「ありがたい(有り難い)」は形容詞で「感謝したい気持ち」または「とても尊い」を意味する言葉です。「ありがたいです」はお礼や依頼をする時に使うことができますが、ビジネス敬語としては一般的ではないので注意です。そこで今回は「ありがたい」の詳しい意味と使い方、語源、敬語表現、類語、対義語、英語を徹底解説していきます。
「ありがたい」の漢字表記は「有り難い」または「有難い」です。 ただし、ひらがな表記する方が一般的です。 「今日は(こんにちは)」「今晩は(こんわんは)」「御免なさい(ごめんなさい)」など挨拶等で使用する表現はひらがな表記が一般的です。
「ありがたい」の語源は古語「有り難し」です。 現代では形容詞の原型は「い」で終わりますが、古語では「し」で終わります。 「有り難し」は漢字を見れば分かる通り、「有ることが難しい」という意味で、原義は「存在することが稀」「生存しにくい」になります。 ただし、現在はその意味で使うことはほとんどありません。
上記の意味から転じて、「ありがたい」は ①またとなく尊い。もったいない ②感謝したい気持ちだ。身にしみて嬉しい という意味で使います。
「ありがたい」と同語源の言葉には「ありがとう」があります。 「ありがたし」の連用形「ありがたし」がウ音便化し「ありがとう」に変化しました。 「ありがとう」の語源をポルトガルの「オブリガート(Obrigato)」とする説もあるが、 ポルトガルとの貿易を開始する前から「ありがとう」という大和言葉が存在していたことから、 この説の信憑性は薄いでしょう。 「ありがとうございます」は古くは「有り難ふ御座りまする」と言っていました。
「ありがたい」に丁寧語「です」を組み合わせた表現に「ありがたいです」があります。 「ありがたいです」は正しい敬語で文法的な誤りはありませんが、「〜です」という表現は稚拙な響きがあり、ビジネスシーンではあまり推奨されません。 「嬉しいです」などもまた然りです。 「です」を使ったNG敬語には「わかったです」「なるほどですね」など文法的に誤った表現も多く見受けられますので、注意しましょう。
「ありがたいです」を「ありがたい限りです」とする、丁寧さが増します。 丁寧語「ございます」を使い、「ありがたい限りでございます」とするとより丁寧です。 「ありがたい限りです」「ありがたい限りでございます」は「ありがたいです」よりもマジですが、どちらもビジネス敬語としては一般的ではありません。 ビジネスメールなどの書き言葉ではなく口語のみで使う方がよいでしょう。
「ありがたい」の敬語表現には「ありがたく思います」もあります。 「思う」の謙譲語「存じる」を使い、「ありがたく存じます」とするとより丁寧です。 繰り返しになりますが、「ありがたく思います」「ありがたく存じます」も正しい敬語ですが、あまり一般的なビジネス敬語ではありません。 「ありがたいと思います」と表現することも可能ですが、これは子供じみた響きがあるので注意です。
「ありがたい」は感謝と依頼をする時に使うことができる表現です。 感謝の意を伝える時は「ありがたいです」と単体で使い、依頼表現では「ご連絡いただけると、ありがたいです」などといったります。 しかしすでにお伝えした通り、「ありがたいです」という表現は稚拙な響きがあるためビジネスシーンではあまり使われませんので注意しましょう。
「ありがたい」を「尊い」という意味で使い、他の敬語表現と一緒に使えば、ビジネスシーンでも使うこともできます。 「ありがたい」は名詞を修飾します。「ありがたいお言葉」などと、敬語の接頭語「ご」「お」と一緒に使うとよいでしょう。 「ありがたい気持ち」とした場合は、「ありがたい」は「尊い」という意味ではなく「感謝」の意味なのでここでは当てはまりません。
例文
「ありがたい」は「ありがたいですが」などの形で、誘いを断るクッション言葉として使うことができます。 「ありがたい」は感謝する気持ち、嬉しい思いを表現することができるので、丁寧に断ることができます。
例文
「ありがたいことに」は副詞的に使い、「嬉しいことに」「幸せなことに」を意味します。 「ありがたいことに」という表現もビジネスでも日常生活でも幅広く使うことができます。
例文
「助かります」は丁寧語の「ます」が付いているため、正しい敬語です。 しかし、目上の人に依頼・感謝するときに使うと、上から目線な響きがあり相応しくありません。 知人や同等、目下の人に対して使う分には問題ありません。 「助かる」というのは目上の者が目下の者に対して使う言葉であり、主従関係が感じられますので、使う際は注意しましょう。
ビジネスシーンの依頼表現で使えるのは、
などです。
例文
ビジネスシーンでお礼を言う時に使える表現には
などがあります。 「ありがとうございます」は主に口語で使います。 「恐縮」は謝罪する際にも使うことができます。
「ありがたい」は「あることが難しい」というのが原義なので、「あることが難しくないで」という意味の言葉が対義語になります。 それは「当たり前」です。
「有り難い」の漢字だけ反対にすると「無難(ぶなん)」になります。 「無難」は「これといって特色はないが、非難すべき点もない」という意味なので、対義語にあたりません。 「無難」の類語は「平凡」「当たり障りない」などがあります。
感謝を述べる英語表現は、
などがあります。
I appreciate your coming.
君が来てくれたありがたい。
I am always grateful for his advice.
彼の助言をいつもありがたく思います。
丁寧に依頼する英語表現には It would be appreciated if you could...:...していただけると幸いです などがあります。 「appreciated」の代わりに「great」「helpful」など入れることも可能です。
It would be much appreciated if you could reply as soon as possible.
なるべく早くご返信いただけると誠に幸いでございます。
「ありがたいことに」は英語では「fortunately」です。
Fortunately, we got back home before it started to rain.
ありがたいことに、雨が降る前に帰宅できた。
いかがだったでしょうか? 「ありがたい」の意味と使い方は正しくご理解いただけたでしょうか? それでは最後に「ありがたい」についてまとめたいと思います。 ✔「ありがたい」の意味は「感謝」「尊い」 ✔「ありがたい」はビジネスシーンではお礼・依頼ではあまり使われない ✔「ありがたいお言葉」「ありがたいですが」「ありがたいことに」などの形でビジネスシーンで使う ✔「ありがたい」の敬語には「ありがたい限りでございます」「ありがたく存じます」などがある ✔「ありがたい」の英語は「appreciate」