。 また、「お伺いさせていただきます」もよくある表現ですが、二重敬語となります。 「お伺いさせていただきます」は、 「お」=謙譲語 「伺い」=「聞く」の謙譲語 「させて」=敬語ではない「する」の使役形 「いただく」=「もらう」の謙譲語 で成り立っている言葉なので、謙譲語が三つ含まれており、二重敬語となります。 「〜させていただく」は、「相手からの許可が必要なとき・恩恵を受けたとき」に使う表現になります。そのため、質問したり聞いたりする際に「お伺いさせていただきます」という言葉は使わない方が良いでしょう。
「伺いたい」「伺いたく存じます」は目上の人やビジネスシーンで使うことのできる正しい敬語表現です。 「伺いたい」は、「聞く・訪ねる」の謙譲語である「伺う」に、願望を表す「~たい」を使用した言葉です。 「伺いたい」は、相手を敬う謙譲語を使用した表現なので、目上の人に対して自分が「訪問したい」といった場面や、「何かを聞きたい」という場面で使用できます。 「伺いたく存じます」は、「伺う」という謙譲語に、願望の「~たい」と「思う」の謙譲語である「存じる」、丁寧語の「ます」を使用した敬語表現です。 「訪問したいと思います」「聞きたいと思います」という意味で、「伺いたく存じます」も目上の人に対して使用できる言葉です。
「お伺いを立てる」は、目上の人に問題がないか確認をしたり、意見を求める際に使用する言葉です。 「伺い」には「目上の人の指示や指図を求めること」といった意味があります。 「伺い」の敬語表現として「お伺いを立てる」となります。 「お伺いを立てる」も「伺う」という敬語に、謙譲語の「お」をつけた言葉なので二重敬語であり、正しい表現方法とはいえませんが、一般的に使用されている言葉であり、使用しても問題はありません。 直接目上の人に「お伺いを立てさせてください」と使うことができますが、この表現はかしこまりすぎており、クドい印象を与えかねませんので日頃から頻繁に使わないように注意しましょう。 堅苦しくない程度に丁寧に伝えるには、「伺う・確認する」などの言葉を使用したほうが自然です。
「伺います」「お伺いします」「お伺いいたします」について理解していただけましたか? ✓「伺います」が正しい敬語表現 ✓「お伺いします」は間違えではないが二重敬語 ✓「お伺いいたします」は、過度な敬語表現なので使用は避けるべき ✓「伺う」の正しい敬語表現は、「伺いたい」「伺いたく存じます」など
敬語の使い方が面白いほど身につく本
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