「どうぞ」と「何卒(なにとぞ)」の意味は、どちらも丁寧に頼んだり願ったりする気持ちです。「どうぞ」をかしこまった言い方にすると「何卒」になります。フォーマルな場面やビジネスメールなどで相手に何かお願いをするときは「何卒」を使って「何卒よろしくお願い申し上げます」などといいます。
「どうぞ」と、「何卒」は「どうぞよろしくお願いします」「何卒よろしくお願いします」といったように同じような場面で使用することができる言葉です。 「どうぞ」と「何卒」の使いわけ方としてあげられるのは、「どうぞ」は話し言葉であり、「何卒」は書き言葉であるということです。 「どうぞ」は、皆さんも普段から良く使っている言葉だと思いますが、日常会話でも友人、相手や場面を問わず使用される言葉です。 一方「何卒」は、かしこまった表現方法である為、話し言葉として使用すると「堅苦しさ」を感じたり、人によっては「押しが強い」と感じる人がいる為ビジネスメールなど文章面で多く使用される書き言葉として多く使用される言葉です。
「どうぞよろしくお願いします」や「何卒よろしくお願いいたします」といったように、何か物事をお願いするような場面では「どうぞ」よりも「何卒」のほうが丁寧です。 相手に何かを頼むシーンや、ビジネスシーンでは「何卒」を使用するほうが適していると言えるでしょう。 ただ、上記でも説明したように「何卒」という言葉は口語的ではないので、会話で「お願いします」と頼み事をするといった場合は「どうぞ」を使用することがほとんどです。
●是非(ぜひ) 「是非」は、「強く望む気持ちを表す言葉」です。 「是非」は、文章を強調する為の副詞です。 「是非~をしてほしい」というような、あることを実行・実現を強く望む気持ちを表現する場面で使用します。 〇「是非」を用いた例文 「リニューアルオープンいたしましたので、是非ご来店ください!」 「シェフが心を込めて作りましたので、温かいうちに是非ともお召し上がりください」 「今回のキャスティングは是非、出演して欲しいと自ら直接お願いしました」 ●絶対 「絶対」は「ぜったい」と読みます。 「絶対」の意味は「どうしても・なにがなんでも」です。 「絶対に~する」というように、「どうしても~する」という副詞的な使い方をします。 また、「ない」などの打消しを伴って、「絶対にない」というような「決して」という意味合いでも使用されます。 〇「絶対」を用いた例文 「〇日の会議には絶対に参加してください」 「大変壊れやすいものなので、絶対にお手を触れないようにお願いもうしあげます」 「今日は行けなかったけど、次は絶対行くね~」 ●どうか 「どうか」は、「心から丁重に頼み込む気持ちを表す言葉」です。 「どうかお願いします」というように希望や依頼を実現するように強く願う場面で使用されます。 〇「どうか」を用いた例文 「志望校にどうか合格できますように!」 「天候によっては中止になる可能性もありますので、どうか悪しからず」 「期限を延ばしてただけないでしょうか。どうかお願いします」 ●願わくば 「願わくば」は「ねがわくば」と読みます。 「願わくば」の意味は「願う事は」です。 「どうかできることならば~」というニュアンスで頼み事をするような場面で使用する言葉で、「奇跡が起きるならば」というような実現性の低い事を願うような場合に使用されることが多い言葉です。 〇「願わくば」を用いた例文 「願わくば、契約を更新していただきたく存じます」 「好きなアーティストと会えるだけでも嬉しいけど、願わくばサインもらいたいな~」 「願わくば、日本一のエンターテイナー!」
「どうぞ」は、副詞の「どう」に助詞の「ぞ」からできている言葉です。 「どうぞ」という言葉には、大きくわけて二つの意味あいがあります。 どうぞに含まれている一つ目の意味は「丁寧に頼んだりする気持ち」もう一つは「承認・許可を与える言葉」です。 「どうぞ」を「丁寧に頼む」といった意味合いで使用すると「どうぞお越しください」というような使い方になり、この場合は「来てください」ということを丁寧にお願いしている文になります。 「どうぞ」を「承認・許可を与える気持ち」といった意味で使用すると、「どうぞ~してください」というような使い方になります。 また、「どうぞご自由にお持ちください」というように、相手に何かを勧めるといった場合にも使用することができます。
「~してもいいですか?」と質問されたとき、「はい、どうぞ」というように返事をする場合があると思いますが「どうぞ」は敬語ではありません。 「どうぞ」は、「どうぞ~してください」と使う事で丁寧な表現になります。 また、「どうぞ~」と一言そえると「良かったら~してください」というような、相手にするかしないかを選択してもらう柔らかいニュアンスになります。
「どうぞ」は、ビジネスシーンでは失礼になることもあります。 「どうぞ」は、上記でも説明したように話し言葉である為、ややフランクな印象を与えてしまう可能性があります。 なので、目上の人に頼み事をするような場面や、ビジネスメールなどには使用しないほうが無難と言えます。
「何卒」は「なにとぞ」と読みます。 「なにそつ」と読み間違えてしまう人が多いので注意しましょう。
「何卒」は「目上の人に心から願う気持ちをあらわした言葉」です。 「何卒」は、代名詞の「何」に格助詞の「と」係助詞の「ぞ」から成り立っています。 「何卒よろしくお願いいたします」というように、目上の人やビジネスシーンでたのみ事をするといった場面で「どうかお願いします」のようにお願いを強調する表現になります。 上記でも説明したように、非常にかしこまった表現なので使用する場面に注意しましょう。
「何卒」は、ビジネスメールの依頼・お願い・謝罪などで使用される言葉です。 「何卒」をビジネスメールの依頼やお願いで使用する場合は、「~のほど、何卒よろしくお願いいたします」というような使い方をします。 例えば、「ご確認のほど、よろしくお願いいたします」というような言い回しです。 他にも、
というような言い回しがあります。 何か不手際や不注意などで迷惑を相手にかけたという場合に、謝罪する場面でも「何卒」を使用することができます。 例えば、「ご容赦くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします」というような言い回しをします。 他にも、
というような言いまわしがあります。
「何卒~」はビジネスメールで形式的な締めくくりの役割もあります。 ただ相手に用件を伝えるだけでは丁寧さに欠けてしまいますが、締めくくりに「何卒よろしくお願いいたします」と入れることで全体的にフォーマルな印象になりますし、相手に良い印象を与えることができます。 年賀状や、手紙などの締めくくりとして使用する場合「何卒ご自愛ください」というような使い方をします。
「どうぞ」は、口語として使われることが多い語で、「何卒(なにとぞ)」は、書き言葉として使われることが多いかしこまった語です。 通常は「どうぞ」を使い、ビジネスメールやフォーマルな場面では「何卒」を使うのが適しています。
敬語の使い方が面白いほど身につく本
元NHKアナウンサーの著者が教科書通りの敬語ではなく、様々なシーンで使うことができる生きた敬語表現を紹介しています。文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。こちらの本では ”気の利いた敬語” の使い方を、言葉のプロがコンパクトに解説しています。
入社1年目ビジネスマナーの教科書
ビジネスシーンでの正しい敬語の使い方から身だしなみ、電話対応などビジネスマナーについて幅広く書かれている書籍です。新入社員からベテラン社員まで使える大変便利な一冊です。イラスト付きで分かりやすくまとめられているので、スキマ時間でスラスラと読むことができます。