「ご尽力いただき」は相手が力を尽くしてくれたことにお礼を言う場面などで使用される表現です。ビジネスシーンでも使用することの多い表現ですよね。今回は「ご尽力いただき」の正しい使い方を例文付きで紹介します。「ご尽力いただき」の関連表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「尽力」は「じんりょく」と読みます。 「尽」は音読みで「ジン」、「力」は音読みで「リョク」と読みます。 「盡力」と書くこともできますが、一般的に「尽力」と書きます。
「尽力」は「力をつくす」という意味です。 「尽力」を使った場合は、”継続的な努力をする”と”人のために励む”という意味になります。 「目標達成のために尽力する」「問題解決のために尽力する」「町の復興のため尽力する」などと言います。 このように、相手に対して「頑張ります」「努めていきます」という意欲を伝える場合に「尽力」を使います。 「努力します」と言うこともできますが、「尽力します」と言った方が、「ただの努力ではなく、全身全霊で頑張っていく」という強い気持ちを伝えられます。
「ご尽力頂き」の「いただき」は「〜してもらう」の謙譲語です。 謙譲語の「いただく」は漢字で「頂く」と書きますが、「ご尽力」につける場合は漢字にせず「ご尽力いただき」と表記します。 謙譲語の「いだたく」を漢字にするのは、「大切にする」「敬う」「食べる・飲む」と「もらう」の謙譲語として使用する場合です。 「何かをしてもらう」という意味で補助動詞として使用する場合の「いただく」は平仮名で書きます。 したがって、「ご尽力いただき」の「いただき」を漢字にするのは誤用です。 ちなみに「御尽力」と「ご」を漢字にするのは間違いではないが、読みにくいため「ご尽力」が好まれる傾向にあります。
「ご尽力いただき」は、相手に何か協力してもらうなど力を尽くしてもらったときの感謝文で使用することができます。 「ご尽力いただき」は、「尽力」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけて、「〜してもらう」の謙譲語である「いただく」を使用している正しい敬語表現です。 上司など、目上の人はもちろん社内外の相手にも使用することができます。 「ご尽力いただきありがとうございました」というように、感謝を伝える言葉を続けてお礼の気持ちを伝えます。
「ご尽力いただき」は「ご尽力いただきまして」を省略した敬語表現です。 「ご尽力いただき」でも間違いではありませんが、「ご協力いただきまして」だとより丁寧です。 目上の人に使用する場合や、社外の人に使用する場合は「ご尽力いただきまして」を使用したほうがよいでしょう。
「ご尽力いただきますよう」は「協力してください」と相手に依頼をするときに使用します。 「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」で、「尽力してくれるようお願いします」という意味になります。 「〜ますよう」という表現は、断定する意味を避け柔らかいニュアンスでお願いをするために使用されています。 「ご尽力ください」も正しい敬語ですが、「ください」が「くれ」の尊敬語であるため、一方的に要望・要求するようなニュアンスになってしまいます。 特に目上の人に依頼をする場合は、「ご尽力いただきますよう〜」などより丁寧で断定を避ける表現にしましょう。
「ご尽力賜り」は、「尽力」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけ、「もらう」の謙譲語である「賜る」をつけた敬語表現です。 「ご尽力賜り」の後ろに感謝の気持ちを伝える言葉を述べます。 「賜る」には、「神の許可を得て、通行を許してもらう」という意味もあります。 つまり、「賜る」には相手に敬意を示すだけではなく「恐れ多い」という気持ちが込められています。 相手を敬う丁寧な表現ではありますが、日頃から使うことは、相手に違和感や不快感を与えかねません。そのため使い方や使い過ぎには注意が必要しましょう。
「ご尽力くださり」は、「尽力」に尊敬を表す接頭語の「ご」と、「くれる」の尊敬語である「くださる」をつけた二重敬語です。 二重敬語とは、一つの言葉に同じ種類の敬語表現を使用してしまうことです。 つまり、「ご尽力くださり」は尊敬語を二つ使用している二重敬語なので誤用であるといえます。 「ご尽力くださり」と伝えたいのであれば、「ご尽力いただき」を使用しましょう。
「ご尽力されている」も、「尽力」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「する」の尊敬語である「されている」を使用している二重敬語です。 「ご尽力されている」は二重敬語ですが、「○○の為にご尽力されている皆様...」というように、使用されていることも多いです。 二重敬語のように間違った文法でも、使用する人が多いために許容されて常用化している表現は沢山あるので、「ご尽力されている」と使用していても一概に「間違っている」とは言えません。 ただ、厳密には間違いであるため使用するべきではないでしょう。
