「ご清聴」は他人が自分の話を聞いてくれることを敬っていう語で、「ご清聴ありがとうございました」などと使います。「ご静聴」は「静かに聞くこと」の意味で、会場が騒がしい時に「ご静聴願います」などと注意して使います。
「清聴」の読み方は「せいちょう」です。 「清」は音読みで「セイ・ショウ」、「聴」は音読みで「チョウ」と読みます。
「清聴」は、「聞く」ことを敬っていう表現です。 人が自分の話などを聞いてくれることに対して、聞いてくれている人を高めて言う語が「清聴」です。 したがって、自分自身が相手の話を聞くという場合に「清聴」を使用することはできません。
「ご清聴」は尊敬語です。 「清聴」は、聞いてくれている人を敬った表現ですが「尊敬語」ではありません。 敬意を示すべき相手に使用する場合は接頭語の「ご」をつけて使用します。 接頭語「お(ご)」は文脈によって敬語の種類が変わります。 この場合、話を聞くのは相手なので「清聴」につく接頭語の「ご」は尊敬語です。 接頭語の「ご」をつけることで、相手のことを高めることで敬意を示す「尊敬語」として使用することができます。
「ご清聴」は自分の話を聞いてくれた相手に対してお礼を伝える場面で使用されます。 例えばスピーチなどフォーマルな場面や、ビジネスシーンでもプレゼン、研究発表会などの締めの言葉として、聞いてくれていた相手に敬意を示すと共に「最後まで聞いてくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えます。 司会者など第三者が、「ご静聴ありがとうございました」とお礼を述べることもあります。 ただ、「ご静聴」は「自分の話を聞いてくれた相手を高める語」なので、第三者が「ご清聴ありがとうございました」と使用するのはふさわしくありません。 「ご清聴ありがとうございました」は、話をした本人が使用する言葉であるということを覚えておきましょう。 「ご清聴ありがとうございました」でも、尊敬を表す接頭語の「ご」がついているので十分目上の人に対して使用することが可能ですが、「ご清聴くださり、」などとするとより丁寧な敬語表現になります。 「ご清聴くださり」は、「ご清聴」に「してくれる」の尊敬語の「くださり」をつけた言葉です。
例文
「ご清聴ください」は誤用です。 「ご清聴ください」で「聞いてください」という意味になりますが、話をする前に「私の話を聞いてください」とお願いをするのは上から目線に感じてしまい、失礼にあたります。 「清聴」は、話を聞いてくれた相手を高めてお礼を伝える言葉です。 司会者など第三者であっても「ご清聴ください」とお願いをすることはできません。
「ご静聴」は「ごせいちょう」と読みます。 「ご静聴」は「静聴」に接頭語の「ご」をつけた表現です。 「静聴」の意味は「人の話や講演を静かに聞くこと」です。 「ご清聴」は「話を聞いてくれている人を高めて言う語」ですが、「ご静聴」は「静かに聞くこと」であり、聞いてくれている人を敬う気持ちは含まれていません。 「ご静聴」を使用する場面は、「話を聞いてください」とお願いをするときです。 私語をせずに静かに聞くことを求める掛け声として「静聴!静聴!」ということもありますが、フォーマルな場面では、司会者など第三者が「ご静聴ください」とお願いをするのに使用されます。 ただ、「ください」は「くれ」という命令の丁寧語であり、一方的に要望・要求するようなニュアンスになってしまいます。目上の人に使う場合はより丁寧な表現にした方がよいでしょう。 より丁寧に「ご静聴ください」とお願いをする表現としては、
などがあります。 また、「ご静聴」は話を聞いてくれたことに対してお礼を述べるのには適していません。 「ご静聴ありがとうございました」では、「静かに聞いてくれてありがとう」というニュアンスになるため上から目線にも感じられます。 話した本人であっても、第三者であっても「ご静聴ありがとうございました」は不適切です。 感謝の気持ちを伝えるときは「ご清聴ありがとうございました」を使用しましょう。
例文
「ご清覧」は「ごせいらん」と読みます。 「清覧」の意味は「手紙文などで、相手が見ることを敬っていう語」です。 「清覧」についている接頭語の「ご」は尊敬語です。 例えば「ご清覧ください」といった場合は「自分が書いたものを見てください」といったニュアンスになります。 相手が見ることを敬意を示して言い表す類語には「ご高覧」があります。 「ご高覧」は「ごこうらん」と読みます。 「高覧」は「他人が見ること」を意味する尊敬語です。 目上の人に、文章や商品を見てもらうことをお願いするときに使用します。 「ご視聴」は「見ること・聞くこと」です。 テレビのように、見ることと聞くことを両方同時に行う事を「視聴」といいます。 「ご視聴ください」で「見てください・聞いてください」という意味になります。
