「お楽しみください」はすでに目上の人に使用することができる敬語表現です。接客などでも使用することが多い言葉ですが、正しく使用できているでしょうか。今回は「お楽しみください」の意味と敬語、使い方を例文付きで詳しく解説します。また「お楽しみください」の類語表現も合わせて紹介しますので是非参考にしてください。
「お楽しみください」は、「心を満たして安らいでください」「たのしく思ってください」という意味です。 「お楽しみください」は「楽しみ」に尊敬を表す接頭語の「お」と「くれ」の尊敬語である「ください」をつけた敬語表現です。 よって、目上の人に対して使用することができます。
「お楽しみください」は、「お楽しみになってください」の「なって」が省略されたものです。 本来、省略形は敬意が落ちるとされていますが、これらの「なって」を省略した言葉は慣習的に使われており省略されていない形との敬意の違いを意識して使っている人はほとんどいません。 また、「お飲みになってください→お飲みください」や「お触りになってください→お触りください」など「なって」が省略されたほうが自然な言葉は多くあります。 「お楽しみください」も省略した形で使われることが多く、「お楽しみになってください」より自然に聞こえます。
「お楽しみください」は「お楽しみくださる」の命令形です。 「お〜くださる」は動作について、目上の人を高める尊敬語です。 例えば「神様がお守りくださる」などと使います。 「お楽しみください」は命令形なので目上の人への使用を避けるべきだという意見もありますが、実際にビジネスシーンなどでも日常的に使用されており、使っても全く問題ありません。 「お楽しみください」は「お楽しみくださいませ」だとより丁寧です。 「ませ」を使用することで、丁寧な気持ちを込めて相手に何かを依頼・懇願する表現になります。
「お楽しみいただければ幸いです」とするとより丁寧な敬語になります。 「お」は尊敬語、「いただく」は謙譲語、「です」は丁寧語です。 したがって、「お楽しみいただければ幸いです」は二重敬語でなく、謙譲語も含まれ、かつ命令形になっていない丁寧な敬語表現であるといえます。 「楽しんでいただけると幸いです」「楽しんでいただけますと幸いです」だと命令形ではないですが尊敬語が入っていないので、「お楽しみください」の方が敬語としてベターといえます。(これらの敬語の丁寧さを厳密に比較することはできません)
「楽しんでください」は「くれ」の尊敬語である「ください」を使用した敬語表現ですが、口語なので注意しましょう。 口語とは日常的な会話の中で用いられる言葉遣いのことをいいます。 特に文章で書く場合は、口語ではなく文語で表記する必要があります。 親しい間柄であれば問題ありませんが、目上の人に対してやビジネスシーンなどやかしこまった場面では、口語ではなく「お楽しみください」を使用しましょう。
「お楽しみに!」は「お楽しみください」と使う場面が違います。 「お楽しみください」は何かを楽しむ直前に使うが、「お楽しみに!」は少し先のことを期待していてくださいという意味で使います。 「お楽しみに!」は「楽しみに待っていてください」を略して、「お」を後から付けたものです。 間違った日本語ではありませんが、宣伝や広告などでのみ使用される特殊な言い回しといえます。 目上の人を目の前にして「お楽しみに!」ということはありません。
「楽しみに」という表現は、「会えることを楽しみに待っている」というように、将来起こることに対して期待する様子を言い表す場合に使用します。 なので「楽しみにご覧ください」など、「楽しみに〜ください」という使い方は不自然です。 「見ることを楽しんで」と伝えたいのであれば、「ご覧になることをお楽しみください」となります。
「お楽しみください」は、レストランの店員さんがお客さんに対して使用します。 レストランでは来店したお客様をもてなすときに、「食事をお楽しみください」と伝えます。 またテーマパークなどエンターテイメント業に従事している方が、お客さんに対して使うこともります。 接客で使用する場合、「楽しんでほしい」という気持ちをより丁寧に伝えるために「ぜひ」や「どうぞ」を頭につけることが多いです。
例文
「お楽しみください」は、飲み会や宴会の司会者が使用することもあります。 飲み会や宴会がはじまり、乾杯の挨拶が終わった後に「それでは皆様、しばしご歓談をお楽しみください」などと伝えます。