「ご尽力を尽くす」は重言(じゅうげん)で誤用です。 「重言」とは「頭痛が痛い」「今現在」のように、同じ意味の言葉を重ねている表現のことを指します。二重表現と同義です。 「重言」は強調するためにあえて使用されることもあり、必ずしも誤用とは限りませんが、「ご尽力を尽くす」は間違いです。 「ご尽力を尽くす」ではなく「力を尽くす」もしくは「ご尽力する」と言い換えるのが正しいです。 「力を尽くす」を強調するために「全力を尽くす」としてもよいです。
「ご助力」は「ごじょりょく」と読みます。 「ご助力」は、「助力」という言葉に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「助力」は「力を添えること」「力を貸すこと」「手助け」「加勢」を意味する言葉です。 「助力」で使用する場合は、自分自身が助ける際に使います。「助けますよ」「力を貸しますよ」だと、少々軽い感じがするので、代わりに「助力」が用いられます。 相手に協力してもらうときの「助力」につく接頭語の「ご」は尊敬語です。 「ご助力いただきます」は「ご助力」に「してもらう」の謙譲語の「いただく」をつけた敬語表現です。 相手にお礼を伝える場面などで使用することができます。
例文
「お力添え」の読み方は、「おちからぞえ」です。 「力添え」の意味は、「力を添えること・手を貸すこと」です。 「力添え」に尊敬を表す接頭語の「お」をつけて「お力添え」となります。 さらに「してもらう」の謙譲語の「いただき」をつけた表現が「お力添えいただき」です。 「お力添えいただき」は「お願いをするとき」「お礼・感謝をするとき」「お詫び・謝罪をするとき」に使用することができます。 「お力添え」は「他人からの援助」を意味しているので、自分の行いに対しては使用できない言葉です。「お力添えさせていただきます」は誤用ですので注意しましょう。
例文
「ご支援」は「ごしえん」と読みます。 「ご支援」は「支援」に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「支援」の意味は「支えること・援助すること」です。 「ご支援いただき」は、「ご支援」に「してもらう」の謙譲語の「いただき」をつけた敬語表現です。 相手に支援してもらったことに対してお礼を伝える場面などで使用されます。
例文
「ご協力」は、「ごきょうりょく」と読みます。 「ご協力」の意味は、「ある目的のために心を合わせて努力すること」です。 「ご協力いただき」は、「協力」という言葉に接頭語の「ご」と、「してもらう」の謙譲語の「いただく」をつけた敬語表現です。 相手に協力してもらうときの「協力」につく接頭語の「ご」は尊敬語になり、自分が相手に協力する場合の接頭語の「ご」は謙譲語になります。 「ご協力いただき」は、目上の人に協力してもらったときにお礼をお伝える場面や、「協力してもらいたい」と依頼をする場面で使用することができます。
例文
「お手伝い」は、「手伝い」に接頭語の「お」をつけた言葉です。 「手伝い」の意味は「手助けすること」「助力すること」です。 「お手伝いいただき」は、「手伝い」に尊敬を表す接頭語の「お」、「してもらう」の謙譲語の「いただき」をつけた敬語表現です。 「お手伝いいただき」は相手に何か手助けをしてもらったことに対する気持ちを伝える場面や、依頼をする場面で使用することができます。
例文
「尽力」を意味する英語は、
などがあります。 動詞「尽力する」は英語で、
She has devoted herself to restoration support following the Great East Japan earthquake.
東日本大震災後の復興支援に彼女は尽力してきた。
目上の人の「尽力」つまり「お力添え」「ご助力」というニュアンスならば、
などが当てはまります。
Thanks to everyone's support, proposals have been submitted on the major problems in the Diet of Japan.
皆様の尽力のおかげで、日本の国会で主要な問題に関する議案が提出することができた。
いかがでしたか? 「ご尽力いただき」について理解を深めていただけたでしょうか。 「ご尽力いただきありがどうございました」と、相手にお礼を言う場面ってビジネスシーンでも多いですよね。 「協力してほしい」とお願いをする場面でも使用することができる表現なので、正しい使い方をしっかり覚えましょう。