「ごめんください」は、相手を訪問するときや電話を切るときの挨拶として使用される言葉です。今回は「ごめんください」の意味と由来、正しい使い方を例文つきで解説します「ごめんください」の言い換え表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ごめんください」の漢字は「御免下さい」です。 「御」は音読みで「ゴ」と読みます。 「免」は、音読みで「メン」と読みます。 「御免下さい」は、「免」に尊敬を表す接頭語の「御」に「くれ」の丁寧語である「ください」をつけた表現です。
自分の無礼を相手に詫びる表現として、使用されていた「御免」という言葉です。 「御免」は、「免」に尊敬を表す接頭語の「御」をつけた言葉です。 「免」には「ゆるす」という意味があり、接頭語の「御」をつけることにより、許す人を敬う表現になります。 「御免」は、「許してください」という意味で「御免あれ」「御免候」といった形で使用されていましたが、次第に「ごめんくだされ」や「ごめん」と省略して使用されるようになりました。 「御免ください」は、「御免させてください」という突然の訪問に対して相手に許しを請う表現が「ごめんください」に変化して、相手を訪問するときやその場を去るときに使用される挨拶として使用されるようになったと言われています。
「ごめんくださいませ」は、「めん」に尊敬を表す接頭語の「ご」と「くれ」の丁寧語である「ください」に、さらに「ます」の丁寧語である「ませ」をつけた表現です。 したがって、「ごめんくださいませ」は、丁寧語である「ください」と「ませ」の二つを使用している二重敬語であるといえます。 二重敬語とは、同じ語に二つ以上の同じ敬語表現を使用している間違った敬語表現です。 しかし「ごめんくださいませ」は間違った敬語表現でも多くの人が使用しているため、許容されています。「〜くださいませ」とすることで「〜ください」とお願いをするより柔らかい印象になります。
「ごめんください」は、「ごめん」という許しを請う言葉を使用していることからもわかるように、謝罪をする場面で使用することができます。 自分が相手に対して申し訳なく思っている気持ちを「ごめんください」で伝えることができます。 ただ、謝罪をする場面で「ごめんください」を使用することはほとんどありません。 謝罪をするときには、「ごめんなさい」と「お許しください」といった表現を使用するほうが自然です。
例文
「ごめんください」は、他家の訪問・退去の挨拶として使用されます。 他家の訪問をするときに、玄関先で「ごめんください」と中にいる人に声をかけます。 この場合の「ごめんください」は「訪問することを許してください」という意味です。 そして、用事を終えて退室するときにも「ごめんください」と挨拶します。 この場合の「ごめんください」は「おいとますることを許してください」という意味になります。
例文
「ごめんください」は、電話を切るときの挨拶としても使用されます。 ビジネスシーンなどで、電話で用件を伝えたあとに「それでは、ごめんください」と挨拶をします。 この場合の「ごめんくださいませ」は、「電話を切ることをお許しください」「お時間をとらせてごめんなさい」という意味合いで使用されます。 電話を切るときの「ごめんください」は、柔らかい印象になるように「ませ」をつけて「ごめんくださいませ」と言われることがほとんどです。
例文
「ごめんください」は、手紙で使用することもあります。 手紙で使用する場合は「前略ごめんください」という形で使用されます。 「前略」とは、時候の挨拶など手紙の前文を略すことです。 つまり、「前略ごめんください」は「前文を省略することをお許しください」という意味です。 「前略ごめんください」は、主に女性が手紙を書く時に使用する頭語で、結語は「かしこ」です。 「前略ごめんください」は、手紙で使用される言葉であり、メールではあまり使いません。 また、「前略ごめんください」は女性らしさを強調する言葉であり、そもそも前文を省略してしまうのは失礼なのでビジネスシーンでの使用は避けたほうが無難です。
