ビジネスシーンでよく見聞きする「お気になさらないでください」ですが、正しい意味は理解していますか。このままの形で上司に使っても問題ないのでしょうか?今回は「お気になさらないでください」の使い方を徹底解説していきます。
「お気になさらないでください」は、「気にしなくても大丈夫・問題ない」という意味です。 自分を気にかけてくれている人に対して「気を使わないで」という謙遜・遠慮の意味で使用することもあります。
「お気になさらないでください」は
を使用した正しい敬語表現です。 尊敬語を二つ使用しているので二重敬語なのでは?と思う人も多いかもしれませんが、修飾している語が違うので、二重敬語ではありません。 二重敬語とは、一つの語に対して同じ種類の敬語表現を重ねて使用してしまうことをいいます。 したがって、尊敬語+尊敬語+丁寧語である「お気になさらないでください」は目上の人に使うことができる正しい敬語表現であると言えます。
「お気になさらないでください」は、他人を慰める場面で使用することができます。 例えばビジネスシーンなどで相手がミスをしてしまったときの謝罪・お詫びに対する返事として使用することができます。 「大丈夫なので気にしないでください」といったニュアンスです。 目上の人や社外の人に謝罪された場合に「お気になさらず」と返事をするのは少しカジュアルすぎるので、「お気になさらないでください」と返します。 何かショックを受けるようなことがあったり、落ち込んでいたり動揺している人に対して、「気にしないほうがいいよ」と励ますときに使用することもできます。
例文
「お気になさらないでください」は、他人に気を使わないでもらいたい時に使用することも多いです。 「私に気を使う必要はありませんよ」という意味です。 例えば、人様の自宅に上がりお茶や茶菓子を出そうとする人に対して「お気になさらないでください」で、相手の配慮や気遣いを丁寧に断ることができます。 遠慮する意味で使用することが多いですが、状況によっては素直に感謝の気持ちを伝える方が無難な場合もありますし、逆にお礼を言うと図々しい場合もありますので状況を見て発言内容は決めましょう。
例文
自分に対してこれ以上「干渉しないでほしい」という意味で使用することもあります。 例えば、体調を崩してしまった自分に対して相手が心配して色々してくれようとしている場合など「ありがたいけどそっとしておいてほしい」というときに「お気になさらないでください」と伝えます。 この「お気になさらず」の使い方は、言い方によってはぶっきらぼうに聞こえたり、嫌味に聞こえたりするので注意が必要です。 「お気持ちはありがたいのですが...」など相手に対する感謝の言葉と一緒に伝えると良いでしょう。
例文
「お気に溜められませんよう」は、「おきにためられませんよう」と読みます。 「気に留める」は「心に留めておく」「忘れないでおく」という意味で、「気にする」「心配する」という意味でも使用される言葉です。 「気に留める」に尊敬を表す接頭語「お」と丁寧語の「ません」をつけて「お気に留められませんよう〜」とすることで、目上の人に対して「気にしないでください」「心配しないでください」と伝えることができる表現になります。
「お気遣いなく」は「おきづかいなく」と読みます。 「お気遣いなく」は、「気遣い」という言葉に、接頭語の「お」打消しの「なく」をつけた言葉です。 「気遣い」とは、「あれこれと気をつかうこと」です。 「心配して気をつかう」という場合や、「お祝いごとにプレゼントを用意する」というような心配りを「気遣い」といい、相手が気遣ってくれたという場面で「お気遣いありがとうございます」というように使用します。 つまり、「お気遣いなく」は「なく」という打消しの言葉を伴っている為「心配しないでください」「気をくばらないでください」という意味であるということになります。 ただし「気遣いなく」は、「お気遣いなさらないでください」というように表現するところを動詞を省いて「お気遣いなく」として使用しているため、目上の人に使う場合は「お気遣いなく」だけでは失礼だとされています。 目上の人には「お気遣いなさらないでください」もしくは「お気になさらないでください」を使用しましょう。
「結構です」は「けっこうです」と読みます。 「結構です」は「必要ないです」という意味で使用される言葉です。 例えば、「こちらの商品只今無料で配らせていただいておりますがいかがですか」と聞かれ、「結構です」と答えた場合「いらないです・必要ありません」という意味になります。 「結構です」は「です」がついて敬語のように思われがちですが、目上の人に使用するのは失礼にあたりますので注意しましょう。
「お構いなく」は「おかまいなく」と読みます。 「お構いなく」の意味は、「気をつかわないでください」という意味です。 「お構いなく」は、「構う」に接頭語の「お」をつけて、打ち消しの「なく」をつけた言葉です。 「構う」は「こだわること・気を使うこと」という意味で、打ち消しの「なく」がついているので「気を使わないで」という意味になります。 なので、相手の気遣いや配慮に対して「気にしなくて大丈夫ですよ」と謙遜する気持ちを伝える言葉であるということがわかります。 「お構いなく」接頭語の「お」をつけた尊敬語ですが、敬意を示す度合いが低いため、ぶっきらぼうに聞こえる可能性があります。 「お構いなく」は近所の人など親しい人に口語で使うのが普通です。 ビジネスシーンやあらたまった場面では避けるのが無難であると言えるでしょう。
「お気になさらないでください」の英語は「Please don't worry about it.」です。 「そのことは心配しないでください」という意味です。 「It's not a big deal.」で「たいしたことではない」という意味で、「Please don't worry about it.」と併用することができます。