例文
結婚式の司会者が、参列者に向けて「お楽しみください」と伝えることも多いです。 また、進行をしていくときに演目と演目の間などで「それでは引き続き〜をお楽しみください」と伝えることもあります。
例文
「ご堪能」は「ごたんのう」とよみます。 「ご堪能」は「堪能」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「堪能」は「十分に満ちること」「あきたりすること」を意味します。 したがって、「ご堪能ください」は「十分に満足してください」の丁寧な表現です。 主にレストランなどでお客様に料理を出す時に使用します。 また食事についてのことだけでなく、旅行やイベントでも「楽しんでください」というニュアンスで使用することもあります。
例文
「ご賞味」は「ごしょうみ」と読みます。 「ご賞味」は「賞味」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「賞味」は「ほめて味わうこと」を意味します。 ”単に味わうこと”ではなく、”褒めたたえながら味わうこと”というニュアンスです。 よって「ご賞味ください」は、「美味しいので、食べてみてください」という意味合いになります。 「ご賞味ください」は料理人や店員などが、自分・自社の商品をアピールするための言い回しで、「しっかりと味わって、吟味してほしい」というときに使います。 自分が手土産として持ってきた物に対して「ご賞味ください」と使用してしまうと相手に「これは美味しくて素晴らしいものです」という意志を押し付けていることになってしまうので、使用する場面には注意しましょう。
例文
「ご笑味」は「ごしょうみ」と読みます。 「ご笑味」は「笑味」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「ご笑味」は「つまらない物ですが笑って食べてください」と謙遜して言う語です。 「ご笑味ください」と食べ物を人に贈るときに使われます。 ただし、あまり一般的な言葉ではないうえに口頭で伝えると「ご賞味ください」と勘違いしてしまう人が多いため、メールや手紙で使われることが多くなっています。
例文
「笑納」は贈り物をする際、「つまらない物ですが笑って納めてください」という意味です。 「ご笑納ください」は、「差し上げる品は大したものではないですが、笑って受け取ってください」という謙遜の意味で使用され、食べ物以外の贈り物をする場合にも使用することができます。
例文
「ご歓談」は「ごかんだん」と読みます。 「ご歓談」は「歓談」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「歓談」の意味は「楽しく話し合うこと」です。 うちとけた談話を「歓談」といいます。 したがって、「ご歓談ください」は、「会話を楽しんでください」という意味になります。
例文
「ご期待ください」は「望ましい状態や結果をあてにして心待ちにしてください」という意味です。 「ご期待ください」は「楽しみにしています」に対する返事として使うことができます。 例えば、「次回のプレゼンたのしみにしていますね」と言われた場合に「楽しみにしてください」と返すと上から目線にも感じてしまいますので「どうぞご期待ください」を使用します。 ただし、余程自信があるのだと捉えられる可能性があるので注意が必要です。 しかし、自信を持って楽しみにしていてくださいと伝えられるということは、決して悪いことではないので自信があるときは「どうぞご期待ください」と返答しましょう。
「お楽しみください」の英語は「enjoy」です。 ビジネスシーンで使う「お楽しみください」は「enjoy」を使います。 「enjoy」は「〜を満喫する」という意味です。 何かを経験して幸せな気持ちになることを指します。
Here are your drinks. Enjoy!
こちらが飲み物になります。ぜひお楽しみください。
「Have fun.」は「楽しんで!」という意味です。 「Have fun.」はもっと軽いノリで、「旅行楽しんでね!」などという時は「Have fun.」です。 「満喫」というより、「笑いのある楽しさ。愉快さ」を表すます。 「Have fun.」は常に「Enjoy.」に言い換え可能ですが、 「Enjoy.」は必ずしも「Have fun.」に言い換え可能ではありません。