「結構です」はよく使われる言葉ですが、どのような場面で使用できるのでしょうか。「結構です」には肯定と否定の2つの意味があるため、正しい使い方を知っておくと、ビジネスシーンでも日常会話でも使えるようになります。意外にも意味や使い方、目上の人に使えるかなど知らなかったりしますよね。そこで今回は「結構です」の意味や使い方、類語について解説していきます。
「結構です」は「それで満足なさま」という肯定の意味を表します。 自分が満足・納得していることを表したり、相手に許可を出したり、相手の提案を承諾したりするときに使います。
「結構です」の例文
「結構です」は上記とは真逆である否定の意味でも使います。 「結構です」は「もう必要ありません」という断りを入れるときに使います。
「結構です」の例文
「結構」の原義は「物事の構造や組み立て」で、建築物や文章に対して使います。 「結」と「構」の漢字の意味から考えると、熟語にこの意味があるのは納得ですが、現代ではこの意味でほとんど使われず、違和感がありますよね。 上記の意味から転じて、「よく出来上がっている」「申し分ない」「すぐれている」という意味になりました。 この意味では(自分ではなく)相手側に関係する事柄について、肯定的な評価をするときに使います。
「結構」の例文
そして、この「結構」を自分に対して使うと「満足している」という意味になります。 自分の状態が申し分ない=満足、ということになります。 「結構です」は、肯定・否定どちらの使い方でも「満足している」という意味が含まれます。 肯定で使う「結構です」は「それによって満足できる」という意味であり、断りで使う場合は「すでに現状で満足なので、不要である」という意味です。 例えば、居酒屋の注文で「ビールで結構です」と言えば、「ビールによって私は満足できるので、ビールを下さい」という意味になります。 「ビールは結構です」と言えば、「ビールはもう満足いくほど飲んだので(いつも飲んでいるので)、必要ないです」という意味になります。
「結構です」には肯定と否定の真逆の意味があるため、相手に誤解される可能性があるので注意が必要です。なるべく「結構です」単体では使わず、下記のように他の言葉を添えて使いましょう。
肯定の場合は、
断りの場合は、
または「こちらは十分頂いたので、結構ですよ」「カタログと同じ色でなくても、結構です」など具体的に書くことで、コミュニケーションの齟齬を回避することができます。
「結構です」は、ビジネスシーンで目上の人に対して使うのは避けた方がよい表現です。 第一に目上の人に対して許可を出すということ自体が失礼で、「結構です」というのは上から目線な響きが強いです。 また「結構」は「完璧ではないが十分だ」「予測より程度が良い」というニュアンスであり、目上の人に対しては失礼です。 断りで使う場合は、相手に失礼がないように、より気を付けなければなりません。 肯定の場合は、「〜でお願いします」「それで問題ありません」「こちらで差し支えございません」と答えるのが適切になります。 断りの場合は、「ありがとうございます。せっかくですが、今回は◯◯なのでお断りします」「また別の機会にお願いします」などと言い換えることが必要です。 ただし、目上の人に対しても、文中で「結構です」を使うことはできます。 例えば、「最後の項目だけの結構ですので、ご査収のほど願います」などと使うことができます。 「結構です」は基本的に目下の者に対して使う表現だと覚えておきましょう。
「結構です」の敬語は正しいです。 「です」は断定の丁寧語です。 「結構であります」「結構でございます」とすると、さらに丁寧な敬語になります。 敬語表現を変えても、上記の問題が残るので、上司や取引先、客に使うことはできませんので注意してください。
「結構です」は目下の者に対して使う表現としましたが、時に冷たい印象を与えてしまうことがあります。 「これでよろしいですか?」と聞いたときに上司から「結構です」とだけ言われたら、「ぶっきらぼうな言い方だな」「愛想がない人だな」「怒っているのかな」と思いませんか? なので、部下に対しても「結構です」は単体で使わず、感謝の言葉や理由を添えるようにしましょう。 例えば、「結構です。対応ありがとう」「間に合っているから、結構ですよ」などです。
「結構ですか」「結構でしょうか」「結構でしたでしょうか」など、疑問文で「結構です」を使うのは間違いです。 上述した通り、「結構です」は「自分が満足している」という意味なので、他人が満足しているか否かを聞くときには使うことはできません。 代わりに「よろしいですか」「問題ございませんか」などを使うのが正解です。
「大丈夫です」を言い換えた例文
肯定の「結構です」の言い換えには「構いません」があります。 「構いません」も許可を出すニュアンスと「悪くはない」という意味合いがあり上から目線なので、目上の人には使わない方がよい表現です。 「結構です」と同じく、文中ならば目上の人に使うことができます。 逆に「〜で構いませんか?」という形で、自分の都合で何か行うことについて相手に許可を求める場合は、目上に使うことができます。
「構いません」の例文
「結構です」「構いません」の言い換えとして、目上の人に使える表現には「問題ありません」「差し支えありません」があります。 「問題ございません」「差し支えございません」ならば、さらに丁寧です。 これらの表現には、「完璧でないが十分だ」という意味合いはなく、許可を出すときに使うわけでもありません。
「お気遣いなく」は、「そのようなご心配はなさらないで下さい」といった意味で使います。 例えば、訪問先でお茶を出されたときに、「お気遣いなく」と言ったりします。 「お気遣いなく」の後に、「お気持ちだけで十分です」だったり「お気持ちだけ頂戴します」と加えて言うこともできます。 「お気遣いなく」は略した表現なので、目上の相手に使うと失礼にあたる場合があります。 目上には「お気遣いないようお願いします」「お気遣いなさらないで下さい」などと完結した文章で使いましょう。 目下や同等の相手であっても「どうぞお気遣いなく」「どうかお気遣いなく」など冒頭に言葉を足すと丁寧になります。
「お気遣いなく」の例文
「遠慮します」の例文
目上の人であっても、きっぱりと断りを入れなくてはいけないシチュエーションもあります。 そんなときは強意的ですが「お断りします」を使います。
「お断りします」の例文
「結構です」の英語表現を見ていきましょう。 「結構です」は英語で「okay」「good」「fine」などを使うのですが、ポイントは主語になります。 「That's good.」と言うと「肯定」の意味になりますが、 「I'm good.」と言うと「否定」の意味になります。 この英語のややこしさは日本語の「大丈夫」「結構」ととても似ていますよね。
「Would you like some water?」- 「No, I'm good. Thank you.」
「お水入りますか?」-「いいえ、結構です。どうもです」
否定するときの「結構です」は「No, thank you.」も使います。 「No, thank you.」はレストランで断るときなどに使うことが多いです。日常会話で友人間や家族間で使うと少し堅い印象のフレーズになります。 否定する「結構です」は「Don't worry about it.」などと言うことも可能です。 否定の「結構です」を言ったあとは、基本的に「Thank you.」を言うのがマナーです。 相手が気にかけてくれたことに対する感謝です。日本語ではあまりわざわざ「ありがとうございます」とは言いませんが、英語圏では言う方が自然です。