「ご清読」という言葉はありません。 正しくは「ご精読」ですので注意しましょう。 「精読」は「内容をよく考えながら、細かい所まで丁寧に読むこと」です。 熟読することを「精読」といいます。 「ご精読」は「精読」に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 自分の渡した企画書などを読んでもらって、お礼を伝える場面で「ご精読ありがとうございました」などと使用します。
「ご清祥」は「ごせいしょう」と読みます。 「ご清祥」は、「清祥」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「清祥(せいしょう)」は、「手紙文で、相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶ挨拶の語」です。 「ご清祥」で「相手方の健康であることを祈り、幸せに暮らしていることを喜ぶ」といった意味合いの言葉になり、手紙やメール、またスピーチなどの挨拶として使用されます。 個人宛にも組織宛にも使うことができるが、個人宛に使されるのが一般的です。 「ご清栄」は「ごせいえい」と読みます。 「ご清栄」は、「清栄」に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「清栄」とは、「清く栄えること」を意味しています。 「ご清栄」で、手紙文などで相手の無事、健康と繁栄を喜ぶ挨拶の語になります。 「ご清栄」は、相手の健康と繁栄を喜ぶという意味合いになるため、個人だけでなく組織に対しても使うことのできる言葉になります。
「拝聴」は、「はいちょう」と読みます。 「拝聴」は「聞く」の謙譲語で、「つつしんで聞く」という意味です。 「ありがたく聞くこと」を「拝聴」といいます。 「拝」は「拝む(おがむ)」ことを表す言葉なので、謙遜の気持ちを表すときによく使います。 したがって、自分に対して使用する言葉であり、相手が「聞く」ということを言い表す場合には使用することはできません。 そのため、「拝聴してください」は誤用となります。 「謹聴」は「きんちょう」と読みます。 「謹聴」は「謹んで聞くこと」で、「拝聴」と同義です。 ただ、「謹聴」は 演説会などで、「静かに聞く」の意で聴衆が発する語でもあります。 相手に「謹聴」と言うことによって「静かに聞いてください」ということを伝えることができます。
「傾聴」は「けいちょう」と読みます。 「傾聴」は「耳を傾けて。熱心に聞くこと」という意味です。 相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に「聞く」ことを意味する言葉であり、特に敬語表現ではありません。
「お疲れ様」は「仕事で疲れている相手に労いを表す語、帰宅する人に対する挨拶」です。 例えば、「交渉お疲れ様です」「伝票整理お疲れ様です」といったように用います。 仕事を終えて帰宅する人に対して、自分が他の人よりも早く帰る場合にも「お疲れ様です、お先に失礼します」といったように挨拶として用いることもできます。 「お疲れ様」は本来目下の人を労う言葉であり、目上の人に使用する言葉ではないと言われています。 ただ、昨今では立場関係なく挨拶として「お疲れ様」は使われてるので、目上の人に使用したとしてもさほど問題はありません。 「ご苦労様」は「相手が尽力したことに対しての労いを表す語」です。 「ご苦労様」は、目上の人から目下の人に対して使います。 「ご苦労様」は相手をねぎらう表現で「よく頑張った」というニュアンスがあるため、目上の人に使ってしまうと、上から目線な印象を与えてしまいます。 目上の人に対して使用するにであれば、「ご苦労様」ではなく「お疲れ様」を使用するようにしましょう。
「ご教示」は、「教示」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「教示」は「知識や方法などを教え示すこと」を意味する言葉です。 「指示をあおぎたい」「アドバイスを求めたい」といった場合には「ご教示」を使用します。 「ご教授」は、「教授」という言葉に、尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「教授」の意味は、学術、技芸などを教えること。養護、訓練とならぶ教育上の基本的な活動、作用のことです。 「ご教示」は、「専門的な知識や技術を教え授けてください」というような意味で使用される言葉で、楽器やスポーツなど専門的な知識や技術をある程度の期間、継続的に教えてほしい場合に使います。
「ご清聴」の英語は「listening」でOKです。
Thank you for listening.
ご清聴ありがとうございました。