「ごめんください」と謝罪をされた場合は、「お気になさらないでください」「全く問題ありません」など申し訳なく思っている相手の気持ちを気遣う言葉を伝えます。 特に相手が目上の人の場合は「今後は気をつけてください」など上から目線に感じるような返事をしないように注意しましょう。 相手が訪問をしてきたときに「ごめんください」と挨拶をされたら、「ようこそいらっしゃいました」「どうぞお上がりください」など、相手を出迎える言葉を伝えます。 相手が帰宅するときに「ごめんください」と言った場合は、「お気をつけてお帰りください」「どうぞまたお越しください」などと返事をします。 電話を切る時に「ごめんください」と言われたら、「ご連絡ありがとうございました」などお礼の言葉を伝えて「ごめんください」「失礼します」と返事をします。
「すみません」は、「相手に世話をしてもらったことを労い、迷惑をかけたことを詫びる言葉」です。 「すみません」は動詞の「済む」に丁寧語の「ます」が入った「済まぬ」に、打ち消しの助動詞「ぬ」がつき「済みませぬ」となり、それが現代では「すみません」となりました。 要するに「すみません」は、「済まぬ」の丁寧語となります。 「すみません」は、謝罪をするときだけではなく相手に何かを依頼する時にも使える言葉です。 お店などで料理の依頼や商品の在庫の確認の依頼をするために、店員さんに「すみません」と声をかけるなどがそうです。 ただしビジネスシーンでの依頼の場面で使うのはNGです。 「すみません」も丁寧語ではあってもやや軽い表現であり、謙譲語や尊敬語ではないためビジネスシーンには適していないので注意しましょう。
「失礼します」は、軽い謝罪の意味が含まれた言葉です。 「失礼します」は、相手の空間に入っていくことや時間を割くことへの敬意を表すことができます。 例えば会議室や相手の部屋に入室をする時、仕事中や他の人と話をしている最中に声をかけることなどが当てはまります。そのように人の間に入る時や人に何かを訪ねる時など相手に対して「失礼」がある場合に用いられます。 ビジネスシーンで「すみません」は基本的に用いませんが、「すみません、失礼します」などとセットで使う場合はあります。 「失礼します」は、入室する場面だけではなく、退室するときや電話を切るときにも使用できます。
「お邪魔」は、「相手の妨げになること」です。 「お邪魔します」で、訪問することをへりくだっていう表現になり、訪問するときや帰るときの挨拶の言葉として使用されています。 「お邪魔します」は、ビジネスシーンよりもプライベートの空間に入らせてもらうときに使用する言葉です。例えば、ホームパーティーに招かれて自宅に入れてもらったときなどです。 ビジネスシーンでは「お邪魔します」ではなく「ごめんください」「失礼します」と挨拶をします。
新潟県では、様々な場面で「ごめんください」を使用します。 例えば、訪問時の「ごめんください」は、挨拶の意味だけではなく「どなたかいらっしゃいませんか?」の意味が含まれています。 そして、訪問されて「ごめんください」と言われた側も「ごめんください」と返事をします。 また、新潟県では電話を切るときだけではなく、電話をしたときも「○○です。ごめんください」と挨拶をします。電話で「ごめんください」と挨拶をされたときの返事も「ごめんください」です。 さらに、「こんにちは」「こんばんは」といった挨拶としても「ごめんください」を使用します。 時間帯で使い分けることなく一日中「ごめんください」と挨拶をするのです。
「ごめんください」は、「ゴメンナサイ」「ゴメンケヘ」「ゴメンクナンシェ」など方言だと色々な言い方になります。 東北地方では、「エダカー(宮城)」「エダシカ(秋田)」「エダカ(山形)」「イダカー(福島)」と言われます。 「ごめんください」とは大きくかけ離れていますが、いるかいないかを問う「イタカー」が変化していったものだと言われています。 広島県の「オリンサルノー」山口県の「オイラシナハンセ」も「イタカー」が変化したものです。 関東では「ごめんください」と同じ意味で「コンチワ」と挨拶をする人も多いです。 このように、地方によって「ごめんください」の言い方が変わることがあります。 さらに新潟県のように、使い方も異なる場合もあります。
お店や友人宅に訪問した時に使うのは、
Hello? Is anybody here?
すいません。誰かいますか。
Hey! Is anyone home?
おーい。誰か家にいるか。
などになります。
店や他家から帰るときには「さようなら」と伝えればよいでしょう。
いかがでしたか? 最後に「ごめんください」について簡単にまとめます。